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3人死亡の土砂崩れ「なぜこんなことに」 松山城近くの住宅街

土砂崩れ現場で発見された人を運ぶ消防隊員ら=2024年7月13日午後3時2分、松山市緑町1丁目、土居恭子撮影

 

 松山市の松山城がある山で12日未明に起きた土砂崩れの現場では、土砂に巻き込まれた住宅に住む夫婦の90代男性と80代女性、息子の40代男性の3人が見つかり、死亡が確認された。近くの住民は、救急隊員らが救急車に運び入れる様子を見守っていた。

 

  【動画】大量の土砂が住宅街に流れ込んだ=住民提供 

 

 現場では、12日に続いて夜通しで捜索が続けられた。13日も雨が断続的に降るなか、ショベルカーなどを使って土砂をかき出し、トラックで運び出す作業が続けられた。現場付近の清水地区には13日も警戒レベル5の「緊急安全確保」が出されており、雨が降ると、市の広報車が安全な場所に移動するよう住民に促す声が響いた。

 

  自宅マンションが被害を受け、公民館へ避難した男性(55)は「まさか土砂崩れがあるとは思わなかった」と驚きを語った。中層階にある男性の自宅は土砂による被害はなかったが、1階にあった車は泥をかぶり、駐輪場のバイクは泥に埋まって見えなくなっている。

 

  このマンションに住み始めて26年ほど。マンションがある場所はハザードマップで土砂災害の警戒区域に該当していなかったという。土砂崩れのあった南側の裏山の斜面は、市が木や雑草を手入れしており、擁壁もあったため、「なんでこんなことに」と動揺したという。 

 

 マンション付近ではガス漏れが疑われ、漏電すると危険なため電気も止まっている。「ライフラインがないと困る。避難生活が長期化したら仕事に行くにも大変だ」と話した。

朝日新聞社

 

 

 

 

 

 

 愛媛県

松山 土砂崩れ 男女3人が死亡 土砂流れ込んだ住宅の家族と確認

12日、愛媛県松山市で発生した土砂崩れで、現場から男女3人が見つかりましたがその後、死亡が確認され、県によりますと、3人は、土砂が流れ込んだ住宅に住む家族だと確認されたということです。

12日午前4時前、松山市緑町で頂上に松山城がある山の斜面が幅50メートル、高さ100メートルにわたって崩れ落ち、複数の住宅やマンションに土砂が流れ込みました。

このうち木造住宅に住んでいる90代の夫と80代の妻、それに40代の息子の3人と連絡がとれなくなっています。

消防と警察は1日余りにわたって現場で捜索活動を続け、県によりますと13日午後、男性2人と女性1人のあわせて3人が見つかり、その後、3人の死亡が確認されたということです。

県によりますと、3人は、土砂が流れ込んだ木造住宅に住んでいて、連絡が取れなくなっていた90代の夫と80代の妻、それに40代の息子だと親族によって確認されたということです。

松山市清水地区では引き続き「緊急安全確保」

 

土砂崩れが起きたことを受けて現場周辺の松山市清水地区では、引き続き1万3226世帯、2万2062人に「緊急安全確保」が出されています。

松山市は少しでも安全な場所で命が助かる可能性の高い行動をとるよう呼びかけていて、市によりますと13日午後4時半の時点で、3か所の避難所にあわせて31世帯55人が避難しています。

松山地方気象台によりますと、県内では14日にかけても断続的に雷を伴った雨が降る見込みで、これまでの大雨で地盤が緩んでいるところや、ことし4月の地震で揺れが大きかった地域では、少しの雨でも土砂災害が起きるおそれがあります。

気象台は14日夕方にかけて県内全域で土砂災害に十分注意するよう呼びかけています。また、落雷や竜巻などの激しい突風にも注意してください。

捜索に参加の消防団員「亡くなられて残念」

12日から13日にかけて土砂崩れの現場の捜索活動に消防団員として参加した40代の男性は、「住宅があった場所は、跡形もない状態になっていて、一瞬で流されてしまったのだと思った。早く見つけ出してあげたいという思いで捜索にあたっていたが、土砂だけでなく、大きな木も流れ込んでいて、雨が降る中、とても難航した」と話していました。

また50代の消防団員の男性は、「膝下くらいまで土砂があって非常に歩きにくい状況だった。行方不明になっている方を少しでも早く救出したいという思いで活動していたが、亡くなられて残念だ」と話していました。

「土砂崩れは3回発生」証言も

現場近くの住民からは「土砂崩れは3回、発生した」といった証言が相次いでいます。

現場向かいのマンションに住む大学生は、「土砂崩れは全部で3回起きた。1回目は午前4時前で、突然、雷が落ちたような大きな音で外をみると、土の臭いが立ちこめ、山が崩れたことに気づいた。2回目は午前5時前、木が倒れるような音で、再び土砂が流れ込んだ。その際に、住宅は押しつぶされ屋根が見えなくなった。さらに30分後の3回目、山から道路に向かい泥を含んだ大量の水が一気に流れ出てきた」と話していました。

また近くに住む大学生は、「午前4時ごろに1回目の土砂崩れが起きて、家が崩れそうになっていた。そのあと午前5時ぐらいに2回目がきて、住宅の屋根瓦とかがほとんど落ちていた」と話していました。

現場に隣接するマンションの60代の男性は、「午前4時ごろ1回目の土砂崩れが起きて消防や警察が駆けつけてきた。その後、しばらくして2回目、3回目の土砂崩れがあった。その際、住宅に土砂が流れ込んできて、大きな被害になっていた」と話しました。

現場視察の専門家「過去に土石流起きた跡地と思われる」

土砂崩れの現場を視察した地盤工学が専門の香川大学 長谷川修一特任教授は「現場は谷のような地形で、過去に土石流が起きた跡地だと思われ、土砂災害が起きやすい地形だった」と説明しました。

松山城の周辺の斜面の多くは、
土砂災害警戒区域などに指定されていましたが、今回、被害が起きた住宅の一部は指定されていませんでした。

理由について長谷川特任教授は、「次第に谷底に土がたまり、斜面がなだらかになったため、結果的に土砂災害のリスクが低いと判断されたとみられる。同じような地形は各地にあり、土砂災害警戒区域の指定のあり方や対策を見直す必要がある」と指摘しています。