一般的意見11 (19) (20条・戦争宣伝、差別唱尊の禁止) 1983.7.29採択

1 締約国により提出された報告のすべてが、 規約第20条の実施に関する十分な情報を提供してきたわけではない。本条の性質を考えると、 締約国は、そこで言及された活動を禁止する必要な立法措置をとることを義務づけられる。しかし、 報告によれば、 いくつかの国においては、 そのような活動が法律により禁止されてもいないし、その禁止を狙いとした又はそれを禁止させる、適切な努力もなされていないのである。更に、 多くの報告は、 関連する国内法及び国内慣行に関する十分な情報の提出をしていなかった。

 

2 規約第20条は、 戦争のためのいかなる宣伝も、 そして、 差別、 敵意又は暴力の扇動となる国民的、人種的又は宗教的憎悪のいかなる唱道も、法律で禁止する、としている。委員会の意見では、ここで要求されている禁止は、19条の表現の自由の権利と完全に両立するのであり、表現の自由の権利の行使には特別の義務と責任を伴うのである。1項の禁止は、国際連合憲章に反する侵略行為又は平和の破壊の威嚇又はこれをもたらすあらゆる形態の宣伝に及ぶのに対し、2項は、差別、敵意又は暴力の扇動となる国民的、人種的又は宗教的憎悪のあらゆる唱導にも向けられたものであるが、これらの宣伝又は唱導の目的が関係国にとって対内的なものであるか対外的なものであるかを問わない。20条1項の規定は、憲章に従って、固有の自衛権又は人民の自決及び独立の権利を唱導することを禁止するものではない。20条が十分実効性を有するようになるためには、そこで規定された宣伝及び唱導が公序に反することを明確にし、かつ、侵害の場合に適切な制裁を定める法律が存在しなくてはならない。したがって、委員会は、まだこれを行っていない締約国は、20条の義務を履行するために必要な措置を採るとともに、自らそのような宣伝又は唱導を行わないようにすべきであると考える。

 

 

一般的意見16 (32) (17条・私生活、 家族、 通信等の保護) 1988.3.23採択

1 第17条の規定は全ての人に対して各人のプライバシー、 家族、 住居及び通信に対し不法に又は恣意的な干渉から保護される権利を定めるものである。また、各人の名誉及び信用に対する不法な干渉に対して、 保護される権利を全ての人に与える規定である。本委員会の見解によると、 上記の干渉及び攻撃が国家権力によって為されるか、または自然人あるいは法人によって為されるかにかかわらず、この各人の権利は保護されることが認められるものである。本条項によって各締約国に課せられた義務は、 各締約国が上記の干渉及び攻撃を禁止する効果を与えるような立法的な及びその他の手段を採用することを要請するものであり、かつまた、各国が本権利を保護するために、 立法的及びその他の手段を採用することをも要求するものである。

 

2 この点に関して、 本規約に関する締約各国政府の報告書の中では、 立法機関、行政機関、 司法機関及び、 一般的に国家によって設立された適切な機関によって、本権利がどのような方法で保障されているかについての情報に対して充分な注意が払われていないという事を、本委員会は指摘したい。特に、 本規約第17条は不法な干渉及び恣意的な干渉の両方に対して、保護を与えているという事実に対して、 充分な注意が払われていない。 このことは、正確にいうと、この第17条の規定に述べられている権利を保護するためにその国の法律上に必要な条項が設けられねばならないことを意味するものである。現在のところ、各国の提出した報告書には、 そのような立法について何も書いていないか、又はその問題について不充分な情報を提供するにすぎない。

 

3 "不法に” (unlawful) という言葉の定義は、 法によって認められた場合を除いては、その干渉が発生してはならないという意味である。国家によって認められる本権利に対する干渉というものは、法に基づいてのみなし得るものであり、 その法はそれ自体、 この国際規約の規定、その目的及び目標に合致していなければならない。

 

4 "恣意的な干渉” (arbitrary interference) という語句も又第17条により保護される権利に関連するものである。本委員会の見解によると"恣意的干渉" という語句は、 法に規定された干渉をも含むものである。法によって規定された干渉であってさえも、 本規約の規定、 目的及び目標に合致しなければならないし、かつまた、どんな事があろうとも、 特定の状況の下で、 合理的な干渉でなければならないということを保障しようとして、 "恣意的" という概念を導入したものである。

 

5 "家族”(family) という語句に関しては、 第17条の目的にとって、 関係する各締約国の社会内において"家族”と理解されているすべての者を含むように、この語句は広く解釈されるべきであるということが、本規約の諸目標に合致する。 英語でいう "home” (住居又は家庭) という語句は、アラビヤ語で"manzel”語であり、 中国語で "zhuzhai”でありフランスで "domicile”、 ロシア語では "zhilishche”であるが、本規約第17条で使用されているように、人の住んでいる所又は各人の通常占有する所を示すと理解されるべきである。 これに関連して、本委員会は、各国に対して、 自国の社会において "家族”(family) 及び "住居又は家庭”(home) の持つ意味を報告書で指摘するように求めるものである。

 

6 締約各国が本委員会に対して提出する報告書には、 法によって、 本規約第17条に保障される権利を正当に干渉することが許容されている各国の法制度内に組み込まれた各種の権力機関及び各種の組織についての情報が書かれているべきであると本委員会は思考するものである。厳しい法の制約の下で、本規約第17条の権利に対する、 このような干渉を管理する権限のある各種権力機関に関する情報も、前記報告書にとって、 必要不可欠である。 かつまた、本規約第17条に規定する個人の権利の干渉に対して、どのような組織に対して、 どのような方法によって、 不服を申立てることができるかということを知るための情報もまた、各国の提出する前記の報告書にとって必要不可欠である。 締約各国は、 その各自の報告書の中で、 各国の現実の実務行為がどの程度法に従っているかということを明白にしなければならない。関係各国の報告書には、恣意的干渉及び不法な干渉に関して提出された不服申立に関する情報が含まれていなければならない。かつまた、 認定された干渉の数、 及びそのような場合に与えられる救済についても、報告書に書かれねばならない。

 

7 社会的に生きる全ての人にとって、 プライバシーの保護は必然的に相対的なものである。しかしながら、 権限のある公共機関は、 そのような情報を知っていることがその社会にとって、必要不可欠であると本規約の下で考えられる場合に限り、ある個人のプライベートな生活に関する情報を要求することができる。従って、 各国は自己の提出する報告書の中で、 個人のプライバシーの干渉を正当化する法律及び規則を指摘することを推奨するものである。

 

8 本規約に合致する干渉の場合であっても、 関連法規は、 そのような干渉が許される条件を正確に、細部に渡って明記しておかねばならない。 法によって定められた機関によってのみ、かつケース・バイ・ケースで、上述のような干渉を行うという決定が為されるべきである。本規約第17条に従えば、 通信が秘密でありかつ妨害されないということは法律上も事実上も、保障されるべきである。通信というものは、 途中で妨害されることなくして個人の住所に配送されるべきであり、かつまた、 開封されたり、 または、 その他の方法で読まれたりすることがあってはならない。電気的な方法によったり、またはその他の方法によって監視したり、 電話を妨害したり、電報その他の形式の通信を妨害したり、 会話を盗聴したり、 会話をテープレコーディングしたりすることは、禁止されねばならない。個人の住宅を捜索することは、 必要な証拠のための捜索に限定されるべきであり、かつ個人を困惑させる程度にまで捜索することは許されるべきではない。個人の身体捜索に関しては、捜索される個人の尊厳を尊重した方法で捜索が行われることが保障されるような効果的な手段がとられるものとする。国家公務員によって、身体捜索を受ける個人又は、 国家の要請によって医学検査を受ける個人は、同性によってのみ検査を受けるべきである。

 

9 締約各国は、 本規約第17条に反するような干渉を行わない義務を負い、 かつ自然人又は法人が、上述の干渉行為を為すことを禁止するような法制度を整える義務を負うものである。

 

10 コンピュータの上で、 データバンクとか、 その他の手段によって個人情報を収集し、保有することは、 公共機関によるものであれ、 指摘な個人又は団体によるものであれ、法によって規制されなければならない。個人のプライベートな生活に関する情報は、それを受領し、 処理し、 使用することについて、 法によって正当と認められない人々の手にその情報が届かないように保障するための有効な手段を各国はとらなければならない。かつまた、その情報は、 本規約に反する目的のために、 決して使用されないように保障するために、各国は有効な手段を取らなければならない。 各人の私的生活をもっとも効果的に保護するためには、各個人は、どんな個人データがデータファイルに保存されているか、 またどんな目的であるかということを理解できる形で確かめる権利を持たなければならない。各個人は、どのような公共機関、 私的個人又は団体が、 それらのデータファイルを管理したり、管理することができるのかということを確認することができるものとする。もしも、そのようなデータファイルの中に、 誤りのある個人データが含まれていたり、 データファイルが法の規定に反して集められていたり、処理されていた場合には、各個人は修正を求めたり、 削除を求める権利を持つものとする。

 

11 本規約第17条の規定は、 個人の名誉及び信用に対して、 保護を与えるものであるし、かつまた締約各国は、 その目的のために適切な立法を行う義務を負うものである。また、発生するどのような不法な攻撃に対しても、 何人も自分自身を守ることができるよう、また、 何人も、 発生したどのような不法な攻撃に対しても、効果的な救済措置を受けられるよう、効果的な規定が作られるべきである。 法によって、 個人の名誉及び信用がどの程度保護されているかということを各国は、自己の報告書の中で指摘しなければならない。かつまた、 各国の法体制の下で、この個人の名誉及び信用がどのように保護されているかということをも、 各国は自己の報告書の中で指摘すべきである。

 

一般的意見17 (35) (24条・子どもの権利) 1989.4.5採択

1 市民的及び政治的権利に関する国際規約第24条はすべての児童に対しいかなる差別もなしに、未成年者としての地位に必要とされる保護を家族、社会及び国から受ける権利を認める。従って、 この規定の実施には、 すべての者が規約の定める権利を享有することを確保するために国が第2条に基づきとることを要請されている措置に加え、児童を保護するための特別措置(special measures) の採用を必要とする。 締約国の提出する報告は、しばしばこの義務を過少評価しているように思われるし、 特別保護を受ける権利の享有に関し児童が与えられる方法につき十分な情報を提供していない。

 

2 このことに関連して、 委員会は、 第24条の定める権利は規約が児童に関し認める唯一の権利ではなく、児童は、 個人として、 規約で明定されるすべての市民的権利の利益を享受する、と指摘するものである。1の権利を定めるに当り、 いくつかの規約規定は、 成人以上の保護を未成年者に与えるためにとるべき措置を国に対し明示的に指示する。例えば、 生命に対する権利に関しては、死刑は、 18歳未満の者が行った犯罪については科することができない。同様に、 合法的に自由を奪われた場合に、 少年の被告人は、 成人と分離されるものとし、できる限り速やかに裁判に付される権利を有する。更に、 有罪の判決を受けた少年の犯罪者は、矯正及び社会復帰の促進を目的とする、 成人からの分離を含むかつ年齢及び法的地位に相応する、行刑の制度に服するものである。他の例として、 児童は、 規約の認める権利に対する制限  但し、かかる制限が正当なものであることを条件とする  の可能性により保護される。例えば、刑事訴訟又は他の訴訟において公開で判決を言い渡される権利に関しては、未成年者の利益のために必要がある場合には例外が認められる。

 

3 しかしながら、 たいていの場合、 とるべき措置は、 規約で明定されておらず、その領域内にありかつその管轄の下にある児童の保護の必要性に照らして措置を決定するのは、各々の国である。委員会は、 この点に関し、 かかる措置が第一義的には児童が規約の定める他の権利を完全に享有することを狙いとしているものの、経済的、 社会的及び文化的なものでありうることに留意する。例えば、 幼児死亡率を低下させ、児童における栄養失調を根絶し、 そして、 児童が暴力行為や残虐で非人道的な取扱いを受けることを阻止し又は強制労働や売春手段により、麻薬の違法取引における児童の利用により若しくはその他の手段により搾取されることを阻止するために、あらゆる可能な経済的及び社会的措置がとられるべきである。文化的な分野では、児童の個性の発達を育成し、 そして、 規約で認められる権利、 なかんずく意見及び表現の自由に対する権利を児童に享有させることを可能とすることにつながる教育レベルを与えるために、あらゆる可能な措置がとられるべきである。更に、 委員会は、 その報告中に児童が武力衝突に直接参加しないことを確保するためにとった措置に関する情報を含める必要性のあることに締約国の注意を喚起したい。

 

4 特別な保護措置を受ける権利は、 未成年者としての地位によるものであるゆえ、すべての児童が有している。 それにもかかわらず、 規約は、成年となる年齢を示していない。これは、 関連する社会的及び文化的な条件に照らして各締約国により決定されるべきものである。この点に関し、 国は、その報告で児童が民事事項において成年となる年齢及び刑事責任を引受ける年齢を示すべきである。国はまた児童が法律上労働することのできる年齢及び労働法上成人として扱われる年齢を示すべきである。国は、更に、 児童が第10条第2項及び第3項の適用上成人とみなされる年齢を示すべきである。但し、 委員会は、 上記目的上、 年齢が不当に低く設定されるべきでないこと、そしていずれの場合においても、締約国が18歳未満の者が国内法上成年に達しているとしても、 かかる者に関する規約上の義務からまぬがれることはできないこと、に留意する。

 

5 規約は、 児童が人種、 皮膚の色、 性、 言葉、 宗教、 国民的若しくは社会的出身、財産又は出生等のいかなる理由による差別に対しても保護されることを要求する。この関連で、委員会は、 規約の定める権利享有における無差別 (non-discrimination) が、 児童の場合には、 第2条からも由来し、 そして、児童の法律の前の平等が第26条から由来する一方で、第24条に含まれる無差別条項が特に本条の規定で定める保護の措置に関連していることに留意する。締約国による報告は、保護の措置が相続を含むあらゆる分野におけるすべての差別を、なかんずく国民たる児童と外国人たる児童との間における又は嫡出子と非嫡出子との間における差別を除去するためにとられることをどのように法令と実行が確保しているのかを示すべきである。

 

6 児童に必要な保護を保障する責任は、 家庭、 社会及び国にある。 規約は、 かかる責任がどのように分配されるべきかを示していないが、児童の個性(personality) の調和的発展及び規約の認める権利の享有を促進する条件をつくるのは、第一次的に家族ーこれは、 関係締約国の社会においてそれを構成するすべての者を含むと広く解されるー、特に親の責任である。しかしながら、 父親及び母親が住居外で有給で雇用されることは、ごく普通のことであるゆえ、 締約国の報告は、 児童の保護を確保するに当たって家族に対する援助を行う責任を社会、社会施設(socialinstitutions) 及び国がどのように果たしているのかを示すべきである。更に、 親と家族がその義務を著しく果たさず、児童を虐待し又は、 放任する場合には、国は、 親権を制限するために干渉すべきであるし、 そして、 児童は必要な状況のときには、その家族から分離され(separated) ることができる。 離婚の場合には、 児童の至上の利益 (paramount interest) を考慮にいれて、 児童に必要な保護を与え、かつ、 可能な限り、両親との個人的な関係を保障する措置がとられるべきである。 委員会は、 締約国の報告が遺破棄された (abandoned)又はその家庭環境を奪われた児童につきその家庭環境を性格づける条件に最も類似する条件で当該児童を成長させる (develop) ことができるようにするためにとられた特別な保護措置に関する情報を含むことは有用であると考える。

 

7 第24条第2項に基づき、 すべての児童は、 出生の後直ちに登録され、 かつ氏名を有する権利を持つ。委員会の意見では、 この規定は、 特別な保護の措置を受ける権利に関する規定と密接に結びつけられているものとして解釈されるべきであり、そして、児童の法律上の人格 (legal personality) の承認を促進ることを狙いとしている。氏名を有する権利を定めることは、 非嫡出子の場合には特別な重要性をもつ。出生後児童を登録する義務の主要な目的は、児童の誘拐、 競売若しくは取引 (sale or traffic) 又は規約の定める権利の享有と両立しないその他の取扱い方の危険性を減ずることにある。締約国の報告は、その領域内で出生した児童が直ちに登録されることを確保する措置を詳細に示すべきである。

 

8 児童に与えられる保護の文脈において、 第24条第3項で定められたすべての児童の取得する権利に対しても、特別の注意が払われるべきである。この規定の目的は、 児童が無国籍のために社会及び国により相対的に低い保護しか与えられないことを防止することにあるが、国に対しその領域内で生れたすべての児童に国籍を与えることを必ずしも義務づけるものではない。しかしながら、国は、 国内的にかつ他国と協力して、 すべての児童が出生時に国籍をもつことを確保するためのあらゆる適切な措置をとることとを要請される。この関連で、国籍取得に関するいかなる差別も、 例えば、 嫡出子及び非嫡出子は両親が無国籍者の子との間において、あるいは、 片方又は双方の親の国籍上の地位に基づいては、国内法上許されるべきではない。児童が国籍を有することを確保するためにとられた措置は、 常に締約国の報告で言及されるべきである。

 

一般的意見18 (37) (26条・法律の前の平等) 1989.11.9採択 33

1 いかなる差別をもなく法の下に平等であり、 法による平等な保護をうける原則とともに、差別禁止の原則は、 人権の保護に関する基本的かつ一般的な原則の構成要素となるものである。かくして、市民的権利及び政治的権利に関する国際規約第2条第1項によって、締約各国は、 自国内にありかつその司法管轄の下に保障される人権を、 人種、 皮膚の色、性、言語、 宗教、 政治上若しくはその他の意見、 国籍上の若しくは社会的な出身、財産、 出生、 その他の地位による差別なしに、 尊重し、 かつ確保する義務を負うものである。 規約第26条は、 全ての人に対して法の下に平等である及び法に基づく平等な保護をすべての人に保障するばかりでなく、この規定は、 法の下におけるすべての差別を禁止し、かつ、 すべての人を人種、皮膚の色、 性、 言語、 宗教、 政治上若しくはその他の意見、 国籍上の若しくは社会的な出身、財産、 出生、 その他の地位による差別から平等かつ効果的に保護するものである。

 

2 もちろん、 差別禁止の原則というものは、 きわめて基本的なものであるため、規約第3条は、 規約に定められた権利を享受する上で男・女間の平等の権利を保障することを締約各国に義務づけている。しかしながら、規約第4条第1項においては締約各国は緊急の事態のある場合においては、ある種の義務に違反する措置を採ることができるが、 しかし同規定は、 その場合の緊急措置には、人種、皮膚の色、 性、 言語宗教、 または社会的出身のみによる差別があってはならないことを要求している。更にまた、 規約第20条第2項の定めるところによると、締約各国は、 国籍による、人種的な、 又は宗教上の差別を扇動するような憎悪の唱道を法律で禁止しなければならない義務がある。

 

3 基本的かつ一般的性格を有するため、 差別禁止の原則は、 法の下の平等の原則及び法による平等な保護の原則と同様に、しばしば、 人権の特定の諸分野に関連する諸規定において、言及されている。 規約第14条第1項にあっては、全ての人は裁判及び審判において、 平等でなければならず、 同条第3項にあっては、刑事上の罪の決定にあたり、全ての人は、 同条第3項(a)号より(g)号までに列挙された最低限度の保障を十分平等に受けることができることが規定されている。同様に、 規約第25条には、規約第2条に規定されているような差別を受けることなしに、全ての市民が平等に政治に参加することができることが規定されている。

 

4 締約各国こそが、 これらの関連した規定を充たす適切な処置を決定するものである。  しかしながら、 このような処置の性質及びこの処置が差別禁止の原則に合致しているか及び法の下の平等原則にも合致しているか、また、法による平等な保護の原則に合致しているかどうかを、 各国は本委員会に報告するべきである。

 

5 特定個人の平等権を保障するために、 本規約は、 明らかに締約国に諸処置をとることを、しばしば要求しているという事実について、 締約各国が注意することを本委員会は希望するものである。例えば、婚姻に関して、 婚姻期間中及び婚姻の解消にあたり、 配偶者の権利と責任が平等であることを保障するために、締約各国は適切な処置をとるべきであることを本規約第23条第4項は定めている。このような処置は、立法処置であったり、 行政処置であったり、 その他の処置である場合もあるのだが、本規約の定める平等な権利を各配偶者が保持することを確実に保障することは、各国の明確な義務である。児童に関しては、 本規約第24条は、 すべての児童が人種、皮膚の色、 性、 言語、 宗教、 国籍上の若しくは社会的出身、 財政、 出生等によって差別されることなく、家族、社会及び国家において未成年者としての地位により必要とされる保護措置を与えられる権利があると定めている。

 

6 本規約は"差別”という語を定義していないし、 かつまた、 なにが差別を構成するのかということも、本規約は示していないことを本委員会はとくに言及するものである。しかしながら、 "全ての形態の人種差別撤廃に関する国際条約”第1条によると、 "人種差別”という語は、人種、 皮膚の色、 血統、 又は国籍上若しくは社会的出身を理由として、区別し、排除し、 制限し、 及び特恵を与えるものであって、 政治的、 経済的、 社会的、 文化的、その他の全ての公的生活分野において、 人権及び基本的自由を対等の立場で認識し、享受し、行使することを阻止もしくは妨げる目的を有し、 又そのような効果を有するものを意味するものであると規定している。同じく、 "女性に対する全ての形態の差別を撤廃する国際条約”第1条では、"女性に対する差別”とは、 性差に基づく全ての差別、 排除、 制限であって、かつ、 結婚していると否とにかかわらず、 男女平等の基盤の上に、政治的、 経済的、社会的、 文化的、 市民的、 その他の分野において、 人権及び基本的自由を女性に認識し、享受し、 又は行使することを阻止しもしくは妨げる効果を有し、又その目的を有するものであると規定している。

 

7 これらの国際条約は、 特定の分野における差別の場合を取扱っているにすぎないのだが、本規約で使われている "差別”という語は人種、 皮膚の色、性、 言語、 宗教、政治上の意見若しくはその他の意見、 国籍上の若しくは社会的出身、 財産、 出生、その他の地位に基づく、 全ての意味での区別、排除、 制限、 特恵であって、 全ての人々が対等の立場で、全ての人権と自由とを認識し、 享受し、 行使することを阻止し又は妨げる目的を有し、又はそのような効果を有するものを意味すると理解すべきであると本委員会は確信するものである。

 

8 しかしながら、 対等の立場で人権と自由とを享受するということは、 全ての場合に、全く等しい処遇をするということを意味するものではない。この点に関して、 本規約の規定は明白である。例えば、 本規約第6条第5項では、 18歳以下の者に死刑判決を下すことを禁止している。又、 同項は、妊娠した女性に対して、 死刑を執行することを禁止するものである。同様に、 本規約第10条第3項にあっては、 未成年の犯罪者は成人と分離されることが求められている。更に、本規約第25条は一定の政治的権利を保障しているが、 市民権の有無を理由とする差別を認めている。

 

9 多くの締約各国の報告書は、 法による差別に対する保護に関連して、 立法処置、行政処置及び判決例に関する情報が記載されているが、 多くの場合、実際の差別を暴露するような情報は報告書には書かれていない。本規約第2条第1項、 第3条、 第26条に関する報告書の場合には、 各国は、 その報告書の中で、通常自国の憲法上の規定とか、個人の平等のための機会均等法とかを引用してあるものである。しかしながら、 そのような情報は、 勿論有益ではあるが、 実際の差別の諸問題が残存しているかどうかを、本委員会は知りたいと望むものである。そして、 その実際の差別というものが、公共機関によってか、 地域社会によってか、 それとも、 私的個人又は私的団体によって為されているのかということも、本委員会は知りたいと望むものである。このような実際の差別は排除し、 又は減少させるための法律上の禁止規定及び行政処置に関しても本委員会は情報を得たいと望むものである。

 

10 本規約で禁止している差別を発生させ、 又は永続させるような状況を排除しまたは減少させるために、平等の原則によって、 締約各国は、 しばしば積極的な行動をとらねばならないことがあるということを、本委員会は指摘したいと思う。例えば、 ある国で、 ある一部の人々が、 各自の人権を享受することを妨害され、又は阻止される一般的状況にある場合には、 その国は、 そのような状況を是正するために、特定の行動をとらねばならない。この特定の行動には、 特定の問題に関して、 他の人々に比べて、一部の人々に特恵的な取扱いを許容することが含まれうる。  しかし、 そのような国家活動が、実際の差別を是正するのに必要であるかぎりその国家活動は本規約に基づく合法的な処遇の差異である。

 

11 差別の理由として、 人種、 皮膚の色、 性、 言語、 宗教、 政治的意見及びその他の意見、国籍上若しくは社会的出身、 財産、 出生、その他の地位を、 本規約第2条第1項及び第26条は列挙している。多くの国の憲法及び法律にあっては、 本規約第2条第1項に定めるような差別を禁止している理由が全て列挙されているのではないことを本委員会は承知している。それ故にこのように差別の理由の一部が脱落していることの意味について、締約各国は本委員会に報告してもらいたい。

 

12 本規約第2条は、 差別に対して保護すべき権利の範囲を本規約に規定された権利に限定するものであるが、他方、 本規約第26条にはこのような制限は明記されていない。すなわち、 本規約第26条では、全ての人は、 法の下に平等であり、 かつ差別なくして法によって平等に保護されるということを規定しており、かつまた、列挙されたどのような理由による差別に対しても、 全ての人は平等かつ効果的な保護が法によって保障されるということをも、本規約第26条は規定するものである。本委員会の見解によると、 本規約第26条は、既に本規約第2条で規定されている保障を単に重複して保障するものではなく、この第26条はそれ自身、自律的な権利を規定するものである。 公共機関が統制しかつ保護しているいかなる分野においても、第26条は、 法律上においても、 事実上においても、差別することを禁止するものである。それ故に、 締約各国に課せられた立法上並びにその適用上の義務は本規約第26条と関係を有するものである。かくして、ある国によって立法が行われた場合には、 その立法はその内容において差別があってはならないという、本規約第26条の要請に合致しなければならない。他の言葉で表現すると、 本規約第26条に規定されている差別禁止の原則が適用されるのは、本規約上に定められた権利に限定されないということである。

 

13 最後に、 基準が合理的であり、 かつ客観的である場合であって、 かつまた、本規約の下での合法的な目的を達成するという目的で行われた場合には、処遇の差異は必ずしも全て "差別”を構成するわけではないというのが、 本委員会の意見である。

 

 

 

 

 

一般的意見20 (44) (7条・拷問、品位を傷つける取扱い) 1992.4.3採択

1 この一般的意見は、 一般的意見7 (16) にかわるもので, これを見直し, 更に発展させるものである。

 

2 市民的及び政治的権利に関する国際規約第7条の目的は、 個人の尊厳と、 身体的、精神的完全性 (integrity) の双方を保護することにある。 すべての人々に対し, 第7条で禁止されている行為につき、 その行為が公的権限に基づくか、公的権限を超えているか、 又は私的な資格で行動する人々によってなされたか否かを問わず、必要と認められる立法又は他の方法を通じて保護を与えることは、締約国の義務である。  第7条における禁止の内容は、 本規約第10条第1項の積極的要件によって補完される。即ち、 同条項は、 「自由を奪われたすべての者は、人道的に、 かつ人間の固有の尊厳を尊重して取り扱われる」と規定している。

 

3 第7条の正文はいかなる制限も認めていない。  委員会は、 本規約第4条に引用されている公の緊急事態の状況においてすら第7条の規定の停止は認められず、その規約の効力を持続することを再確認する。委員会は同様に、 上司又は公的権力からの命令に基づくことなどのいかなる理由についても、第7条違反を免れる正当化根拠,又は酌量すべき情状にならないと考える。

 

4 規約には第7条の諸概念の定義は含まれておらず, 委員会も同条で禁止されている行為のリストを作成し、同条定める異なる種類の処罰、 又は取扱いの間の厳密な区別を定立することはしていない。それらの区別は、適用される取扱いの性質・目的・程度に依存する。

 

5 第7条における禁止は身体的苦痛をもたらす行為だけでなく、 被害者に対し精神的苦痛をもたらす行為にも及ぶ。委員会の見解では、 更にその禁止は、体罰、 即ち犯罪に対する処罰としての、 又は教育的、懲戒的措置としてのいきすぎた処分を含む体罰にも及ぶ。  この点に関しては、 第7条は、特に、 教育、 医療施設における子供、 生徒、 患者を保護するものであることを強調することが相当である。

 

6 委員会は、 長期間の被拘禁者又は受刑者の独居拘禁も、 第7条によって禁止される行為にあたる場合があることを指摘する。委員会が一般的意見6(16) で述べた通り, 本規約第6条は廃止が望ましいと強く示唆する言葉で死刑廃止に言及している。更に、 最も重大な犯罪につき、 締約国によって死刑が適用されるときは、第6条に従って厳格に制限されるだけでなく、生じ得る身体的・精神的苦痛が最も少ない方法で執行されなければならない。

 

7 第7条は、 当該関係者の自由意思による同意のない医学的又は科学的実験を明示的に禁止している。委員会は、 締約国の定期報告書には、 一般的にこの点に関する情報が全くないことを指摘したい。この条項の遵守を確保する必要性と方法につき、もっと注意が向けられるべきである。委員会は又は、 このような実験に関し、 正当な同意を与えることができない人々につき、特にあらゆる形態の拘禁、又は受刑中の人々につき、 特別な保護が必要であると考える。このような人々は、 自らの健康に有害となり得るいかなる医学的又は科学的実験にも服すべきではない。

 

8 委員会は、 このような取扱い又は刑罰を禁止し、 あるいは、 これを犯罪とするだけでは、第7条の実施として充分ではないと指摘したい。 締約国は委員会に対し、その管轄下の領域における拷問又は残虐な非人道的な若しくは品位を傷つける取扱いに該当する行為を防止し、処罰するためにとった立法・行政・司法、及びそれ以外の措置を報告しなければならない。

 

9 委員会の見解によれば、 締結国は個人を、 犯罪人引渡、 追放、 又は送還によって、他国に対する帰還の際における拷問又は残虐な非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い、又は処罰の危険にさらしてはいけない。締約国は報告書において、 そのためにどんな措置がとられたかを示すべきである。

 

10 委員会に対しては,拷問禁止と第7条によって禁じられている取扱いに関する関連情報が大衆にまでいかに広く広報されているかにつき、報告がなされるべきである。 法の執行に当る職員、 医療機関職員、 警察官、 及びあらゆる形態の逮捕、 拘禁、刑に服する人々の拘禁、 又は取扱いに関わる人々は、 適切な指示と訓練を受けなければならない。締約国は委員会に対し、与えられた指示と訓練、 及び第7条の禁止がどのようにかかる人々が服すべき規則及び道徳基準の不可欠な要素を構成しているかにつき報告しなければならない。

 

11 第7条により禁じられた行為に対して、 いかなる人々も保障されるべき一般的な保護を与える措置を叙述することに加え、締約国は、 著しい弱者に対する特別な保護に関する措置につき、詳細な情報を提供すべきである。  拘禁中の人々の実効保護を保障するために、 被拘禁者が拘禁の場所として公的に認められた場所で拘禁されること、拘禁の責任者の名前だけではなく、拘禁される者の名前と場所が記録され、 親戚や友人を含む関係者に利用可能な登録簿に記載され、面会できる規定がつくられるべきである。  同様に、すべての尋問時間と場所は、 居合わせたすべての人々の名前と共に記録されるべきであり、この情報は、 司法的・行政的手続のために利用されるべきである。他との接触を絶つ拘禁を禁止する規定が置かれるべきである。この関係で締結国は、 いかなる拘禁場所にも、 拷問又は不当な取扱いのために使われるようないかなる装置もないことを確保しなければならない。被拘禁者の保護のために、医師、 弁護士、 及び操作の必要がある時は適当な監視の下に家族との速やか且つ定期的な面会を必要とする。

 

12 拷問又は他の禁じられた取扱いを通じて得られた供述書、 又は自白を司法手続において証拠能力があるとして使用することを法律により禁止しなければならないことは、第7条の下での違反行為を抑制するために重要である。

 

13 締結国は、 報告書の提出の際に、 拷問又は残虐な非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い、又は刑罰を処罰する刑法の規定につき、 公務員又は国のために行動する他の人々によるか、又は私人達によつて犯されたか否かを問わず、このような行為に適用される刑を具体的に報告しなければならない。第7条を犯す人々は、 禁止行為を助長するか、 命令するか、 容認するか、 実効するかを問わず、責任を負わねばならない。その結果、 その命令に服することを拒否した者は、 処罰又は他の不利益な取扱いに服することがあってはならない。

 

14 第7条は本規約第2条第3項と共に読まれるべきである。 報告書において締約国は、その法体系が第7条で禁じられたあらゆる行為を直ちにやめさせることならびに適正な補償につき、いかに効果的な保障をしているかを示すべきである。 第7条によって禁じられる虐待を告発する権利は、 国内法で認められなければならない。告発については、 効果的な救済がなされるように、 権限ある当局によって速やかにかつ公平に捜査されなければならない。締約国の報告書は、虐待の被害者が利用可能な救済方法、 告発後の手続、 告発数に関する統計、その処理結果につき具体的な情報を提供すべきである。

 

15 委員会は、 いくつかの締約国が拷問に関し恩赦を認めていることに注目してきた。一般的に、 恩赦は締約国がこのような行為を捜査すべきこと、その管轄下においてかかる行為が起こらないことを保障すべきこと、将来も発生しないことを確保すること、 等の義務に抵触するる締約国は、 個人から補償及び可能な限りの完全な原状回復を含む効果的な救済を受ける権利を奪ってはならない。

 

 

 

 

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配信

《都知事選「ほぼ裸ポスター」問題》女性モデル“みだら写真”の迷惑防止条例違反と公職選挙法、憲法の関係は 弁護士が解説

 7月7日に投開票される東京都知事選。過去最多の56人が立候補した今回の選挙は、「ポスター」が大きな問題となっている。東京都選管には、ポスターをめぐってすでに1000件以上の苦情や問い合わせが寄せられており、「電話が鳴り止まない状態」(都関係者)という。 

 

【写真多数】あられもないポスター、裸体の胸と局部は隠されていた

 

 

 政治団体「NHKから国民を守る党」が“掲示板ジャック”と称して、同団体に寄付した人が自分の作ったポスターを貼ることができるとしていることで、候補者ではない人物のポスターが大量に貼られる事態となっていることが大きな要因だが、6月20日に告示された同日におきた「ほぼ裸ポスター」問題も大きな騒ぎとなった。  白塗りメイクで“ジョーカー議員”を自称する河合悠祐候補(43)が貼ったもので、アイドルなどとして活動してきた桜井MIUがモデルとなって、胸と局部が隠されているだけで衣服をつけていない姿や開脚している姿などが大写しにされていた。  警察や選管には「子供に見せられない」と苦情が殺到。それを受けて警視庁は告示当日の夜に河合候補を呼び出し、東京都迷惑防止条例違反(ひわいな言動)に当たるとして口頭で注意した。河合候補は「都迷惑防止条例に違反する可能性があるということで警告をいただいた。速やかに剥がすように求められた。それに従って剥がしていく」と語り、実際に翌朝までにそのほとんどが剥がされている。

ひわいなポスターと憲法の「表現の自由」の問題

 一連のポスター騒動では公職選挙法の“穴”が指摘されているが、法的にはどんな解釈が考えられるのか。公選法では、大きさが規定の範囲で作られていて、掲示責任者の氏名など必要事項が記載されていれば、内容は事前にチェックされたりすることはない。公選法や公共政策に詳しい法律事務所Zの代表弁護士である伊藤建氏が解説する。

「警視庁は『東京都迷惑防止条例違反』で注意したということですが、すると公職選挙法では禁じられていないポスターを条例で規制してよいのか、すなわち条例が法律の範囲を超えて制約していいのかという問題になります。

 

  まず、憲法21条1項の表現の自由により、ひわいなポスターであっても憲法による保障を受けます。一方で、ひわいな表現については、一定の時・所・方法の規制を受けます。たとえば“成人向けの本はここで販売してはいけない”というような規制です。もっとも本件は選挙における表現の自由ですから、通常の表現規制と同様に考えてよいのかは疑問が残ります。  憲法第94条では、地方公共団体は〈法律の範囲内で条例を制定することができる〉と定めています。もちろん条例による法律を規制が一切許されないわけではなく、別の目的によるときは、法律の目的や効果を阻害しない範囲であれば条例で規制することもできます。  公職選挙法では、その目的を定めた第1条で〈選挙が選挙人の自由に表明せる意思によつて公明且つ適正に行われることを確保し、もつて民主政治の健全な発達を期することを目的とする〉と記されています。これを都の条例で規制できるとすると、果たして〈公明且つ適正〉といえるかどうかが問題となるでしょう」

 

  選挙における表現の自由という、一言では済ませられない問題。確かにポスターには「表現の自由への規制はやめろ。」と記されていたが、あっさり警察の注意に応じて剥がしたところから見ても、同氏がXで「俺の300種類の仰天ポスターが街中に貼られることで東京の街は地獄と化す」と記していたところから見ても、その狙いは推して知るべしだ。