可視化された密室(ユーチューブ)
  担当検事が元弁護士を人格攻撃

 犯人隠避教唆罪で有罪が確定した元弁護士の江口大和さんが、横浜地検で違法な取り調べを受けたとして損害賠償を求めた訴訟で、国が取り調べの録音・録画の映像を証拠提出した。約13分の要約版がユーチューブで視聴できる。
 江口さんは逮捕から約20日間、黙秘した。
 これに対し、担当検事は「お子ちゃま」「どうしたらこんな弁護士ができあがるのか」などと態度を批判。
 
 さらにトイレから戻ってきた江口さんに「取り調べを中断してすいませんでしたって言うんじゃねえの、普通」となじった。
 動画を公開した弁護団の趙誠峰弁護士は「検事の言動は人格攻撃。憲法が保障する黙秘権を侵害している。取り調べの実態を多くの人に知ってほしい」と訴える。
 一方、国側は刑事裁判の判決で、江口さんが死亡交通事故に関連して、容疑者を隠そうとしたと認定された点を強調。真実を明らかにする目的があったとする。
 証拠改ざんの不祥事から録音・録画が導入されて10年超。
 可視化された下でも平然とこんな取り調べをする検事がいることに驚く。
 検察改革の理念の風化を危惧する。[島田信幸]
                           (6月13日「毎日新聞」【憂楽張】より)