日刊IWJガイド・非会員版「タイに続きマレーシアがBRICSに加盟申請を決定! マレーシアは『マラッカ海峡』沿岸国! BRICSがチョークポイントを押さえた!」2024.6.21号~No.4259

 

 

■はじめに〜タイに続き、マレーシアがBRICSに加盟申請を決定!

 

『アジアのルネッサンス』の著者でもあるマレーシアのアンワル・イブラヒム首相は、中国メディアの取材に、西側諸国の「二重基準と偽善」を批判!

 

「(西側諸国は)言説をコントロールしたがるが、我々はもうそれに耐えられない」

マレーシアはチョークポイントである「マラッカ海峡」の沿岸国!

 

 米国の軍事戦略家はマラッカ海峡を締め上げれば、中東からの石油に頼る中国は降参すると述べたが、逆にBRICS側が封鎖したら日本や韓国はどうなるのか?

 

 

おはようございます。IWJ編集部です。

 

 マレーシアが、BRICSへの加盟申請を決定し、まもなく正式な書類の提出を開始すると、ロシア国営メディア『RT』が、6月16日付の中国メディア『グアンチャ(視察者網)』を引用して、17日に報じました。

 

 マレーシアのアンワル・イブラヒム首相が、16日に公開された『グアンチャ』によるインタビューで、「我々は方針を明確にし、決断を下した。まもなく正式な手続きを開始する」、「最終結果と南アフリカ政府からのフィードバックを待っている」と述べました。アンワル首相は、すでにブラジルのルーラ・ダ・シルバ大統領とも会談し、BRICS加盟について話し合ったことを明らかにしています。

 

※Malaysia moving to join BRICS - PM(RT、2024年6月17日)

https://www.rt.com/news/599446-malaysia-brics-anwar-ibrahim/

 

 『グアンチャ』の記事によるインタビューのポイントを以下にご紹介します。

 

 2022年11月に、75歳でマレーシアの首相に就任したアンワル・イブラヒム氏は、6月13日に、中国の「北京対話」の発起人で、『グアンチャ』の会長であるリー・シモ(李世黙)氏と、マレーシア首相府で、深く交流しました

 

 約1時間に及んだ両氏の対話は、「アジアのルネッサンス」(※1)というテーマで始まり、一極集中の時代が終わりを告げ、多極化する世界の中でアジアとイスラム世界がどのような役割を果たすのかを探りました。

 

(※1)『アジアのルネッサンス』は、アンワル首相の著書の題名である。

 

 覚醒した「グローバル・サウス」は、グローバルな課題に対処するために、如何にして団結と連帯を築くことができるのか?

 

 マレーシアは中国や米国といった大国とどのように関わっていくのか?

 

 対話の中で、アンワル首相は、ガザ危機、ロシア・ウクライナ紛争、サプライチェーンの安全保障、ドル覇権などの問題についても言及しました。

 

 アンワル首相は、1990年代には「経済、文化、政治を問わず、西洋の『処方箋』に従わなければならないという傾向」があったが、それは「でたらめ」だと指摘し、「アジアの歴史と偉大な伝統文明を理解」していれば、一時的な経済的繁栄のために、自らの伝統や文化、知識を放棄することはない、と述べました。

 

 アンワル首相は、マレーシアのマレー人(イスラム教徒が多い)、マレーシア系中国人、インド人などによるコミュニティは、非常に近代的で西洋的でもあるが、伝統や文化も大事にしている、「経済的なエンパワーメントだけでなく、文化的なエンパワーメントも重要」だと述べています。

 

 アンワル首相は、中国の習近平国家主席は、「文明について語る数少ない著名な指導者」であり、「習主席の考えと、マレーシア・マダニ(※2)のコンセプトは非常に相性がいい」とも述べています。

 

(※2)マダニ(Malaysia Madani)は、アンワル首相が提唱したコンセプトで、「文明化されたマレーシア」と訳されている。MADANIは、「ke M ampanan(持続可能性)」、「kesej A hteraan(繁栄)」、「D aya cipta(革新)」、「horm A t(尊重)」、「keyaki N an(信頼)」、「I hsan(思いやり」という6つの価値の頭文字をとった造語。

・Malaysia Madani(wikipedia)

https://en.wikipedia.org/wiki/Malaysia_Madani

 

 リー・シモ氏は、「(米国による)一極世界が終焉に向かい、あるいはすでに終焉を迎えて、より多元的な未来に向かっていることは明らかだと思います。より多極化し、多様化する未来において、アジアとイスラム世界の役割をどのように考えていますか?」と問いかけました。

 

 アンワル首相は、リー氏に対し、「まず第一に、世界がもはや一極支配でなくなったことに、もちろん、私たちは皆ほっとしていますし、特に中国の台頭は、世界にチェック&バランスが存在するという、希望の光を私たちに与えてくれました。私の考えでは、欧米人の中にはそう考えない人もいるかもしれませんが、我々(イスラム世界)は基本的に友好的であるべきです」と答えました。

 

 アンワル首相は、イスラエルがパレスチナ人に対して行っているジェノサイドや、ウクライナ紛争についても言及しています。

 

 「私にとって、パレスチナとイスラエルの紛争は正義の問題であり、植民地主義やアパルトヘイトの問題であり、ガザだけに限った問題ではありません。

 

 人々が、何度も何度も、10月7日の話をするのは腹立たしいことです。これは、欧米の物語的言説です。これが西側の問題なのです。彼らは、言説をコントロールしたがりますが、我々はもうそれに耐えられません。

 

 なぜなら、彼らはもはや植民地支配国ではないし、独立した国々は自らを表現する自由があるはずだから。(中略)

 

 衝撃的なのは、(西側諸国は)ウクライナで起きていることは大量虐殺だと言いながら、ガザで起きていることは(大量虐殺ではなく)孤立した事件だという、二重基準と偽善です。これは、民主主義や人権を擁護する人たちの信頼性を損なうものです。つまり、民主主義について語るなら、人権は人権であるべきであって、有色人種が白人に反抗するとか、あるいは、その逆、というような単純な話ではないはずです」。

 

 アンワル首相は、マレーシアと中国は重要な交易相手国であり、両国の間には何の問題もない一方、(特に半導体に関する米国の懲罰的な対中制裁を念頭に)米国が自分の都合のいいように保護主義的な政策を取るのは遺憾であり、米国が公正な立場で望むのであれば、それは世界にとって大きな力になると述べました。

 

 アンワル氏がマレーシアのBRICS加盟への意向に言及した部分は以下の通りです。

 

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