明日28日から7月12日まで、

スイス・ジュネーブ 国連欧州本部(パレ・デ・ナシオン)

 第56会期人権理事会 

 

ここで、ビジネスと人権・日本調査レポート報告。

 

ジュネーブスルー❕❕❕❕❕G7・キシダ首相ら

 

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国際 | 共同通信 | 2024年6月17日(月) 06:50

平和サミットは「大成功」

 【ビュルゲンシュトック共同】ウクライナのイエルマーク大統領府長官は16日、スイス中部ビュルゲンシュトックで同日閉幕した「世界平和サミット」について「大きな成功を収めた」と述べた。サミットで採択された共同声明に「多くの国が支持を表明した」と語り、成果を強調した。

 

 

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救済へのアクセス 

 

国家司法メカニズム 作業部会は訪日調査中、日本での裁判所へのアクセスに対する障壁を含め、司法と実効的救済 へのアクセスに関し、特に懸念される分野を特定しました。私たちが確認した重大問題の一つに、 UNGPs や、LGBTQ+の人々に関するものなど、事業活動の関連で生じるさらに幅広い人権問題 に対する裁判官の認識が低いことが挙げられます。これに対処するため、私たちは、裁判官や弁 護士を対象に、UNGPs に関する研修を含む人権研修の実施を義務づけることを強く推奨します。 また、裁判手続きが長く続くことで、救済へのアクセスが妨げられているとするステークホルダーも いました。また、刑が軽かったり、判決が履行されなかったりすることで、金銭その他の補償が十 分に得られないという証言も聞かれました。 私たちは、政府の資金拠出により 2006 年に設置された日本司法支援センターが、外国人と十分 な資金を持たない日本人に無償で法律サービスを提供していることを歓迎します。政府は特に、 社会的に隔絶された集団に対するこのプログラムの視認性を高め、司法へのアクセス改善 を図る べきです。

また、法務省からは、人権に対する認識を高めるための人権推進・保護活動や、民事 訴訟手続きのデジタル化など、救済へのアクセスに便宜を図る取り組みを行っていることもお聞きしました。 

国家非司法メカニズム 国家人権機関(NHRI)は、ビジネス関連の人権侵害事例における救済プロセスの強化と、企業関 係者や監査人、裁判官、国選弁護人のビジネスと人権に関する研修の促進に欠かせな い役割 を 演じます4。作業部会は、日本に専門の NHRI がないことを深く憂慮しています。多くのステークホ ルダーも指摘しているとおり、これによって、企業の人権尊重と説明責任を促進しようとする政府 の取り組みに、大きな穴が開いているからです。 作業部会は政府に対し、「国家人権機関の地位に関する原則(パリ原則)」に沿い、本格的な独立 した NHRI を設置するよう強く促します。NHRI には、ビジネス関連の人権侵害を取り扱う明示的 な任務と、民事救済を提供し、認識を高め、ビジネスと人権に関する能力を構築し、人権活動家 を 保護するなどのために十分な資源と権限を付与すべきです。NHRI はまた、他国の NHRI や、経 済協力開発機構(OECD)の連絡窓口(NCP)との密接な関係も構築すべきです。 

日本は「責任ある企業行動に関する OECD 多国籍企業ガイドライン(OECD ガイドライン) 」に基 づき、2000年にNCP を設置し、ビジネスと人権のほか、より一般的に、責任ある企業行動に関す る紛争を取り扱う明確な権限を与えました。しかし、NCP が視認性にもインパクトにも欠けること を 指摘するステークホルダーが多くいました。設置から 23 年で、取り上げられた事案がわずか 14 件であるという事実からも、NCP が救済面で実効的な成果を上げるためには、その視認性や制 度的能力、専門性を高めるための施策がさらに必要です。また、あらゆるステークホルダーか ら、 NCP が独立かつ信頼に足る存在として認識される必要もあります。

NCP は、OECD ガイドライン だけでなく、自身の権限に対する認識を高めるためのツール開発を検討すべきであり、 その中に は、移民労働者や海外の法域で影響を受けるステークホルダーが話す言語で使えるツールも含 めるべきです。 

 

非国家苦情処理メカニズム 

 

日本におけるビジネスと人権関連の重要課題に取り組むうえで、作業部会は国家以外が運営する実効的苦情処理メカニズムの重要性を強調します

作業部会がお会いした大企業のほとんどは、苦情処理メカニズムを設置、運営しているものの、ステークホルダーの中には、職場での不祥事を通報することで、報復(職を失うなど)を受けるおそれを口にする向きもありました。

 

内部公益通報開示制度の設置を企業に義務づける「公益通報者保護法」は、正しい方向への大きな一歩と 言えます。 

作業部会は、企業が UNGPs(原則 31)に従い、権利保有者向けに実効的な苦情処理メカニズム を提供すべきことを改めて強調します

この点で私たちが確認したグッドプラクティスとしては、あ らゆるステークホルダーに開かれた苦情処理メカニズムの設置や、バリューチェーン専用の苦情 処理メカニズムの立ち上げなどが挙げられます。一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構 (JaCER)による「対話救済プラットフォーム」は「ノウハウ」の蓄積を促し、そのメンバーが UNGPs に基づく苦情処理を受けられる非司法的プラットフォームを提供しているという点で、顕著な事例 と言えます。 

 

作業部会は、いくつかの政府機関が苦情通報ホットラインを設けていることを知り、嬉しく思うと同時に、すべての人が利用できる苦情処理メカニズムを含む「責任ある外国人労働者受入れ プラットフォーム(JP Mirai)」が設けられていることを称賛します。9 つの言語に対応するこのメカニズムでは、専門家による相談サービスが受けられます。私たちは JPMirai に対し、日本の移民労働者コミュニティに対する視認性を高め、信頼性を構築するよう促します。

 

ステークホルダー集団と関心のある課題領域 作業部会はさまざまなステークホルダーから、その深刻度や認知度の点で多種多様なビジネス関 連の人権問題に関する情報提供を受けました。作業委員会はこのステートメントで、協議中にも 長く議論された次のテーマ別課題分野に関する暫定的評価を行います。

その分野とは、ダ イバーシティとインクルージョン、差別とハラスメント(ヘイトスピーチを含む)、労働関係の人権侵害、先住民族の権利、バリューチェーンの規制のほか、健康に対する権利、きれいで健康的かつ持続可能な環境を得る権利および気候変動に対するインパクトです。 

 

特に、女性や LGBTQI+、障害者、部落、先住民族と少数民族、技能実習生と移民労働者、労働者と労働組合のほか、子どもと若者については、特に明らかな課題が浮かび上がりました

しかし、 これだけで全部ではないことは強調しておくべきです。

作業部会は、セックスワーカーの搾取やホ ームレスに対する差別などの問題についても、情報を得ています

 

リスクにさらされているステークホルダー集団 女性 日本で男女賃金格差がなかなか縮まらず、女性の正社員の所得が男性正社員の 75.7%にすぎ ないことは、憂慮すべき事実です。日本のジェンダーギャップ指数のランキングが 2023 年の時点 で 146 か国中 125 位と低いことを考えれば、政府と企業が協力し、この格差解消に努めることが 欠かせません。

女性はパートの労働契約を結んでいることが多く、非正規労働者全体の 68.2%と 高い割合を占めている一方で、男性の非正規労働者の 80.4%の賃金しか稼いでおらず、日本の 労働構成におけるジェンダーの不平等をよく物語っています。

 

政府が最近、大企業を対象に、格 差を開示するよう義務づけたことは称賛できますが6、この取り組みをさらに拡大することで、ジ ェ ンダーや性的指向に関係なく、すべての労働者が平等な賃金と機会を得られるようにするための 包括的対策みの確保が欠かせません。 さらに、2018 年には「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」が採択され、 「第 5 次男女共同参画基本計画」も承認されてはいるものの、企業幹部に女性が占める割合は 15.5% にすぎないことを考えれば、女性の社会進出の遅れは依然として、官民がさらに懸念すべき動向 となっています。女性が昇進を阻まれたり、セクシュアル・ハラスメントを受けたりする懸念すべき 事例が報告されていることは、リーダーシップと決裁権者のレベルでジェンダーの多様性 を促進す る必要性を物語っています。性差別と闘い、安全で各人が尊重される職場を作るためには、政府 が厳格な措置を導入するとともに、企業がこれを実施に移さねばなりません。

 

 

 

政府と東京電力は、福島第一原子力発電所の事故を受けて清掃活動に携わった人々全員の英雄的努力を認識し、多層下請構造を減らすための具体的な策を講じ、労働者の適切かつ遡及的 な補償を確保するとともに、労働者の健康上の懸念を労災として認めるべきです。  https://kouseisaiyou.mhlw.go.jp/system.html 

原子力事故関連の労働安全衛生面の問題に加え、私たちは福島第一原子力発電所からの処理水排出に関する懸念を何度となく耳にしました。私たちは政府に対し、特に水中の核物質の絶対量をはじめ、汚水処理関連のデータをすべて公表することにより、知る権利を充足するよう呼びかけます。 作業部会はまた、東京や大阪、沖縄、愛知でパーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物(PFAS)による水質汚染の事例をいくつかお聞きしました。これについて不安を感じるステークホルダーは、地方自治体も政府も、水道水中のこれら「永遠に残る化学物質」の存在について、十分な対策を講じていないとして、水と土壌のサンプリング調査や、健康に対する権利 への影響に関するモニタリングを求めています。私たちとしては、UNGPs と「汚染者負担」原則に したがい、この問題に取り組む責任が関係した事業者にあることを明らかにしておきたいと思いま す。 技能実習制度と移民労働者 作業部会は技能実習制度(TITP)のもとで働く外国人労働者とその雇用主、さらにバリューチェー ンで技能実習生が使われている大企業とお話ししました。技能実習生は 2022 年、在日外国人と しては 2 番目に大きいカテゴリーになっています。そのほとんどはベトナムや中国、フィリピン、ミャ ンマーなどのアジア諸国出身です。TITP の目的は本来、人材育成にありますが、こうした労働者 は日本の人手不足を補ううえで、重要な役割も果たしています。 にもかかわらず、日本の外国人労働者は、リスクの高い状況に置かれ、情報が共有される言語や 媒体によって、情報へのアクセスに困難を覚えているだけでなく、煩雑な申請プロセスに も苦労し ています。私たちは訪日中、職場で事故に遭った外国人労働者が解雇された(よって、治療 を受 けられなくなった)ケースや、その劣悪な生活状況、出身国の仲介業者への法外な手数料の支払 い、また、同じ仕事をしながら日本人労働者よりも賃金が低いケースなどを耳にしました。その一 方で、作業部会は、受け入れ側の労働組合が、労働者がその権利を知るための手助けをすると 同時に、苦情処理メカニズムとしても機能するという事例など、好ましい実践についても知りました。 また、作業部会は、中小企業の団体が責任ある採用慣行と経営を奨励するために行って いる活 動や、数社の大企業がサプライヤー行動規範を設け、外国人技術労働者に関する仲介手数料の 徴収を禁じ、その手数料を従業員に返還するよう求めている事例についてもお聞きしました。 作業部会は、政府が TITP にまつわる人権問題を多く把握しており、現在は専門家パネルがこれ について検討を加えているところだと承知しています。私たちは政府に対し、この検討に合わせて、 出身国政府との連携で仲介手数料を廃止したり、申請制度を簡素化したり、実習生の転職に柔 軟性を認めたり、日本の法律により要求される同一労働同一賃金の執行を確保したりといった形 で、明示的な人権保護規定を盛り込むことを期待します。 最後に、私たちは雇用主がヘイトスピーチを繰り返すなど、韓国人、中国人労働者に対する差別 の事例について聞き取りを行いました。一部の被害者がヘイトスピーチについて行っている訴訟 は、日本の司法制度で審理に何年もの時間を要しているだけでなく、得られた証言によると、原告 が勝訴した場合でも金銭的補償はなく、救済への道は閉ざされています。 

 

メディアとエンターテインメント業界

 

 作業部会は、メディアとエンターテインメント業界の心の痛む問題についても調査を行いました。この業界の搾取的な労働条件は、労働者に対する労働法による保護や、ハラスメントの明確な法的定義の欠如と相まって、性的な暴力やハラスメントを不問に付す文化を作り出しています

 

例えば、 私たちは女性ジャーナリストが性的なハラスメントや虐待を受けても、放送局が一切の救済措置 を講じないという事例を聞きました。

 

また、アニメ業界での極度の長時間労働や、不正な下請関係 に関連する問題ゆえに、クリエイターがその知的財産権を十分に守られない契約を結ばされる例 が多いという情報も得ました。 

ジャニーズ事務所のタレントが絡むセクシュアル・ハラスメント被害者との面談では、同社のタレン ト数百人が性的搾取と虐待に巻き込まれるという、深く憂慮すべき疑惑が明らかになったほか、日 本のメディア企業は数十年にもわたり、この不祥事のもみ消しに加担したと伝えられています

私たちは、政府がこれまで 20 年にわたり、子どもの性的虐待防止につき、いくつかの措置を講じて きたことに留意します。

しかし、政府や、この件について私たちがお会いした被害者たちと関係し た企業が、これについて対策を講じる気配がなかったことは、政府が主な義務を担う主体として、 実行犯に対する透明な捜査を確保し、謝罪であれ金銭的な補償であれ、被害者の実効的救済 を 確保する必要性を物語っています

 

証言によると、ジャニーズ事務所の特別チーム(ま たは独立 チーム)による調査については、その透明性と正当性に疑念が残っています。ジャニーズ事務所 のメンタルケア相談室による精神衛生相談を希望する被害者への対応は不十分だとする報告も あります。UNGPs のコンプライアンスを図るためには、あらゆるメディア・エンターテインメント企業 が救済へのアクセスに便宜を図り、正当かつ透明な苦情処理メカニズムを確保するとと もに、調査について明快かつ予測可能な時間軸を設けなければなりません。

私たちはこの業界の企業を はじめとして、日本の全企業に対し、積極的に HRDD を実施し、虐待に対処するよう強く促します。

 

結語

 

 日本で UNGPs の履行を進めることは、地域的、世界的に、ビジネスと人権分野におけるリ ーダー としての日本の評判を固めるだけでなく、国内・国外で日本企業の人権に関するプラス の影響力と競争力を高めるためにも重要です。

作業部会は政府、企業および市民社会が、UNGPs と NAP に関する能力と認識を高めるため、日々取り組んでいることを高く評価します。

 とはいえ、作業部会は、日本がビジネスと人権分野での官民イニシアチブで十分に取り組めていないシステミックな人権課題について、引き続き懸念を抱いています。

女性や障害者、先住民族、 部落、技能実習生、移民労働者、LGBTQI+の人々など、リスクにさらされた集団に対する不平等 と差別の構造を完全に解体することが緊急に必要です

ハラスメントを永続化させている問題の 多い社会規範とジェンダー差別には、全面的に取り組むべきです。政府はあらゆる業界で、 ビジ ネス関連の人権侵害の被害者に、透明な調査と実効的な救済を確保すべきです。私た ちは、実 効的な救済と企業のアカウンタビリティへのアクセスをよりよく促進するため、日本に独立の NHRI 設置を求めます。 

 

日本には、ビジネスと人権のアジェンダをさらに推進するため、より具体的には UNGPs を全面的 に履行する明らかな必要性があります。

 

作業部会は改めて、今回の訪日調査にお招きいただい た日本政府のほか、私たちの協議を通じてその知見を共有しようという東京都、大阪府、札幌市 の各自治体を含むあらゆるステークホルダーの強い意志にも感謝します。

 

作業部会はさ らに数か月、情報収集に努めて最終報告書を作成し、これを 2024 年 6 月の人権理事会に提出する予定です

 

最終報告書には、日本における事業活動の関連で、政府や企業その他のステークホルダ ーが、人権の保護と尊重を強化するための取り組みを支援するための具体的な提言が盛り込まれます。

全文:

https://www.ohchr.org/sites/default/files/documents/issues/development/wg/statement/20230804-eom-japan-wg-development-japanese.pdf