「欧州議会選挙で、ウクライナ紛争に反対する『国家主義政党』が躍進! NATO軍産複合体とグローバリズムの代理人の中道政党は後退!」2024.6.11号~No.4250

 

6月6日から9日にかけて加盟27ヶ国で行われた欧州議会選挙で、ウクライナ紛争に反対する「国家主義政党」(極右という呼称は正確性・的確性を欠くとIWJでは考え、「国家主義」と当面訳していきます)が軒並み躍進! 自称保守・中道・リベラルで、実態は、NATO軍産複合体とグローバリズムの代理人に過ぎない中道政党は後退!

 

 おはようございます。IWJ編集部です。

 

 6月6日から9日にかけて加盟27ヶ国で行われた欧州議会選挙で、大きな地殻変動が起きました。

 

 独仏で、それぞれの国家元首が率いる政党が惨敗したのです。

 

 エマニュエル・マクロン大統領は、9日の出口調査で、マリーヌ・ルペン氏率いる「国民連合(RN)」に自身が率いる与党連合が惨敗した結果を受け、下院の解散と総選挙の実施を表明しました。

 

 RNは、得票率ではマクロン氏の政党「再生」の2倍超となる約33%を獲得し、議席を31に増やす見込みです。

 

 また、 ドイツでも、「ドイツのための選択肢(AfD)」が16%を獲得し、第2党に浮上しました。オラフ・ショルツ首相の中道左派「社会民主党(SPD)」は14%で、3位に転落しました。

 

 ただし、欧州議会全体では、主要な中道3会派(「欧州人民党(EPP)」「欧州社会・進歩連盟(S&D)」「欧州刷新」)は議席数を若干減らしながらも720議席中401議席を獲得し、過半数を維持する見通しとなっています。

 

 中道右派の「欧州人民党(EPP)」は186議席を得て第1党となり、これに中道左派の「欧州社会・進歩連盟(S&D)」が133議席、中道の「欧州刷新」が82議席で続く見込みとされます。

 

※仏で極右が躍進、下院解散へ 欧州議会選(AFP、2024年6月10日)

https://www.afpbb.com/articles/-/3523476

 

 この結果を受けて、日本を含む西側大手メディアは、いっせいに、情報操作に走っています。

 

 まず、この情報操作では、ほとんどすべての西側メディアが、今回の欧州議会選挙の構図を、「リベラル政党対極右政党」という図式で描き出しています。

 

 典型的なのは、10日付『ロイター』の報道です。

 

 同日付『ロイター』は、次のように、英王立国際問題研究所のアルミダ・ファンリーイ上席研究員の極右の「防疫線」という考え方を紹介し、得票数を圧倒的に伸ばした「国民連合(RN)」や「ドイツのための選択肢(AfD)」といった「極右政党」がウイルスのように、社会にとって悪いものだという情報操作をしているのです。

 

 「英王立国際問題研究所のアルミダ・ファンリーイ上席研究員は、極右を政治の表舞台から排除するためのいわゆる『防疫線』が崩れてきていると指摘。右派側がソーシャルメディアを幅広く駆使して若い有権者を取り込んでいる点などをその理由としてあげた」。

 

※焦点:欧州で崩れる右派への「防疫線」、EUの重要政策に影響力(ロイター、2024年6月10日)

https://jp.reuters.com/economy/DBERMEI7F5L2TPABPEYBRW4LN4-2024-06-10/

 

 いわゆる「極右」とレッテルを貼って、社会から排除しようとする「良識的リベラル」が、決して見ようとしないのは、「極右政党」のまともさです。

 

 「国民連合(RN)」や「ドイツのための選択肢(AfD)」といった「国家主義政党」は、EU統合に反対しているだけではなく、ウクライナ紛争とその結果生じた移民流入に反対しているのです。

 

 このウクライナ紛争反対という「国家主義政党」のスタンスをしれっと消し去って報じ、米国に忖度する典型的なメディアが、『NHK』です。

 

 10日付『NHK』は、次のように報じ、この「国家主義政党」の勝利が、主として米国発のグローバル資本による国富の収奪に過ぎないグローバリズムに反対し、ウクライナ紛争の陰で膨大な利益を上げているNATOの軍産複合体に反対する民意の表れであることを決して報じようとしません。「極右」という呼称も、依然として変えません。

 

 「EU加盟国全体でも、720議席のうちEUに懐疑的な右派や極右の政党が所属する2つの会派があわせて130前後と改選前に比べて議席を増やすほか、この会派に入っていないドイツの右派政党『ドイツのための選択肢』も14前後と議席を増やす見通しです」。

 

※欧州議会選挙 極右政党などが躍進か フランスは議会解散へ(NHK、2024年6月10日)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240610/k10014475861000.html?

 

 要するに、欧州のマクロン大統領の「再生」やショルツ首相の「社会民主党(SPD)」のような「リベラル政党」とは、EU統合(NATOともグローバリズムとも重なる)の利権代理人であり、同時に米国の外交・安全保障政策の代理人なのです。

 

 驚いたことに、10日付『ロイター』の、欧州議会が右傾化した場合の問題の認識はこうなのです。

 

 「欧州議会の右傾化が進めば、新たな法律の制定が難しくなり、安全保障問題、気候変動、米中との産業競争への対応が遅れる可能性がある」。

 

※欧州議会選、極右が躍進 親EU会派は過半数維持(ロイター、2024年6月10日)

https://mail.google.com/mail/u/1/#inbox/FMfcgzQVwxBpHTnbzZHBFbSNsvxQnJvc

 

 まるで、EU統合派の縮小は、マイナス点しかないような、強いバイアスのかかった報じ方です。

 

 これは、ロシアへの制裁によるエネルギー資源の高騰に始まる輸入物価の高騰や、ウクライナ紛争による移民の流入増加、グローバリズムと紛争による生活破壊・産業破壊に苦しむ市民の目線ではなく、これは国境を易々と超えるEUの富裕な支配層とNATO軍産複合体の利益第一の超国家主義的な目線です。

 

 フランスは、この結果を受けて、マクロン大統領が、国民議会(下院)の解散総選挙を実施すると発表しています。

 

 6月30日に第1回投票、7月7日に決選投票を実施する予定です。

 

※仏大統領、下院解散総選挙を発表 欧州議会選で極右に大敗(ロイター、2024年6月10日)

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/SZSASAFWAVO4LLYOJ66Q5QIM74-2024-06-09/

 

 ドイツのハンブルクでは、ウクライナ紛争に批判的な「ドイツのための選択肢(AfD)」でさえ、ハンブルクの法に抵触するため、「親ロシア的な考え」を表明した自党の議員を追放しなければならないと定めた、およそ「言論の自由」「思想の自由」「真実の追及の自由」が踏みにじられた「異常」な事態が起きています。ここでは、NATO・EUのような「超国家主義」組織が全体主義政府とまさに化している状態です。

 

 8日付『RT』は、この事件を、次のように報じています。

 

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