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市立中のグラウンド拡張は「違法」、高裁が逆転判決 市は明け渡しへ

岐阜県本巣市立真正中学校の校舎とグラウンド。名古屋高裁はフェンス周辺の約950平方メートルを明け渡すよう命じた=2024年5月19日、同市下真桑、高橋俊成撮影

 

 岐阜県本巣市の市立中学校のグラウンド拡張工事をめぐり、拡張部の土地所有権を主張する男性が市を訴えた控訴審判決で、名古屋高裁(長谷川恭弘裁判長)が男性の所有権を認め、「男性の意思に反して工事を強行したことは違法」として、土地を明け渡すよう市に命じたことが分かった。判決は今月確定し、市がグラウンドの拡張部を明け渡す準備をしている。

 

  4月25日付の控訴審判決や男性の代理人弁護士によると、所有権が争われたのは同市下真桑の市立真正中学校グラウンドの南東部分を含む約1200平方メートルの土地。この土地はもともと男性と別の住民が所有していた。同校が隣接する土地に移転し、校舎などが建設されることに伴い、1980年に男性と旧真正町は覚書を交わし、(1)建設予定地にあった男性の別の所有地と町有地を交換する(2)1200平方メートルの土地は男性の所有――などと確認した。別の所有者分は町が取得予定だったという。

 

  ところが81年に交わした交換契約では、「覚書による」と明記されていたが、1200平方メートルの土地まで町有地と交換するとされ、町は名義を町に変更したという。男性は所有地と認識し、植樹するなどして活用していた。だが、合併後の本巣市は2018年、うち約950平方メートルを工事し、グラウンドを拡張した。

 

  この工事で所有地を不当に占有されたとして、市内の男性が2019年に岐阜地裁に提訴。一審は、拡張部の土地を登記上は市が所有しているなどとして男性の請求を棄却した。

 

  一方、控訴審判決は覚書に着目し、1995年に町側と男性が立ち会って土地の境界確認を行った際にも1200平方メートルの土地を男性の所有と町側が認め、男性がこうした経緯を踏まえて土地を占有していたと指摘。登記上の所有者は町だったが、土地をめぐる経緯を踏まえ、男性が「平穏かつ公然と土地を占有していた」と判断した。そのため民法の「取得時効」を適用し、81年の町との契約から20年が過ぎた2001年の時点で男性が土地を取得したと結論づけた。

朝日新聞社