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Bloomberg

あおぞら銀が大和証Gと資本提携、前期15年ぶりの赤字決算受け

(ブルームバーグ): あおぞら銀行は13日、大和証券グループ本社と資本業務提携を結ぶと発表した。あおぞら銀が実施する第三者割当増資519億円を大和証Gが引き受ける。あおぞら銀が同日発表した前期(2024年3月期)の純損失は499億円と、09年3月期以来15年ぶりの最終赤字だった。

 

発表によると、大和証Gの出資比率は15%超となり、あおぞら銀は持ち分法適用会社となる。両社はまずウェルスマネジメント(富裕層向け事業)、不動産関連事業、企業の合併・買収(M&A)、成長企業支援の4領域で具体的な連携を協議する。大和証G傘下の大和証券が長年、あおぞら銀の主幹事を務めている関係でさまざまな協業の可能性を以前から協議していたとしている。

 

同日の決算会見であおぞら銀の大見秀人社長は「成長につながる相手との連携は常に検討していた」とし、大和証Gとの交渉が始まったのは今年に入ってからだったと説明した。その上で「銀証連携サービスで日本経済の成長を取り込む」と語った。大和証Gの荻野明彦社長とは以前から面識があったといい、「気心が知れた中で話が進んできた」とも述べた。

 

あおぞら銀は2月に米国オフィス向け不動産融資への追加引き当てなどで、前期の純損益予想を黒字から一転して赤字に修正。米商業用不動産の市況悪化が日本に飛び火した例として注目された。5月1日には繰り延べ税金資産を取り崩すとして、再度業績の下方修正を行った。増資によって資本の充実を図り、調達した資金は全額を9月に期限を迎える社債の償還に充てる。

 

決算資料によると、3月末時点での米国オフィス案件の残高は18億8600万ドル(約2940億円)で、貸し出し全体に占める割合は7%だった。1ー3月期に新たな破たん懸念先は発生していないとした。

 

あおぞら銀を巡っては今年2月、旧村上ファンド系のシティインデックスイレブンスが5%超の株式を共同保有していることを開示。3月5日には保有比率を8.92%まで引き上げたことを公表し、短期間に急速に株式を買い集めたことが注目を集めた。

 

 

今回の増資によって、大和証Gが旧村上ファンド系を上回り事実上の筆頭株主となる。大見社長は会見で、旧村上ファンド系が株式を買い増していたことと大和証Gとの資本提携は「全く関係ない」と話した。

ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の伴英康アナリストは「あおぞら銀行にとっては経営基盤の強化と事業基盤の拡大が急務だった。銀行同士というよりは大手証券との連携による収益基盤の拡大にかじを切ったということだろう」と指摘している。