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声を上げる若者たち 全米の大学で広がるデモ 若者たちを駆り立てているものとは?【風をよむ】サンデーモーニング

 

いま、全米各地で、若者たちによる、イスラエルへの抗議デモが激しさを増しています。若者たちを、駆り立てているものとは? 

 

■全米40以上に広がる大学デモ

 

 警察「ニューヨーク市警だ。大学から退去しなさい。拒否すれば逮捕の可能性もある―」 4月30日、アメリカの名門大学が大きく揺れました。ニューヨークにあるコロンビア大学のキャンパスに、次々警察官が入り… パレスチナで軍事行動を続けるイスラエルに抗議する学生らの強制排除に踏み切ったのです。 学内でテントを張って抗議デモを続けていた学生たちに、大学側は退去しない場合、停学や退学処分にすると通告。反発した学生らの一部が抗議し、建物を占拠していました。 米・大学生 「団結は力です。みんなガザを支援するために団結してここにいるのです」 学生らは、大学がイスラエルの軍需企業などに投資しているとして、その関係の断絶も要求しています。 米・大学生 「イスラエルの大量虐殺で利益を得る企業から、寄付金を切り離すよう、大学に要求するために集まったのです」 こうした抗議デモは全米40以上の大学に拡大し、各地でデモ隊と警察が衝突。すでに2300人以上が逮捕・勾留されています。 1960年代、ベトナム反戦運動が大きな広がりを見せ、大学も舞台となりました。

 

それからおよそ60年、再び大学を起点に広がる「反戦」の声。 

 

■なぜ今、Z世代は声を上げるのか? 

 

今回、デモに参加した学生の多くが1990年代後半から2010年代前半に生まれた、いわゆる「Z世代」。SNSでつながり、連帯を深めました。

 

 

 大学生 「大量虐殺の真っ只中にいる時に、卒業の心配をするなんておかしい。何が重要かを考えないといけない」 「ガザの人々はとてつもない決意をもって戦っている。だから我々も同じ抵抗の精神を示したい」 なぜ今回、若者たちは立ち上がったのか。

 

アメリカのZ世代を研究する同志社大学の三牧さんは… 三牧聖子准教授(同志社大・アメリカ政治) 

 

「彼ら、彼女たちが生きていたこの20年超、アメリカという国は、ずっと対テロ戦争で命を奪う国だった。本当は命を守るために使うべきお金が、戦争に使われて他国の人達の命を奪ってきた。こういう認識が、今の若者たちがガザを見る視線。どうして命を奪う方をここまで支援するのかという批判意識に結びついている」 実は今、こうしたZ世代の発言力は急速に増しています。 

 

米・若者デモ 「私の体のことは、私が決める!」

 

 アメリカ世論を二分する人工中絶問題や、地球温暖化問題、MeToo運動に、黒人差別に抗議するブラックライブズマターなど、Z世代は大きな役割を果たしてきました。 米・若者 「権力者たちは、私たちの利益を尊重していない」 さらに半年後に迫った大統領選のカギをも握るとされるZ世代。

 

三牧さんは、この世代について… 三牧聖子准教授(同志社大・アメリカ政治) 「ブラックライブズマター、これは決して黒人の命だけが大事という運動ではなく、全ての命が尊重されなきゃいけないという訴え。Z世代が世界を見たときに、実はアメリカが人権を促進するどころか、人権侵害に加担しているということで、ダブルスタンダードがあった。これはまさに人権の普遍化に反することで、そういう声を上げているのがZ世代

 

■世界のZ世代に広がる共感 こうした全米の大学で広がる、イスラエルへの抗議デモに対し、ガザの子供たちの感謝の動画が、SNS上に広がっています。 ガザの女の子「ありがとうを伝えたいと思います。愛とともに受け取って下さい」 そして今、若者たちの声は広がりを見せ、ヨーロッパで…  仏ソルボンヌ大・学生「パレスチナに自由を!」

 

 ■そして日本でも… 

 

1日、小雨の中、早稲田大学に多くの学生が集まり、ガザでの戦争は「イスラエルによる虐殺」だと訴えました。 声を上げた若者たちは― 戸田翔さん(早稲田大学4年) 「(SNSで)現地の誰かが実際に声を上げているのが、直接届いてくる。国内も国外の問題も繋がっている。だから若者は、おかしいことに、おかしいと気付けるという点はあると思います」

 

 そして憲法記念日を迎えた3日にも…

 

 大内由紀子さん(広島市立大2年 ) 「核大国の顔色をうかがうばかりの政治は、核兵器のない未来に近づくことはないでしょう」 「(世代間で)意見が違うことが悪いことではなくて、いろいろな意見が存在してもいいと思いますし、お互いをいがみ合ったりするのではなくて、尊重し合うこと。これは必ずできることだと考えております」

 

 今、声を上げ始めたZ世代の若者たち。

 

その思いは、世代を超えて広がりを見せるのでしょうか―。

 

 (「サンデーモーニング」2024年5月5日放送より)

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パリ=宋光祐

フランス新首相にアタル氏 34歳、第5共和制で最年少、同性愛公表

フランスのパリ郊外で2022年4月20日、テレビの撮影に訪れたガブリエル・アタル氏=AP

 

 フランスのマクロン大統領は9日、首相を8日に辞任したボルヌ氏(62)の後任として、前教育相のガブリエル・アタル氏(34)を任命した。AFP通信によると、1958年に始まった現在の政治体制「第5共和制」で史上最年少の首相となる。政権の求心力が低下するなか、マクロン氏は政治家として人気のある若いアタル氏に政権浮揚を託した形だ。

 アタル氏は1989年、パリ郊外クラマールに生まれ、エリート養成校のパリ政治学院などで学んだ。社会党のオランド前政権下で大臣補佐官を務めた後、2017年にマクロン氏の新党「共和国前進」から下院選に出馬し、28歳で初当選した。

 

 ボルヌ前首相のもとで昨年7月に教育相に起用されると、中学生の頃にいじめを受けていたことを公表。政府が同年9月に策定したいじめの予防策や加害者への厳罰を定めた「いじめの総合対策」を主導した。昨年12月の世論調査では政治家としての支持率が40%に上り、マクロン氏や右翼政党「国民連合」のルペン前党首らを抑えてトップの人気を得た。

 マクロン氏は9日、アタル氏に組閣を指示した上で、X(旧ツイッター)への投稿で「再生に向けたプロジェクトを実行するためのあなたのエネルギーと取り組みを頼りにしている」と呼びかけた。

 アタル氏は同性愛者であることを公表している。仏メディアによると、フランスで同性愛を公表した政治家が首相に就任するのは初めてのケースになるという。(パリ=宋光祐)

 

 

 

 

フランス新移民法に波紋 地方の県が拒否を宣言、憲法違反の可能性も

パリ=宋光祐

 
パリのレピュブリック広場で2023年12月18日、移民法への反対を訴える市民ら=ロイター

 移民の受け入れを厳格化する新移民法をめぐって、フランスで波紋が広がっている。マクロン大統領は20日夜、「我々に欠けていた盾だ」と新法の必要性を訴えたが、全国の3分の1近くにあたる県で新法の一部施策の適用を拒否する動きも出ている。マクロン氏自身も新法が憲法違反の可能性があると認め、憲法院の判断を仰ぐ考えを示した。

 「我々が移民の問題を抱えているのは現実だ。10年前よりも移民の圧力は強まっている」。マクロン氏は20日夜に出演した討論番組で、移民への規制を強化した新法の必要性を強調した。しかし、右翼政党「国民連合(RN)」の賛成で19日に成立した新法は、政府が上下両院に提出した当初案よりも厳しい内容だ。