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読売新聞
なくならない給食での死亡事故、苦悩の学校…ウズラ卵「代替」見つからず・指導は現場任せ
また、低学年では、食材の危険性について理解が不十分な子どもも多い。
文部科学省の「食に関する指導の手引」でも窒息事故防止の項目はあるが、「早食いは危険」「よくかんで食べるよう指導」「児童生徒の様子を注意深く観察」などの記載にとどまる。具体的な指導の内容や方法は現場に任されている。
千葉県の小学校に勤める20歳代の男性教諭は「毎日30人以上の子どもが一斉に給食を食べる。全員に目を配ろうとしても、配膳指導や子ども同士のトラブル対応などもあり、限界がある。給食による事故は、いつ自分の学校で起きてもおかしくない」と不安を漏らす。
食材を小さく切るなど工夫を
学校給食では食材を制限しにくい面もある。ウズラの卵が入った給食による事故は過去にもあり、危険性が指摘されていたが、「子どもに人気の食材で、鉄分などの栄養価も高い。使用しやすい価格帯で簡単に代替品は見つからない」(関東地方の県教委)との事情もある。
かつてウズラの卵が入った給食で事故が起きた大阪市も、食材は変更していない。担当者は「喉に詰まりやすい食材は一つではない。その全てを禁止するわけにもいかず、教員への研修や指導で対応している」と話す。新潟県佐渡市でも21年7月に給食の米粉パンを喉に詰まらせた小5の男児が亡くなる事故があり、市は直後に米粉パンの提供を一時中止したが、現在は制限していない。市教委担当者は「主食であり、一切出さないわけにはいかない」と説明する。
日本栄養士会理事の中田智子栄養教諭は「給食は幅広い食べ物と出会う『食育』の役割も持つ。栄養バランスもあり、食材の提供を中止することが必ずしも正解とは限らない」と指摘。その上で食材を継続して使う場合には、「1学期は食材を小さく切り、新入生が給食に慣れてきた2学期以降は徐々にサイズを変えるなど、各学校で工夫してほしい」と話している。