韓国総選挙野党「共に民主党」が圧勝


更に「祖国革新党」が12議席獲得し

尹政権に大打撃を与えた


この「祖国革新党」を率いたのが尹錫悦検察総長(当時)によって潰され日本で「たまねぎ男」と揶揄されたチョグク氏
 

 渡辺マリ(たんぽぽ舎ボランティア)

〇 保守政権下の韓国検察は「できないことがない」「第四の権力」といわれ、既得権益ブロックの重要な要となってきた。
 文大統領の悲願はこの政権と検察の癒着にメスを入れる「検察改革」、そのための切り札として検察総長に任命したのが尹錫悦氏(現大統領)だった。
 だが、検察総長としての尹の行動はいわば「検察至上主義」であり、外部からの圧力に左右されない気骨はあっても、検察の力を削ぐ改革には事実上、反発や非協力を貫いている。
 保守言論や国会議員へのリークによる世論捜査、「選択的正義」として非難される標的捜査や手抜き捜査、身内の庇護など、それまでの韓国検察の体質はそのまま引き継がれた。

〇 検察改革のもう一つの切り札としてチョグク氏を法務部長官に指名すると検察の組織防衛のためのチョグク潰しが本格化。
 既に任命される前後からチョグク氏とその家族についての、検察からのリークによるものと思しき不正蓄財や不正入試にまつわるおびただしい数の疑惑報道が溢れ始めた。
 そして、わずか1カ月余りの在任で辞意を表明せざるを得なかった
 しかし裁判でそれらの容疑を裏付ける確証を検察が示しうるのかも覚束ない状況が明らかになっている。
 チョグク一家の起訴内容や公判の過程でむしろ検察の強引な標的捜査や検・言癒着(検察と保守言論との癒着)が問題として浮上した。
 ☆「文在寅時代の韓国」文京沫著 岩波新書(149頁~152頁より抜粋)

 そのチョグク氏が今年3月に立ち上げたのが「祖国革新党」だ。
 スローガンは「3年は長すぎる!」(註:韓国の大統領の任期は5年)
 中道、無党派層を結集させ12議席を獲得したのだ。

 ☆今年3月16日、たんぽぽ舎で「尹錫悦退陣!」を掲げる韓国・民主労総の映像を上映。
  尹政権の基本路線は財閥優遇、労組弾圧、反北、「国家保安法」の名のもとの拘束、逮捕。「共に民主党」の李在明代表に対して何と276回にわたる押収捜査が行われている。
  軍事独裁時代の「公安統治」だとして立ち上がった民主労総の闘いを描いたものだ。

〇 元徴用工問題と安倍首相

 2018年に韓国大法院(最高裁)が日本企業に元徴用工(強制動員被害者)に賠償を命じた。
 被告企業は韓国に行き、その正当性を主張してきた、その結果がこの判決だ。
 被害者が加害者に謝罪と賠償を求めるのは当然のこと、判決に従うのが普通だろう。
 ところがこの元徴用工と日本企業の民事裁判に安倍政権が介入してきたために国と国との争いになってしまった。
 「日韓請求権協定」で解決済みとして対韓輸出規制などの報復措置を行い、韓国も対抗措置をとるなどして日韓関係は「最悪」となる。
 しかし、最悪にしたのはどちらだろう?

〇 尹錫悦政権誕生

 尹政権は韓国政府傘下の「日帝強制動員被害者支援財団」が判決の確定した被害者に賠償金相当額を「日本企業の代わりに肩代わりして支払う第三者弁済」という「解決策」を提示し、日本政府は「日韓関係を健全な関係に戻すものとして評価」し、受け入れた。
 被告企業は被害者に謝罪もしなければ償いのための金を1円も出さずに済むということだ。
 被害者の人権より、安全保障、日米韓同盟関係を優先。
 日韓・シャトル外交も再開。

〇 バイデン氏、大喜び

 これまで、日米、韓米関係は良好だったが、日韓関係が問題だった
 日・米・韓の安保協力の体制を確立するため両国の修復を強く望ん
いたバイデン政権。
 尹大統領となり、日・米・韓の3か国の同盟的状況が実現。
 この日・米・韓の関係は⇒米の主導、日韓追従。
 特に突出しているのが軍事的関係だ。

〇 4月14日「朝日新聞」社説
 米国は抑止力の構成要素に「同盟国の活用」を組み込む。
 バイデン政権の国家安全保障戦略では、同盟重視の意義を「敵が我々の大陸に到達する前に脅威を打ち砕く」と記述している。
 自国の被害を最小化し、国益確保のために同盟国をいかに使うか」と考えるのは自然だろう。