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2024年3月27日


福島県は避難者への住居明け渡し「強制執行申し立て」を取り下げて
平和的に解決する努力を真剣にしなければなりません


「避難の権利」を求める全国避難者の会
共同代表 中手聖一 宇野朗子
札幌市厚別区厚別西4条2丁目6-8-2
TEL 080-1678-5562

 2024年3月8日、福島県の「強制執行申し立て」を受けた東京地裁の執行官6名が、東京の国家公務員住宅に避難している避難者宅に催告書を持って現れ、家財道具に張り紙をして、1ヶ月以内に住居から退去するよう命じました。

原発事故で被災した福島県が、同じ事故の被害者である避難者に対し、ここまで不寛容な力ずくの決着を急がねばならないのには、どんな理由があるというのでしょうか。

 

いったい何のため、誰のための強制執行なのでしょうか。


 私たち避難者は全国47都道府県に一次避難をし、大半の避難者はその後再避難を重ねて現住の避難(移住)先にたどり着きました。

 

中には再避難が難しい事情を抱えていた者もいましたが、その多くは避難先自治体等の理解と協力を得て困難を乗り越えてきました。

 

けれども今もまだ、再避難できず定住先も決まらずに、不安な居住環境に置かれた避難者がいます。

 

今回、福島県の申し立てにより明け渡し催告を受けた1世帯はまさにそのような方です。同様の危機に直面している避難者は他にもいます。

 

しかし何故なのでしょう。

 

そのほとんどが避難の過程で福島県と契約を結んでしまった者であるという事実を、どう考えればよいのでしょうか。

 

これでは能登半島地震の避難者が嘆く、「避難(所)ガチャ」そのものと言わざるを得ません。問われているのは、福島県の避難者支援の姿勢と努力なのです。


 私たちの会は他の団体と共同で、被災者同士が争い合う不幸を避けようと、話し合いや支援エキスパートの助力を得るなど平和的に解決する方法を、福島県に対し何度も提案と働きかけを行ってきました。

 

ところが残念なことに、福島県は実効性ある努力の姿勢を見せないまま、2020年3月福島地裁に退去を求めて提訴し、裁判による法的な争いが始まり、2024年1月の仙台高裁判決を経て、最高裁へ上告されて今も続いています。
法が許すのなら何をしても良い訳ではないことは言うまでもありません。福島県には、被災し復興を掲げる行政としての正義規範がなければなりません。

再避難したくても出来ない避難者に対して、強制的に立ち退かせを執行し、力ずくで決着させるならば、再生と復興を目指す福島の歴史に恥ずべき汚点を記すことになります。まして、司法上の決着を待つこともせず、いま強制執行を行えば大きな禍根を残します。


福島県は、とりわけ支援を必要としている避難者を追い詰める、強制執行申し立てを取り下げるべきです。


そして、同じ被災者同士として共に困難を乗り越えていく姿を、未来を担う子どもたちに見せなければなりません。

 

それを行う先にこそ、真の復興があるはずです。

 

 

 

抗議声明                  

福島県知事 内堀雅雄様

避難者住宅追い出し強制執行申立てを取り下げよ

福島県は、司法の力を借りてまで原発事故避難者の住居を奪い、路頭に迷わせるのか。
内堀知事は、心痛まないのか。
福島県は3月8日、東京・東雲の国家公務員宿舎の避難者に対し、仙台高裁に退去を求め
る強制執行申立てを行い、執行官6名が被害者宅を訪れ「4月8日までに退去せよ。退去しない場合は同日午後1時から強制執行する」との催告書を手渡した。
これは、福島県が2020年3月、避難者を被告として退去と家賃支払いを請求する訴訟を福島地裁に起こし、同地裁の判決を受けた仙台高裁が今年1月15日に出した控訴棄却。地裁判決の仮執行宣言に基づくものという。しかし、被告・弁護団は最高裁に上告し、訴訟は継続中である。
私たちは、この強制執行申立てを直ちに取り下げ、避難者の住まいを保障する措置を講じることを要求する。
知事は2017年3月31日、避難指示区域外からの避難者に対する住宅提供を一方的に打ち切った。国家公務員宿舎などの入居を認める過渡的措置2年が終了したとして、2019年4月以降、残っている避難者に立ち退きと家賃の支払いを請求し続け、応じることのできなかった避難者を調停・裁判にかけるという強硬手段をとった。
私たちは知事が無償提供打ち切りを宣言した2015年6月以降、知事に対して幾度となく話し合いを求め、県当局とも29回わたる話し合いを続けて来た。しかし、知事は私たちの訴えに一切聞く耳を持たず、ひたすら「追い出し」の強硬手段を取り続けてきた。
改めて内堀知事に問う。
原発事故という未曽有の被害に遭い、13年経った今も苦しむ県民である避難者の状況に思いは至らないのか。
一人ひとりの被害者の苦難を非情に切り捨て、真の「福島の復興」は果たせるのか。
被害県の知事が、国内避難民としての人権保護を求める国際世論に耳を塞ぐ国と司法に追随するだけでいいのか。
あくまで今回の措置を改めないなら、福島県政史に非情・非道の汚点を残すものと私たちは考え、その責任を追及し続ける。
    2024年4月1日

原発事故被害者団体連絡会
     連絡先:080-2805-9004 Eメール:hidanren@gmail.com

避難の協同センター
     連絡先:090-1437-3502 Eメール:setodaisaku7@gmail.com