日本の医師は、大学の自治も言論・表現の自由もない大学で、日本国憲法も国際人権条約も国連憲章も学ばず、

 

韓国は、とっくに自由権規約第1選択議定書を批准し、法の支配を実現し、三権分立を確立しています。

 

ところが日本の医師は、韓国のDrがなぜストライキできるのか、人類普遍の基本的人権も人道の罪も知らない…

 

 

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働き方改革」

「あれが労働じゃなければ、何なんだ」日本の医療はどこへ行く

 

その夜も、気が抜けなかった。

「先生、来て下さい、お母さんの心拍が…」

看護師に呼ばれて飛び起き、全速力で駆けつける。

1分1秒、私の判断の遅れが、母子の将来を左右するかもしれない。

日々、大変だけど、やりがいはある。

でも、一つだけ心砕かれることがある。

この時間が「労働時間」ではない、とされることだ。

3月23日(土)の「おはよう日本」で放送した特集は、NHKプラスで放送1週間後、30日(土)午前7:30まで見逃し配信しています↓↓

 

画像をクリックすると見逃し配信が見られます【30日(土)午前7:30まで】

「支離滅裂なことが起きています」

「帳尻あわせです。抜け道、抜け穴になっています」

話を聞かせてくれたのは、関東で産婦人科医として働く30代の川村さん(仮名)です。

取材は、この4月から始まる「医師の働き方改革」についてのものでした。

 
 
 

川村医師
「支離滅裂なことが起きています。あれが労働じゃなければ、なんなんだって思うところはあります。『改革』どころか、結局、医師は労働者として、さらに守られないことになってしまいます」

何が起きているのでしょうか。

川村さんは、勤務医の当直の実態について話し始めました。

(以下、川村さんの話です)
※画像はいずれもイメージです。

眠れない当直

私はふだん、2次救急の病院の産婦人科で働いています。

その合間に「人手が足りないから」と頼まれて、週2回ほど、外部の病院で夜間の当直勤務に入っています。当直に行くのは、日中の診療を終えてからになります。

ある当直の1日のことです。

その日は、午後7時頃に当直先に到着するやいなや、「妊婦がお腹を痛がっている」と救急要請が入りました。

 
 
 

検査や採血をして患者さんへの説明まで行うと、1人だいたい2~3時間かかります。

午後9時を回る頃にも、「腰やお腹が痛い」と訴える発熱した妊婦さんが来られたので、診察にあたりました。

日付が変わった未明、今度は「切迫早産です。受け入れられますか?」という要請がきました。帝王切開の可能性も考え、いつでも手術ができるよう準備をしました。

遠方の妊婦さんだったので、病院に到着したのは午前2時前。すぐにも生まれるという状況ではなかったので、モニターで胎児の様子を確認し、説明を終えた頃には、3時半を回っていました。

 
 
 

誰も見てないし、誰も知らない

この日、最も危険な状況はこの後にやってきました。

明け方、妊娠10か月になったばかりの妊婦さんが「胸がドキドキして痛いんです」と訴えてきました。不整脈の症状で、心拍数は200に上っていました。これは非常に危険です。心臓はポンプですから、このままでは疲れ切ってしまう。場合によっては死んでしまってもおかしくない状況なのです。

とにかく“すぐにでも止めなきゃ”と思いました。心臓の速度をゆっくりにする薬はあります。しかし、問題は胎児です。薬が胎児に悪影響を与えるおそれがありました。

心臓の専門医とも相談し、心電図のモニターを見ながら慎重に薬を使いました。1時間ほどしていったん不整脈は止まりましたが、2時間後に再発。ただ、薬をこれ以上使うのは胎児に危険だと判断し、様子を見ることにしました。

 
 
 

もう日はとっくに昇っていました。日勤のドクターに引き継ぎました。後になって聞いた話ですが、このお母さんは無事出産できたそうです。この後、いつも通り、自分の病院に戻って夕方まで働きました。当然、こんな状態でしたから、一睡もできていません。

でも、当直先の病院では「宿日直許可」が出ていますから、当直に対する一定の手当は出ても、労働時間にはカウントされないということになるのです。当直の時間は、日中の勤務と勤務の間の「休息」時間とも扱われます。

私がどのくらい忙しかったのかは、誰も知りませんし、把握されないのです。

(ここまで、川村医師の話)

労働基準法の“特例”

医師の話に出てきた「宿日直許可」とは、何なのでしょうか。

これは、ふだんの業務と比べて軽度で、十分な睡眠がとれるといった業務の場合には、労働基準監督署から許可を得て、一定の手当を支払えば、その時間内の労働時間は計算上、「ゼロ」とみなすことができる制度です。

 
当直の労働時間は「ゼロ」に 「休息」扱いも

例えば、ビルの警備員が夜間に定時巡回したり、防犯モニターを監視したりしながら、それ以外の時間は寝ていることができるような勤務などが代表的です。いわゆる「寝当直」と呼ばれるようなものが想定されています。

しかし、ここ数年、医療機関がこの「宿日直許可」を取得するケースが急増しています。

 
 
 

2020年の許可件数は144件でしたが、翌年は233件、最新の2022年のデータでは1369件にまで上っています。

ことし4月から「医師の働き方改革」が制度として始まると、患者の診療にあたる勤務医は、年間を通じて働ける時間数に上限が設けられます。

そのため、医師の数が限られる中で、できるだけ労働時間を抑えようとする医療機関側の狙いがあるということです。

ある日求められた報告

では、なぜ睡眠がとれないほど忙しい病院で、許可が取れるのでしょうか。

冒頭の川村医師は当直を行う病院で、ある日こんな報告を求められたといいます。

「労基署が許可を出しやすくするためのデータ収集」

「業務内容を細分化して、診察や処置など自分自身で行った時間のみを“5分単位”で記録して下さい」

 
 
 
赤字の部分が報告を求められた時間

厚生労働省の担当者は「救急や産婦人科など忙しいと言われる診療科でも、工夫次第では許可が取れます」と説明します。時間帯をしぼるなど、柔軟に許可を得ることもできるということです。

厚生労働省はホームページで、どのようなケースで「許可」することができたか、20の事例を示すなどして、医療機関に取得を促しています。

一方、川村医師が病院に報告を求められたデータの中には、妊婦の受け入れのために行う準備や、看護師への指示などの時間は含まれていなかったということです。

 
 
 

川村医師
「例えば、実際3時間気を張っていたとしてもですね、報告の上でカウントされるのはこの1時間だけという形になります。患者さんを受けるにあたって、しっかり責任持って対応できるように準備をさせていただいているのに、そこの部分が申請する時間に入らないというのが、ちょっと心砕かれるというか、うちらの労働時間なんだと思っているんだと」

「厳密に運用すれば破綻する」

なぜ医療現場で「宿日直許可」の取得が進められているのでしょうか?

取材の中で、たびたび聞かれた言葉があります。

「地域医療を守るためだ」

医師の数が多い都市部の大病院と比べ、地域の医療機関は外部から人手を頼らざるを得ません。特に大学病院からは、多くの医師が各地に派遣されています。

医師の労働時間に上限が定められると、大学病院は長時間労働になるような医師の派遣はできなくなります。

各地の病院は派遣を打ち切られると困るため、取得に奔走することになるのです。

ある大学の病院長も「宿日直許可を厳密に運用すれば、地域医療が破綻しかねない」と本音を漏らします。

一方、現場の医師たちからはこんな声も聞こえてきます。

「宿日直許可は得ておきながら、救急車は何時でも断るなと言われた」

「同時に3~4人の患者を診るような状況で、寝られません。36時間労働が当たり前でした」

「実情は変わらないのに、見かけの時間だけが減って、給料が下がるケースまであります。とにかく失望した、徒労感を感じました」

勤務中に倒れた夫

「宿日直許可」の影響は、思わぬところにも及んでいました。

「勤務先から夫が倒れたという突然の電話、それからの家族の生活は一変いたしました。夫は命こそ救われたものの寝たきりとなり、私は、当時まだ幼稚園と小学生だった子どもたちとこれからどう生きていこうかと途方にくれ、不安に押しつぶされそうな日々でした」

都内の大学病院に勤めていた40代の男性医師は6年前、勤務中に倒れました。診断の結果、くも膜下出血を発症していました。

当直明けの日には「寝られなかった」と話すこともあった男性医師。妻は“過労によるものだ”と考え、労働基準監督署に対して労災認定を申請しました。

労災認定の審査で焦点のひとつとなったのが“労働時間”の長さ。中でも、注目されたのは、当直時間の扱いでした。

 
 
 
男性医師の電子カルテへのアクセス記録

“ブラックボックス”

この点については、行政機関によって評価が分かれました。

最初に審査にあたった労働基準監督署は、当直時間のうち、一律6時間は仮眠時間として除外したものの、残り時間は労働時間に算入しました。

しかし、より上位の審査を行う国の審査会は、ことし1月、当直の勤務の時間帯を“原則として労働時間に含めない”という決定を出しました。

その根拠となったのが「宿日直許可」でした。

例外的に労働時間に認められたのは、あわせて18回の宿日直のうち、弁護士が調べた電子カルテのアクセス記録などから、明らかに業務を行っていたとみなされた「660分=11時間」に限られました。

労働問題に詳しく、このケースの労災申請に関わった蟹江鬼太郎弁護士は、宿日直許可のもたらす効果についてこう指摘しています。

 
 
 

蟹江鬼太郎弁護士
「夜中の医師の行動を調べようと思うと、カルテの記録を一つ一つつなぎ合わせて見なければなりませんでした。それでも労働時間の立証は難しかったです。今後は、宿日直許可が出ていたら労働時間としては認めないという流れが強まる可能性が高いと思います。労災申請や裁判といった争いを起こさない限り、医師の労働時間は“ブラックボックス”になりかねません」

労災の申請は認められず、男性医師の妻は今後、裁判で争っていく意向だということです。

労基署に入られて…院長の告白

一方で、「宿日直許可」の運用をめぐって労働基準監督署が医療機関に立ち入り、勧告を行うケースもあります。

 
 
 

東京・中央区にある聖路加国際病院です。

救急患者の受け入れ件数は都内でトップクラス。救急医療に力を入れている病院の一つですが、2016年に労働基準監督署に立ち入りを受け、「是正勧告」を受けました。

「病院の医師が行っているのは『当直』ではなく、通常の夜間勤務であり、時間外勤務として手当の支払いが必要である」

「違法状態」を指摘する厳しい内容でした。

病院が受けていた宿日直許可は、昭和41(1966)年に取得したものでした。

宿日直許可は一度おりてしまえば、事業者側から定期的に運用の仕方を報告する必要はないのです。

 
 
 
聖路加国際病院が取得していた宿日直許可証

長年、救急医療に取り組んできた院長(当時の救急科部長)は、是正勧告を受けた時のことをこう振り返ります。

「それまでが宿日直と夜勤との違いもあまり意識していませんでした。労基署から指摘をされて初めて、宿日直っていうのは軽度な労務だけなんだ、と認識しました」

なぜ医師たちを管理する立場でありながら、その違いを意識していなかったのか。

背景には、長年染みついた「医師としての感覚」があったとしています。

 
 
 

石松伸一院長
「医師は365日24時間働いて当然だという教育を受けてきました。病院にいないことに罪悪感を感じる雰囲気すらありました。患者さんが求めたときに、自分が病院の中にいないということは、医師として欠落している部分があるんじゃないかと。医師としてしか働いたことがないので、これがあたりまえだという意識がありました」

「そんな魔法はないですよ」

聖路加国際病院は、医師の働き方と医療体制に抜本的な見直しを迫られました。例えば。

・土曜日の外来診療 34の診療科→6つに減らす
・深夜早朝の救急外来の医師 4人→2人

診療体制も見直したため、一時、救急患者の受け入れを断らざるをえないケースも増えました。

救急科の大谷典生部長は当時の衝撃をこう語ります。

 
 
 

救急科 大谷典生部長
「救急車を受ける数が減ったのは、みんなショックでした。『人数少なくなってもやるしかないよねって、たとえそれが1人になったとしても救急車を守らないと』という思いはありました。ただ、現場の診療を効率よくっていうのはなかなか難しくて、ともすると手抜きみたいになってしまうので…」

医師が集まって症例を検討したりする対面のカンファレンスもやめました。

資料もオンラインでの共有に切り替え、できるだけ診療にあてる時間を残しました。

病院全体で医師の時間外労働は、平均100時間近くから40時間以下へと大幅に減少しました。

それでも難しさがあるといいます。

救急科 大谷典生部長
「世の中、救急要請の数も増えていますし、社会の救急に対するニーズっていうのはどんどん増しているというのがやっぱ現状です。それに比例しマンパワーは増えているかというと、そうではありません。『救急車や来る患者さんを断ればいい』って言えば話は簡単ですけど、そうじゃないとも思います。そうなると、どこを落としどころにするかっていうところが一番ですが、今の時点で答えは正直ないですね」

 
 
 
夜間の救急外来の様子

取材の最後に、大谷部長がつぶやいた一言が耳に残っています。

「この一手ですべてうまくいく、そんな“魔法”はないですよ」

“自己犠牲”を超えて

今の日本の医療は、勤務医のいわば“自己犠牲”によって成り立っているとも言われています。

この状況が続けば、過酷な医療現場ほど、なり手がいなくなってしまうおそれがあると、専門家も指摘しています。

 
 
 

自治医科大学 小池創一教授
「今までのやり方で続けていけば、ある時突然一切が立ちゆかなくなってしまう時が来るかもしれない。有限な医療資源をどのように使っていくのがいいのか。それは患者さん、あるいは社会全体で考えていかなければいけない問題ではないでしょうか」

簡単に解決策は見えません。

ただ、「帳尻あわせ」だけに走ると、いつか必ずひずみが現れてくる。

そのことを肝に銘じながら、安易な答えを求めるのではなく、医療と社会のあり方を根本から見直し、持続可能にするための具体策を打ち出すことが、今、求められていると思います。

実態がそぐわないときは




 

最後に一つ。もし今後、現場の医師が「宿日直許可」と職場の実態がそぐわない状況に直面してしまったとしたら、どうしたらよいのでしょうか?

宿日直許可の基準では、宿日直中に“通常業務”をしたならば、その時間は労働時間として適切な割増賃金を払う必要があると定められています。

厚生労働省の担当者によると、不適切な運用や違法な対応があれば、最寄りの労働基準監督署に連絡・相談して欲しいとのことです。このほか、労働問題に詳しい弁護士に相談するなどの方法もあり、過去には裁判で宿日直中の時間外労働が認められたケースもあります。



労基署も厚労省管轄 ❕❕❕❕❕❕❕
↓ 超危険❕❕❕❕❕❕❕❕❕ ↓ ↓ ↓ ↓

また、“通常業務”が夜間や休日に常態化しているといった状況を伝えるためには、厚生労働省のホームページに「労働基準関係情報メール窓口」もあります。

『「労働基準関係情報メール窓口」送信フォーム(厚生労働省HP)』

厚労省も労基署もNHKにも言論・表現の自由はありません。