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「真逆の結果」割れた判断 弁護団「明らかに疑問」 水俣病訴訟

水俣病訴訟の判決を受け、報告集会で発言する園田昭人弁護団長=22日午後、熊本市中央区

 

 水俣病の認定を巡り、原告全員の請求を棄却した熊本地裁判決は、原告全員を水俣病と認定した大阪地裁判決と大きく異なる。 

 

 熊本訴訟の園田昭人弁護団長は「真逆の結果。明らかにおかしい」と語る。

 

  大阪、熊本両地裁の判決は、水俣病の潜伏期間についての考え方が異なった

大阪地裁は「特定の年数をもって限定できない」としたが、熊本地裁は「遅くとも10年程度と考えられると判断。園田団長は「どこから出てきた数字なのか分からない」と首をかしげる。

 

  「除斥期間(※)」の起算点を巡っても、判断は食い違った。熊本地裁は「水俣病発症時」とし、「診断時」とした大阪地裁よりも早い段階で除斥期間のカウントが始まったとした。

 

園田団長は「原告は水俣病ではないと思い続けていた。あまりにも短絡的だ」と批判する。

 

  一方、25人を水俣病と認定したことについては「厳しい判決の中でも、国の救済策が不十分であることがはっきりした」と評価した。この点は東京訴訟の尾崎俊之弁護団長も「救済者を国が主張するより広く認めた事実はある」と話している。

 

  新潟地裁では4月18日、原告151人のうち47人に判決が言い渡される。中村周而弁護団長は「熊本地裁判決の矛盾点を解き明かすような判決になってほしい」と語った。 

 

 

※除斥期間とはじょせききかん 

法律で定められた期間のうち、その期間内に権利を行使しないと権利が当然に消滅する場合の、その期間をいう。 時効と異なり、中断すること(ある事由により経過した期間が消えること)はなく、また、当事者の援用(この規定によって利益を受ける旨の意思表示)がなくても効果が生じる。