おわびしなかった岸田首相❕❕❕❕❕❕
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「捨て身追及」にいら立つ首相 防戦から一転「あべこべ答弁」…党内から疑問
2024年度予算案は4日から参院予算委員会に審議の場を移したが、衆院採決の混乱を引きずりピリピリムードが漂った。自らの辞職歴を引き自民党をただす立憲民主党・辻元清美氏の「捨て身の追及」(野党幹部)に岸田文雄首相はいらだちを隠せない様子。追及を受けた閣僚を制して首相自身が議論に割って入る「あべこべ答弁」(自民幹部)も飛び出した。
異例の「土曜国会」となった2日の衆院可決によって日曜日の3日も、週明けからの予算委質疑の準備で与野党議員、府省庁職員ともに出ずっぱりとなった。卒業式シーズンで子どもの式への出席を見送った人たちも多いとされる。政府関係者らの話を総合すると、答弁冒頭に苦労をねぎらう旨の一言を入れる案も検討された。しかし首相サイドは「混乱は野党の抵抗のせいだからメッセージは不要」と一蹴したという。
辻元氏は「総理が予算の年度内成立に固執して混乱を招いた。そもそも審議が押した原因は自民の裏金事件だ」、参院予算委野党筆頭理事の石橋通宏氏(立民)は「今回の混乱は参院軽視の印象を国民に与えた。わびの一言があるべきだ」と促したが首相は「日程は国会でお決めになったこと」と一顧だにしなかった。
辻元氏から政倫審で明らかになったパーティー券収入キックバック裏金事件を巡る安倍派幹部の説明の食い違いをただされ、首相は「党幹部を中心に実態把握をする」と説明。
「幹部は誰か。茂木(敏充)幹事長か」と自民内の不協和音を踏まえ食い下がられると「食い違いがあるかどうか確認しないと分からない」と突然、論点を変えた。
「へえっ?」とあきれた声を上げた辻元氏は22年前に自身の秘書給与問題で議員を辞職し、その際に国会の参考人招致に応じた過去に言及。「私は逃げなかったから議員に復帰できた。自民の若手議員も真実を語るべきだ」と呼びかけた。
防戦一方の首相は辻元氏が「英国国防相が日本の武器輸出三原則見直しの可能性に英国議会で言及した」との事実を引き「(木原稔防衛相との)大臣同士の面会で合意したのではないか」と追及に入ると一転反撃に出た。
挙手する木原氏に代わって答弁に立つと「英国側の発言は英国側の期待」とした上で「武器輸出三原則の見直しは2011年の民主党政権下で始まった」と付言。「求めた時には答弁から逃げるくせに」「あべこべに出てきて余計な主張をする」などと辻元氏ら野党席から批判を浴びた。
「総理のピンチに閣僚が助太刀に出ることはあるが、その逆は初めて見た」と驚く自民の閣僚経験者は「粛々と答弁していた木原さんを疑っているかのようで失礼。『民主党』を引き合いに出すのも品がない。自身の不満のはけ口に走ったと批判される」と「あべこべ答弁」に疑問を呈した。
神奈川新聞社
防衛装備輸出で火花 辻元氏「密室」批判、首相反論 参院予算委
参院予算委員会で、立憲民主党の辻元清美代表代行(右手前から2人目)の質問に答弁する岸田文雄首相(左)=4日午前、国会内
4日の参院予算委員会で、国際共同開発した防衛装備品の第三国輸出を巡り、岸田文雄首相と立憲民主党の辻元清美代表代行が火花を散らした。
「人を殺す武器を輸出する国にしたいのか」と政府方針を批判する辻元氏に対し、首相は「より市場が大きくなることから重要だ」などと反論。互いに譲らず、激しい応酬が続いた。
「武器の輸出国にならないのは国是のようなものだ。国のありようを変える問題で、自民、公明両党の密室だけでなく、しっかり議論すべきではないか」。辻元氏は、政府が英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機の第三国輸出を検討していることを取り上げ、首相にこう迫った。
辻元氏は「昨年12月に英国の国防相が下院で『(共同開発の)プログラムが成功するために(日本の)防衛装備移転三原則の変更が必要になる』と答弁している」とも指摘。英伊両国との「戦闘機密約」の存在を追及したが、首相は「英国側の期待を発言したと受け止めている」とかわした。
辻元氏はまた、防衛省が2月に設置した防衛力の抜本的強化に関する有識者会議に、国内防衛産業の中核を担う三菱重工業の会長が参加していることを問題視。同社との契約額が「2023年度で約1兆950億円」などとする政府答弁を踏まえ、「会長は利害関係者ではないか」と撤回を訴えたが、首相は「不自然ではない」と拒んだ。
一方、自民党の佐藤正久氏は第三国輸出の推進を主張。その上で「必要性、対象品目・地域、厳格な審議プロセスの3点を国民に説明する必要がある」と求め、首相は「移転の方針や条件などを国会で明確に説明することは重要だ」と応じた。
岸田首相おわび拒否 土曜国会の強引手法も「国会が判断」強調、立民「土日にあれだけ働かして」
岸田文雄首相は4日の参院予算委員会で、2024年度予算案の3月中の年度内成立を確実にしたいため、土曜日の2日にまで国会を開いて衆院を通過させた強引な手法を謝罪するよう求められたが、応じなかった。
立憲民主党の辻元清美議員から「本来なら普通に今日の月曜日(衆院で)採決すればいいのに土曜に強行された。参院の議員も職員も官僚も総理に振り回された」と指摘され「冒頭みなさんにひとこと、おわびをおっしゃって始めた方がいい。どうぞ」と、謝罪を求められた。
岸田首相は「国会の審議の運び方は、国会において判断いただくこと」と一般論を口にしたため、辻元氏は「だめだめ」とやじを飛ばしたが、首相は「重要な予算と申し上げ、年度内成立が重要と再三申し上げてきた。参院でも引き続き意審議をお願いしたい。丁寧に答弁をさせていただきたいと考えている」と述べるにとどめ、おわびの言葉は口にしなかった。
辻元氏が「土日が異常なことになった。おっしゃってからスタートしてください」と再び突っ込むと、首相は「日程の状況で、国会関係者のみなさま方にさまざまな影響を与えたのは、ご指摘の通り」と認めつつ「国会の運び方は国会で判断いただくものだが、政府与党としては年度内成立を確実にするべく、お願いをするのは重要なことと申し上げてきた。政府与党の考えに基づき、国会で判断をいただいた」と、一般論に終始した。
辻元氏に続いて質問に立った同党の石橋通宏議員も「(自然成立が確定する)年度内成立にこだわったのは、参院の審議を軽視しているためか。総理が指示をしたのか」と怒りをみせたが、首相は「具体的な指示をすることはない」「国会の日程は国会でお決めいただいている」と、繰り返した。 石橋氏は、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件が原因で、国会の開会や衆院予算案審議が遅れたとして「総理の責任だ」と指摘。「土日にこれだけ多くのみなさんを働かしといて、リーダーとして何の言葉もない」と首相の塩対応を批判。首相は「さまざまな関係者に影響が及んだことはご指摘の通り」と述べるにとどめ、石橋氏は「これが国民の命や生活を預かるリーダーの答弁なのか。残念だ」と納得できない様子で語った。