ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
茂木幹事長ら10年で億単位を「資金移動」 公開基準甘い団体に
自民党の茂木敏充幹事長の関係政治団体から、住所と連絡先、会計責任者が同じ別の政治団体に、2022年までの10年で約3億2千万円が移されていたことがわかった。資金が移った団体は、国会議員の関係政治団体よりも金の使途などの公開ルールが甘く、使途の大半がわからない形になっていた。 【写真】参院予算委で、立憲民主党の蓮舫氏の質問に答弁する新藤義孝経済再生担当相=2024年3月4日午後2時24分、岩下毅撮影 4日午後の参院予算委員会で立憲民主党の蓮舫氏が問題視し、政府に対応を求めた。 同様の「資金移動」は、茂木氏が会長の「平成研究会(茂木派)」で事務総長を務める新藤義孝経済再生担当相をめぐっても行われ、10年で約2億5千万円が新藤氏の関係政治団体から別の団体に移されていた。 国会議員関係政治団体は原則、「1件1万円超」の経常経費と政治活動費を政治資金収支報告書に明細まで記載しなければならない。一方、「その他の政治団体」では、経常経費の明細の記載は不要で、政治活動費も「1件5万円以上」と基準が緩い。関係政治団体は監査が必要だが、それ以外の団体では不要となっている。
朝日新聞社
立憲・蓮舫氏「政治資金の隠蔽では」 2閣僚を追及 参院予算委
参院予算委員会で質問をする立憲民主党の蓮舫氏=国会内で2024年3月4日午後2時20分、竹内幹撮影
立憲民主党の蓮舫氏は4日の参院予算委員会で、政治資金の透明性確保を巡り閣僚を追及した。新藤義孝経済再生担当相が代表を務める政治団体「自由民主党埼玉県第2選挙区支部」が、使途の公開など支出に関するルールが緩いとされる「その他の政治団体」の「新藤義孝後援会」に、10年間で計2億6000万円を寄付していると指摘し、詳細な使途がほとんど分からないとして「政治資金の隠蔽(いんぺい)ではないか」などと批判した。小泉龍司法相の関連団体でも同様の構図があると述べた。
新藤氏は「法律にのっとって経費を計上して収支報告をしている」などと時折語気を強めながら反論し、小泉氏も「実態がある」などと主張したが、蓮舫氏は「合法だけど脱法だ」などと追及した。 蓮舫氏はさらに、後援会への寄付を巡り、自民党の茂木敏充幹事長の団体でも同様の資金の流れが指摘されていることを取り上げ、「茂木氏は茂木派の会長で、新藤氏は事務総長だ。派閥パーティーの裏金疑惑はなかったが、法の抜け穴を使って裏金を作っているのではないか」と迫った。
岸田文雄首相は茂木、新藤両氏について「法律に従って対応している。不都合があるのであれば、各党共通のルールとして、法改正を考えていくべきだ」と答弁。茂木氏らを念頭に「まずは指摘された議員が、指摘された点について丁寧に説明することが重要だ」とも語った。
一方、茂木氏は4日の記者会見で、自身の資金管理団体から寄付を受ける政治団体「茂木敏充後援会総連合会」で使途の詳細がわからない支出があった問題について「政治資金規正法の規定にのっとり、収支を適正に報告している」と述べた。今後の対応に関し「後援会活動の中で、代替できる活動については今後、政党支部の活動として行うことも検討していく」との考えを示した。【樋口淳也】
蓮舫氏「茂木派方式では?」茂木派幹部の「裏金疑惑」追及「法律の抜け穴」10年で億単位と指摘
立憲民主党の蓮舫参議院議員は4日の参院予算委員会で、新藤義孝経産相や自民党の茂木敏充幹事長が、領収書を公開する必要がある国会議員の関係政治団体から、公開の必要が格段に緩くなる「その他の政治団体」に、多額の資金を移して「裏金化」しているのではないかとの疑惑を指摘した。 茂木氏は茂木派会長で、新藤氏は茂木派の事務総長。蓮舫氏は「『茂木派方式』なんじゃないですか」とも指摘。岸田文雄首相に真相解明を求めた上で、新藤氏の直近3年の帳簿の同委員会への提出を、予算委員長に求めた。
蓮舫氏は新藤氏に対し「透明性とは真逆な会計処理がなされている」とした上で、10年で約2億6000万円が関係政治団体から「その他の政治団体」に移されていると指摘。「自民党総支部の経費を限定的にして、それで明細開示率は99・1%、透明化されている。でも『その他の政治団体』新藤義孝後援会に10年で2億6000万円を付け替えたら、明細開示率9・8%まで低下している」とした上で「政治資金の隠蔽(いんぺい)じゃないですか」と主張した 新藤氏は「隠蔽」の表現に「冗談じゃない」と反発。「隠蔽といわれるのはどういうことですか。隠蔽をしてると言われたらそれは冗談ではないと言いますよ」と述べ、審議が一時止まる場面も。再開後、新藤氏は「表現がよくなかったことは気を付けたい」とした上で「使ったものを積み上げて報告している。収支報告に出しているのを隠蔽と言われるのはいかがなものか」と反論。蓮舫氏は「使い道を分からなくしているからおかしい」と指摘し「身の潔白を証明する方法」として保存義務のある直近3年間の帳簿公開を求めたが、新藤氏は「法律にのっとって対応したい」と述べるにとどめた。
一方、蓮舫氏は茂木氏についても、茂木氏の関係政治団体から、別の政治団体に2022年までの10年で約3億2000万円が移されていたと指摘。「金を出した側の事務担当者、受けた側の事務担当者も同一人物。一体で運用して金を付け替えて見えなくさせ、第三者から、正確に使われたかどうか所得にしていないか、私的流用していないか、確認することが一切できない処理をしている、合法だけど脱法。法律の抜け穴ではないか」と訴えた。
「茂木派には派閥パーティーの裏金疑惑はなかったが、法の抜け穴を使って裏金をつくっているのではないか。『茂木派方式』なんじゃないですか」として、岸田首相に調査を要請。首相は「まずは指摘された議員が丁寧に説明することが重要。そのことで(蓮舫氏の)指摘が本当かどうか、明らかにしていくことが重要だ」と述べ、新藤氏だけでなく茂木氏も自ら説明する必要があるとの認識を示した。