UPR Info 発言原稿

 

Japanese Association for the Right to Freedom of Speech

non-governmental organization in consultative status with the Economic and Social Council

                                                                    30 Aug 2012

 

当会の会員は、ビラ配布弾圧被害者や板橋高校君が代弾圧事件被害者支援団体事務局長、日の丸・君が代弾圧被害者で民事裁判原告と支援者、ふなしん出資金返還訴訟原告と原告団事務局長および支援者の市民たちで、20歳の大学生から大学講師や、労働者たちと第2次世界大戦を体験した高齢者まで幅広い年代で構成しています。

当会は、2007年11月に国際NGOに加盟し2008年3月の人権理事会に当会初回レポートを提出した。

 

1、個人通報制度の即時批准

 前回のUPRで勧告を受けた、直後の選挙で、現政権党は個人通報制度を実現することを公約に掲げて政権を交代させたものの、法務大臣が交代するたびに実現に対する姿勢は後退し、3・11後、積極的だった外務省政務官を退任させ、人権人道課長を国外に左遷し、人権問題に関心のない人物を課長にすえ「(批准に)反対する団体もいる」と批准を拒絶している。これは、単なる政治的意思の欠如ではない。 

 1998年世界人権宣言50周年の後、日本政府は勧告の実施をそれまでのネグレクトから、「宣言」に敵対する方針に転換した。この事実を正確に把握することが極めて重要である。

その証拠は、2001年社会権規約第2回政府報告書審査に対する社会権規約委員会の勧告に対して、勧告を実施しないどころか、その翌年に勧告に対して反論し勧告を実施していない。

 その結果、原発の裁判でも政府は情報を開示せず、原発の建設ラッシュに歯止めがかからず、同時に、万が一の事故に対する備えが欠如し、福島では原発が爆発した。

福島の人々は東日本大地震と津波被害の上に、被爆して故郷を追われ、現在においても経済的な保証は極めて不十分である。

事故情報でさえ速やかに開示されず、莫大な放射能汚染によって感受性の強い多くのこどもたちも被ばくさせられ、こどもたちの健康管理と避難の権利も保証されていない。

今尚、被爆し続けている福島県民と原発労働者と避難民に継続している人権侵害行為は人道問題である。

また、7月に開催された「世界防災閣僚会議in東北」を主宰した外務省の課長たちは誰一人、社会権規約委員会の勧告どころか条約(国際人権規約)すら知らず、福島県の知事も市町村長たちも、誰も条約も勧告も条約に法的規範性があることも全く知らない。

 

国際人権規約を敵視している日本の内閣が国会議員の数を頼みにして、地震国日本で安全性が確認されていないにもかかわらず大飯原発を再稼働させたことは、国際的な脅威であり、これらは国連憲章と世界人権宣言及び国際人権規約に敵対していることに原因している。

 

勧告1:個人通報制度の即時批准で日本の3権(立法・司法・行政)を分立させ、世界人権宣言と国際人権規約の活用に道を拓き、人命と人類普遍の基本的人権を尊重する法治国家に転換せよ。

 

2、公職選挙法(ビラ配布と戸別訪問の禁止規定)と国家公務員法(102条)の撤回について

前回のUPR審査では勧告されなかったが、同(2008)年自由権規約委員会は、私たちのロビーイングの結果、日本政府に対して、パラグラフ26でこの2つの法律の撤回を求め勧告した。

 

これら2つの弾圧法規の撤回は、日本国民の参政権を確立させる課題です。

 

法律を決める国会議員の選挙を公正に行うことを保障して、国民の参政権を確立することは、人権問題の課題の実現を強く願い行動しているすべての市民とNGOの願いを確実に実現する共通の道です。

そして、第2次世界大戦の侵略国日本の政府に対して、この人権尊重の道に政治のかじを切り替えさせることは、日本国民のみならず国連中心のアジアの平和と世界の平和を築くために不可欠です。

 

 しかし、外務省も裁判所も検察も、自由権規約委員会の2008年の勧告を完全に無視し続けています。2009年3月に国公法弾圧堀越事件は、高裁で無罪判決を出したものの国際人権規約違反については判断せず、警察の犯罪を証明する最も科学的な証拠である22本もの警察官による盗撮ビデオを、裁判長は証拠採用しないまま判決を出し、東京高検笠間治雄検事長が最高裁に上告し、その後最高検の検事総長に天上がった。

 

板橋高校君が代弾圧事件では、最高裁は2011年の3・11後の7月、ヘント大学フォルフォ-教授による国際人権規約違反の意見書も無視し、罰金20万円の不当有罪判決を出し、都立学校の卒入学式で「君が代」斉唱時に起立斉唱しなかった教師たちが、強制によって不利益を蒙った処分撤回を求め延べ700人を超える教員を中心に21件の裁判が提訴されていたが、最高裁はこの3・11直後からその内の10事件に対して、国際人権規約を無視した不当判決ラッシュを続けた。

この結果、教育委員会と校長たちは政治家の意をくんで、児童や生徒に対して「日の丸」と「君が代」への忠誠を強要している。

 

最高裁が国際人権規約を無視し続けていることを理由に、文部科学省は、大阪市長が、国家公務員法102条を根拠法として、地方公務員法を改悪し、教師と自治体職員の政治活動を完全に禁止する条例制定と弾圧を容認している。

 

国連憲章も世界人権宣言も国際人権規約をも、最も遵守すべきである第2次世界大戦の加害国日本の政府が、市民の言論・表現および思想・良心に対する弾圧を治安維持法のない21世紀の日本において2つの法律をよりどころにして言論と思想弾圧をエスカレートさせ、憲法9条の破棄を目的にしている勢力は今国会で、民意を最も反映しやすい比例選挙の定数を80議席も削減し、民主主義の息の根を絶とうとしている。この妄動は日本国民にとってのみならず国際的な脅威である。

 

勧告2:表現の自由公職選挙法(ビラ配布と戸別訪問の禁止規定)と国家公務員法(102条)の撤回し、参政権を確立し、民主主義国家としての基本を確立せよ。

 

勧告3:福島の子どもたちの避難の権利を緊急に全面的に保障し、健康管理を抜本的に強化して、急速にこどもの貧困化と自殺が急激に悪化し増加し年間1000人もの子供たちが自ら命を絶っている日本において、即時社会権規約第13条2のB・C項:中・高等教育の無償化条項の留保を撤回し批准せよ。