第2回政府報告書審査
・経済的、社会的及び文化的権利に関する委員会の最終見解
第3回政府報告書審査
経済的、社会的及び文化的権利に関する委員会の最終見解
ブックレット「社会権規約委員会総括所見の活かし方と今後の課題~第3回日本政府報告書審査をふまえて(PDFファイル;8.3MB)
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令和6年能登半島地震
能登半島地震 地元に根ざす信用金庫 地域産業の復興に向き合う
輪島塗、珠洲焼、能登牛、能登ワイン…
能登半島地震では、伝統工芸や特産品の生産者が大きな被害を受けました。
その多くは個人事業主や中小企業で、きめ細かい支援が求められています。
こうした中、資金面をはじめとする経営支援に重要な役割を果たすのが金融機関です。
地元に根ざす「信用金庫」の理事長に、被害の実態や産業の再生について聞きました。
(経済部記者 榎嶋愛理・金沢放送局記者 竹村雅志)
6割が「営業できる状況にない」
「地震の影響はどうですか?」
「建物は大丈夫だったけど、断水の影響がまだ残っていて」
被災地の取引先を1軒1軒訪ねているのは、「興能信用金庫」(こうのう)の職員です。
この信用金庫は能登町に本店があり、輪島市や珠洲市などが営業エリアです。
地元に根ざし、個人事業主や中小企業を相手に融資や経営支援を行ってきました。
地震直後から、すぐに訪問や電話での聞き取りを始め、見えてきたのは深刻な実態でした。
輪島市の2支店と珠洲市の1支店が取り引きしている1600余りの事業者のうち、工場などの建物に被害があったのは、少なくとも7割以上にあたる1200。
さらに「営業できる状況にない」と答えたのは、6割以上にあたる980に上りました。(2月8日時点)
信用金庫の田代克弘理事長がまず語ったのは、1か月以上が経過しても、事業の再開や復興を考えることができない厳しい現実でした。
興能信用金庫 田代克弘理事長
「地震から数日後に奥能登地域に入りましたが、今までに見たことのない状況でした。崩落した道、倒壊した建物…。再建していくためにはとても長い時間が必要になるだろうと思いました。災害発生後は、緊急・再開・復興とフェーズが変わってくると思います。でも、奥能登地域は、緊急事態のままなんです。事業主の中には避難している人もいて、被災の全体像がつかみづらい状況です。今はまだ事業を再開できるフェーズではないというのが正直なところです」

産業復活へ必要なこととは
まだ「緊急」の段階だという言葉どおり、事業者の中には、避難生活を続けている人も多くいます。
建物の被害や長引く断水が、大きな壁となって立ちはだかっています。
中には、年齢的な理由で廃業を決める人も出ています。

田代理事長は、いま重要なことは、経営者が事業継続のマインドを保てるかどうかだといいます。
この信用金庫では、被災者向けの生活再建資金として、融資期間15年以内、上限1000万円の「災害復旧ローン」を用意しています。
すでに実行した融資の返済猶予なども合わせて、事業者の足元を支えていくつもりです。
田代克弘理事長
「毎年のように地震が起こり、直しても直してもという状況の中で、どの程度、動機づけができるのかが重要だと思います。長期化したコロナ、原材料の高騰など、経営の範囲外からの負担を抱えている中で、さらに今回の災害による負担を重ねていくのは非常に厳しい状況です。融資や補助金による調達も考えながら組み合わせをしっかりやっていく必要があると考えています」
そのうえで、インフラが復旧し、再開・復興の段階に入れば、より信用金庫らしい支援の出番が来ると考えています。
地域密着で個々の事業者の強みを把握しているからこその経営アドバイスや全国の信用金庫のネットワークを通じた販路の確保。
こうした取り組みで、産業を再生させることこそが地域の再生につながると考えています。
田代克弘理事長
「奥能登の2市2町には非常に魅力的な資源があって、その資源によって地域の生産性が支えられています。能登の魅力を引き出しているのが、地域の事業者さんで、その事業者さんたちが再生していかないと、地域の再生・復興はやはり難しいと思うんです。事業者の全員が諦めるわけではないです。『なんとか取り戻したい』『なんとか続けたい』という方がいらっしゃれば可能なかぎり応援すること、それがわれわれの使命だと思ってます。不安はもちろんありますが、希望を持てる地域だとも思っています」
復興へのビジョンを
この地域には、もう1つ信用金庫があります。
「のと共栄信用金庫」
七尾市に本店を構えています。
近くに和倉温泉があることもあって、取引先の多くは宿泊業や飲食業です。
取引先の3分の1は小規模事業者だといいます。
こちらの信用金庫でも、上限1000万円の個人向けの生活再建の融資制度や被災した事業者向けの上限3000万円の特別融資枠などを設けています。
鈴木正俊理事長も、被災した事業者が、前に進む気持ちになれるかどうかが重要だとしたうえで、そのためのカギとして、地域のこの先のビジョンを掲げ共有することを挙げました。
のと共栄信用金庫 鈴木正俊理事長
「日々の生活を続けているときはよいのですが、次第に、今後どうなるんだろう仕事どうなるんだろうとなってきます。早め早めに復興ビジョンを示していかないと、経営者の気持ちが途絶えてしまう可能性があります。ビジョンを示し、それを地域で共有していくことが大事だと思います。さらに、単に元どおりの姿に戻すのではなく、付加価値をつける必要もあります。時間はかかるかもしれませんが、新しいコンセプトのもとに持続可能性のある復興の姿を示せるようにしたいですね。そのために、われわれもアイデアを出し、金融機関としての使命を果たしていきたいです」
被災地の信金 手をたずさえて
実は、この2人の理事長は、地震のあと、毎日のように連絡を取り合っているといいます。
ふだんであればライバル関係ですが、未曽有の事態を前に、協力して地域を盛り上げたいという思いは同じです。
興能信用金庫 田代克弘理事長
「金融機関や商工会議所、行政が連携して支援につなげていくことが重要になります。われわれにできることは限られていますが、どんどん使っていただきたい。そのために私たちは存在しているので」
のと共栄信用金庫 鈴木正俊理事長
「お客さんの経済的な支柱になるとともに、この地域で今後も生活や仕事を続けられるよう、サポートしていく体制があるということをしっかり伝えていきたいです」
今回、取材で訪れた信用金庫の支店の中には、建物が壊れ、社員寮の一角に相談スペースを設けて対応しているところもありました。
避難先から出勤し、制服ではなく私服姿で働く職員もいます。

興能信用金庫の田代理事長が言う「日頃お客さまと密に接しているからこそ対応しなければならないという使命感」というものを強く感じました。
一方、事業者の被害の全容はまだ見えず、これだけ取引先が厳しい状況になれば、信用金庫自体の経営に影響が出ることも避けられません。
被災地の産業はどう再生に向かっていくのか、地元に根ざした信用金庫はどう役割を果たしていくのか、これからも取材を続けたいと思います。

(2月12日「ニュース7」などで放送)
経済部記者
榎嶋愛理
2017年入局
広島局を経て経済部。金融分野を担当。
金沢放送局記者
竹村雅志
2019年入局
金沢局で経済分野を担当。
能登半島地震の直後から、連日、被災地に通い、取材を続ける。
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経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約)
採択 1966年12月16日
発効 1976年1月3日
訳者 日本政府
この規約の締約国は、
国際連合憲章において宣明された原則によれば、人類社会のすべての構成員の固有の尊厳及び平等のかつ奪い得ない権利を認めることが世界における自由、正義及び平和の基礎をなすものであることを考慮し、
これらの権利が人間の固有の尊厳に由来することを認め、
世界人権宣言によれば、自由な人間は恐怖及び欠乏からの自由を享受することであるとの理想は、すべての者がその市民的及び政治的権利とともに経済的、社会的及び文化的権利を享有することのできる条件が作り出される場合に初めて達成されることになることを認め、
人権及び自由の普遍的な尊重及び遵守を助長すべき義務を国際連合憲章に基づき諸国が負っていることを考慮し、
個人が、他人に対し及びその属する社会に対して義務を負うこと並びにこの規約において認められる権利の増進及び擁護のために努力する責任を有することを認識して、
次のとおり協定する。
第1部
第1条
- すべての人民は、自決の権利を有する。この権利に基づき、すべての人民は、その政治的地位を自由に決定し並びにその経済的、社会的及び文化的発展を自由に追求する
- すべて人民は、互恵の原則に基づく国際的経済協力から生ずる義務及び国際法上の義務に違反しない限り、自己のためにその天然の富及び資源を自由に処分することができる。人民は、いかなる場合にも、その生存のための手段を奪われることはない。
- この規約の締約国(非自治地域及び信託統治地域の施政の責任を有する国を含む。)は、国際連合憲章の規定に従い、自決の権利が実現されることを促進し及び自決の権利を尊重する。
第2部
第2条
- この規約の各締約国は、立法措置その他のすべての適当な方法によりこの規約において認められる権利の完全な実現を漸進的に達成するため、自国における利用可能な手段を最大限に用いることにより、個々に又は国際的な援助及び協力、特に、経済上及び技術上の援助及び協力を通じて、行動をとることを約束する。
- この規約の締約国は、この規約に規定する権利が人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、出生又は他の地位によるいかなる差別もなしに行使されることを保障することを約束する
- 開発途上にある国は、人権及び自国の経済の双方に十分な考慮を払い、この規約において認められる経済的権利をどの程度まで外国人に保障するかを決定することができる。
第3条
この規約の締約国は、この規約に定めるすべての経済的、社会的及び文化的権利の享有について男女に同等の権利を確保することを約束する。
第4条
この規約の締約国は、この規約に合致するものとして国により確保される権利の享受に関し、その権利の性質と両立しており、かつ、民主的社会における一般的福祉を増進することを目的としている場合に限り、法律で定める制限のみをその権利に課すことができることを認める。
第5条
- この規約のいかなる規定も、国、集団又は個人が、この規約において認められる権利若しくは自由を破壊し若しくはこの規約に定める制限の範囲を超えて制限することを目的とする活動に従事し又はそのようなことを目的とする行為を行う権利を有することを意味するものと解することはできない。
- いずれかの国において法律、条約、規則又は慣習によって認められ又は存する基本的人権については、この規約がそれらの権利を認めていないこと又はその認める範囲がより狭いことを理由として、それらの権利を制限し又は侵すことは許されない。
第3部
第6条
- この規約の締約国は、労働の権利を認めるものとし、この権利を保障するため適当な措置をとる。この権利には、すべての者が自由に選択し又は承諾する労働によって生計を立てる機会を得る権利を含む。
- この規約の締約国が1の権利の完全な実現を達成するためとる措置には、個人に対して基本的な政治的及び経済的自由を保障する条件の下で着実な経済的、社会的及び文化的発展を実現し並びに完全かつ生産的な雇用を達成するための技術及び職業の指導及び訓練に関する計画、政策及び方法を含む。
第7条
この規約の締約国は、すべての者が公正かつ良好な労働条件を享受する権利を有することを認める。この労働条件は、特に次のものを確保する労働条件とする。
- すべての労働者に最小限度次のものを与える報酬
- 公正な資金及びいかなる差別もない同一価値の労働についての同一報酬。特に、女子については、同一の労働についての同一報酬とともに男子が享受する労働条件に劣らない労働条件が保障されること。
- 労働者及びその家族のこの規約に適合する相応な生活
- 安全かつ健康的な作業条件
- 先任及び能力以外のいかなる事由も考慮されることなく、すべての者がその雇用関係においてより高い過当な地位に昇進する均等な機会
- 休息、余暇、労働時間の合理的な制限及び定期的な有給休暇並びに公の休日についての報酬
第8条
- この規約の締約国は、次の権利を確保することを約束する。
- すべての者がその経済的及び社会的利益を増進し及び保護するため、労働組合を結成し及び当該労働組合の規則にのみ従うことを条件として自ら選択する労働組合に加入する権利。この権利の行使については、法律で定める制限であって国の安全若しくは公の秩序のため又は他の者の権利及び自由の保護のため民主的社会において必要なもの以外のいかなる制限も課することができない
- 労働組合が国内の連合又は総連合を設立する権利及びこれらの連合又は総連合が国際的な労働組合団体を結成し又はこれに加入する権利
- 労働組合が、法律で定める制限であって国の安全若しくは公の秩序のため又は他の者の権利及び自由の保護のため民主的社会において必要なもの以外のいかなる制限も受けることなく、自由に活動する権利
- 同盟罷業をする権利。ただし、この権利は、各国の法律に従って行使されることを条件とする。
- この条の規定は、軍隊若しくは警察の構成員又は公務員による1の権利の行使について合法的な制限を課することを妨げるものではない。
- この条のいかなる規定も、結社の自由及び団結権の保護に関する千九百四十八年の国際労働機関の条約の締約国が、同条約に規定する保障を阻害するような立法措置を講ずること又は同条約に規定する保障を阻害するような方法により法律を適用することを許すものではない。
第9条
この規約の締約国は、社会保険その他の社会保障についてのすべての者の権利を認める。
第10条
この規約の締約国は、次のことを認める。
- できる限り広範な保護及び援助が、社会の自然かつ基礎的な単位である家族に対し、特に、家族の形成のために並びに扶養児童の養育及び教育について責任を有する間に、与えられるべきである。婚姻は、両当事者の自由な合意に基づいて成立するものでなければならない。
- 産前産後の合理的な期間においては、特別な保護が母親に与えられるべきである。働いている母親には、その期間において、有給休暇又は相当な社会保障給付を伴う休暇が与えられるべきである。
- 保護及び援助のための特別な措置が、出生の他の事情を理由とするいかなる差別もなく、すべての児童及び年少者のためにとられるべきである。児童及び年少者は、経済的及び社会的な搾取から保護されるべきである。児童及び年少者を、その精神若しくは健康に有害であり、その生命に危険があり又はその正常な発育を妨げるおそれのある労働に使用することは、法律で処罰すべきである。また、国は年齢による制限を定め、その年齢に達しない児童を賃金を支払って使用することを法律で禁止しかつ処罰すべきである。
第11条
- この規約の締約国は、自己及びその家族のための相当な食糧、衣類及び住居を内容とする相当な生活水準についての並びに生活条件の不断の改善についてのすべての者の権利を認める。締約国は、この権利の実現を確保するために適当な措置をとり、このためには、自由な合意に基づく国際協力が極めて重要であることを認める。
- この規約の締約国は、すべての者が飢餓から免れる基本的な権利を有することを認め、個々に及び国際協力を通じて、次の目的のため、具体的な計画その他の必要な措置をとる。
- 技術的及び科学的知識を十分に利用することにより、栄養に関する原則についての知識を普及させることにより並びに天然資源の最も効果的な開発及び利用を達成するように農地制度を発展させ又は改革することにより、食糧の生産、保存及び分配の方法を改善すること。
- 食糧の輸入国及び輸出国の双方の問題に考慮を払い、需要との関連において世界の食糧の供給の衡平な分配を確保すること。
第12条
- この規約の締約国は、すべての者が到達可能な最高水準の身体及び精神の健康を享受する権利を有することを認める。
- この規約の締約国が1の権利の完全な実現を達成するためにとる措置には、次のことに必要な措置を含む。
- 死産率及び幼児の死亡率を低下させるための並びに児童の健全な発育のための対策
- 環境衛生及び産業衛生のあらゆる状態の改善
- 伝染病、風土病、職業病その他の疾病の予防、治療及び抑圧
- 病気の場合にすべての者に医療及び看護を確保するような条件の創出
第13条
- この規約の締約国は、教育についてのすべての者の権利を認める。締約国は、教育が人格の完成及び人格の尊厳についての意識の十分な発達を指向し並びに人権及び基本的自由の尊重を強化すべきことに同意する。更に、締約国は、教育が、すべての者に対し、自由な社会に効果的に参加すること、諸国民の間及び人種的、種族的又は宗教的集団の間の理解、寛容及び友好を促進すること並びに平和の維持のための国際連合の活動を助長することを可能にすべきことに同意する。
- この規約の締約国は、1の権利の完全な実現を達成するため、次のことを認める。
- 初等教育は、義務的なものとし、すべての者に対して無償のものとすること。
- 種々の形態の中等教育(技術的及び職業的中等教育を含む。)は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、一般的に利用可能であり、かつ、すべての者に対して機会が与えられるものとすること。
- 高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること。
- 基礎教育は、初等教育を受けなかった者又はその全課程を修了しなかった者のため、できる限り奨励され又は強化されること。
- すべての段階にわたる学校制度の発展を積極的に追求し、適当な奨学金制度を設立し及び教育職員の物質的条件を不断に改善すること。
- この規約の締約国は、父母及び場合により法定保護者が、公の機関によって設置される学校以外の学校であって国によって定められ又は承認される最低限度の教育上の基準に適合するものを児童のために選択する自由並びに自己の信念に従って児童の宗教的及び道徳的教育を確保する自由を有することを尊重することを約束する。
- この条のいかなる規定も、個人及び団体が教育機関を設置し及び管理する自由を妨げるものと解してはならない。ただし、常に、1に定める原則が遵守されること及び当該教育機関において行なわれる教育が国によって定められる最低限度の基準に適合することを条件とする。
第14条
この規約の締約国となる時にその本土地域又はその管轄の下にある他の地域において無償の初等義務教育を確保するに至っていない各締約国は、すべての者に対する無償の義務教育の原則をその計画中に定める合理的な期間内に漸進的に実施するための詳細な行動計画を二年以内に作成しかつ採用することを約束する。
第15条
- この規約の締約国は、すべての者の次の権利を認める。
- 文化的な生活に参加する権利
- 科学の進歩及びその利用による利益を享受する権利
- 自己の科学的、文学的又は芸術的作品により生ずる精神的及び物質的利益が保護されることを享受する権利
- この規約の締約国が1の権利の完全な実現を達成するためにとる措置には、科学及び文化の保存、発展及び普及に必要な措置を含む。
- この規約の締約国は、科学研究及び創作活動に不可欠な自由を尊重することを約束する。
- この規約の締約国は、科学及び文化の分野における国際的な連絡及び協力を奨励し及び発展させることによって得られる利益を認める。
第4部
第16条
- この規約の締約国は、この規約において認められる権利の実現のためにとった措置及びこれらの権利の実現についてもたらされた進歩に関する報告をこの部の規定に従って提出することを約束する。
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- すべての報告は、国際連合事務総長に提出するものとし、同事務総長は、この規約による経済社会理事会の審議のため、その写しを同理事会に送付する。
- 国際連合事務総長は、また、いずれかの専門機関の加盟国であるこの規約の締結によって提出される報告又はその一部が当該専門機関の基本文書によりその任務の範囲内にある事項に関連を有するものである場合には、それらの報告又は関係部分の写しを当該専門機関に送付する。
第17条
- この規約の締約国は、経済社会理事会が締約国及び関係専門機関との協議の後この規約の効力発生の後一年以内に作成する計画に従い、報告を段階的に提出する
- 報告には、この規約に基づく義務の履行程度に影響を及ぼす要因及び障害を記載することができる。
- 関連情報がこの規約の締約国により国際連合又はいずれかの専門機関に既に提供されている場合には、その情報については、再び提供の必要はなく、提供に係る情報について明確に言及することで足りる。
第18条
経済社会理事会は、人権及び基本的自由の分野における国際連合憲章に規定する責任に基づき、いずれかの専門機関の任務の範囲内にある事項に関するこの規約の規定の遵守についてもたらされた進歩に関し当該専門機関が同理事会に報告することにつき、当該専門機関と取極を行うことができる。報告には、当該専門機関の権限のある機関がこの規約の当該規定の実施に関して採択した決定及び勧告についての詳細を含ませることができる。
第19条
経済社会理事会は、第十六条及び第十七条の規定により締約国が提出する人権に関する報告並びに前条の規定により専門機関が提出する人権に関する報告を、検討及び一般的な性格を有する勧告のため又は適当な場合には情報用として、人権委員会に送付することができる。
第20条
この規約の締約国及び関係専門機関は、前条にいう一般的な性格を有する勧告に関する意見又は人権委員会の報告において若しくはその報告で引用されている文書において言及されている一般的な性格を有する勧告に関する意見を、経済社会理事会に提出することができる。
第21条
経済社会理事会は、一般的な性格を有する勧告を付した報告、並びにこの規約の締約国及び専門機関から得た情報であってこの規約において認められる権利の実現のためにとられた措置及びこれらの権利の実現についてもたらされた進歩に関する情報の概要を、総会に随時提出することができる。
第22条
経済社会理事会は、技術援助の供与に関係を有する国際連合の他の機関及びこれらの補助機関並びに専門機関に対し、この部に規定する報告により提起された問題であって、これらの機関がそれぞれの権限の範囲内でこの規約の効果的かつ漸進的な実施に寄与すると認められる国際的措置をとることの適否の決定に当たって参考となるものにつき、注意を喚起することができる。
第23条
この規約の締約国は、この規約において認められる権利の実現のための国際的措置には条約の締結、勧告の採択、技術援助の供与並びに関係国の政府との連携により組織される協議及び検討のための地域会議及び専門家会議の開催のような措置が含まれることに同意する。