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朝日新聞

ウィシュマさん訴訟、遺族側「国の報告書、重要な事実や評価に誤り」

閉廷後の会見に出席するウィシュマさんの遺族と、松本亜土弁護士(中央)=2024年2月21日、名古屋市中区、高橋俊成撮影

 

 名古屋出入国在留管理局で2021年3月に亡くなったスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん(当時33)を巡る国賠訴訟の弁論が21日、名古屋地裁であった。遺族側は、入管の監視カメラの映像を分析した結果、ウィシュマさんの死亡に関する国の調査報告書に「重要な事実や評価に誤りがある」があると指摘する書面を提出した。 

 

 

 映像は計295時間分あり、国側はこのうち約5時間分を遺族側に開示した。遺族側によると、映像では死亡11日前にウィシュマさんの体調が著しく悪化し、職員が何度も脈拍や血圧を測り直している様子が確認できた。だが、国が21年8月に公表した報告書にはこの様子について言及はなかったという。

 

  入管の医療対応の適否が争点となる中、遺族側はこうした状況を問題視。全ての映像の開示と取り調べの必要性を主張した。

 

  分析を担当した松本亜土弁護士は閉廷後、「映像を見て初めて発覚することが多くあり、報告書は内容が不十分。開示されていない映像に国側のさらなる不備が隠されている可能性もあり、開示されなければ真相は解明できない」と指摘した。

朝日新聞社