「能登半島」    次なる地震危惧
   震度5強以上 「平常時の60倍」

 ひずみ 志賀町沖警戒  「流体」断層活動誘発

   マグニチュード(M)7.6を記録し、200人余が犠牲となった能登半島
地震。発生から1カ月たつ中、拭い去れない危惧がある。次なるだ地震だ。
先月、半島北側の断層が大きく動いた影響で、周辺の断層も動く可能性があると指摘されている。懸念が強まるのが北陸電力志賀原発(石川県志賀町)。
立地する半島西側は活断層が少なからず存在する。現状にどう向き合うべきか。

    「いずれ志賀原発の近くでも大きな地震が来るんじゃないか」
 能登半島の東端に位置し、先月の地震で甚大な被害が生じた珠洲市
元市議、北野進氏はそう語る。
 この3年ほど、能登半島は群発地震が活発化した。地震の規模が少
ずつ大きくなっていたところに今回の大地震に見舞われた。そんな経緯がある中、志賀原発差し止め訴訟の原告団長も務める北野氏は「次の地震」に気をもむ。
 先の地震から1カ月を過ぎ、余震の数は減った。ただ気象庁は1月末に「今後2~3週間程度、最大震度5強程度以上の地震に注意を」と呼びかけ、その発生確率は「平常時の60倍程度」と付け加えた。(中略

 次なる地震で心配なのが志賀原発だ。立地するのは能登半島の西側
地震が起きやすくなったとも。原発の周辺は、活動性が否定できない断層が少なくない。北陸電の資料を見ると、原発の10キロ圏に限っても陸に福浦断層、沿岸地域に富来(とぎ)川南岸断層、海に兜岩沖断層や碁盤島沖断層がある。
 次なる地震に原発は耐えられるか。北陸電の広報担当者は、地震の揺れの強さを示す加速度(ガル)を持ち出し「原子炉建屋は基準地震動600ガルまで耐えられ、今回の地震による地盤の揺れは600ガルよりも小さかった。さらに2号機については1000ガルまで耐えられると新規制基準の審査に申請している。原子力施設の耐震安全性に問題はない」と話す。

 
○志賀原発 安心できるか     地盤のズレも脅威
    沿岸部の音波探査 制度に難

◇断層長さ・動き未知多く

   北陸電の言い分はうのみにしづらい。そう思わせる過去があるからだ。
 同社が能登半島北側の沿岸部で想定してきた断層活動は96キロの区間。
だが先の地震では、政府の地震調査委員会が震源の断層について「長さ
150キロ程度と考えられる」と評価した。
 なぜ想定を超えるのか。
 「海底の断層を調査する音波探査は、大型の船が必要。海底が浅い沿
岸部は、調査の精度が落ちる。近年は機器が改良され、小型化されたが、
特に日本海側は調査が行き届いていない」

 

  こう指摘するのは新潟大の立石雅昭名誉教授(地質学)。陸の断層も「地表に見える断層が数キロ離れていても、地下で一つにつながっているかもしれない」。(中略)

 
志賀原発の近くにあり、多大な影響を及ぼしかねない富来川南岸断層。
同様に再検証が必要なのが、原発の西4キロの海域で南北に延びる兜岩沖断層という。北陸電の資料によれば、「活動性が否定できない」とされ、長さは4キロとある。
 鈴木氏は「本当にこの長さか。今回の地震で、沖合に長い断層があることで隆起が起きることが改めてわかった。原発付近も海岸に同様
隆起地形があることから、長い断層がないと説明できない」
と訴える。
 

 原発に及ぶ地震の脅威でいえば、揺れ以外にも思いを巡らせる必要
ある。

地盤のズレもだ。

元東芝原発設計技術者の後藤政志氏は「ートル単位で上下や水平方向にズレが生じたら、計算するまでもなく原発はもたない」と指摘する。        (後略)


          (2月3日東京新聞朝刊20・21面「こちら特報部」より抜粋)
※詳細はWebで
表題は:
断層上にある志賀原発は「次の地震」に耐えられるか
能登半島地震で高まった巨大地震発生リスク

          https://www.tokyo-np.co.jp/article/307026