《生活弱者の予算には厳しく切り込む一方、自分はパーティーの裏金でせっせと私腹を肥やす》《秘書のせいにしてるけれど、そうではない》《タガが外れているのは世耕氏ではないのか》
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「裏金1542万円」の自民・世耕弘成氏は生活保護費削減の“旗振り役”だった…SNSで批判殺到
生活弱者に厳しい一方、自分は私腹を肥やし…(世耕弘成前参院幹事長)/(C)日刊ゲンダイ
「今回の自民党裏金疑惑は、倫理の底が抜けた、非常識極まりない行為。法律違反であり、明確な犯罪行為」
【写真】裏金疑惑で理事長の世耕弘成氏を真っ向追及! 近畿大教職員組合「X」への支持ジワリ
自民党派閥の政治資金パーティーの裏金事件を巡り、市民有志でつくる「自民党ウラガネ・脱税を許さない会」(藤田高景代表)が1日に参員議員会館で開いた会見。同会はこの日、最大派閥「安倍派」(清和政策研究会)の幹部ら10人を所得税法違反(脱税)の疑いがあるとして、東京地検に告発状を提出。出席者から検察や税務当局に対して厳罰処分を求める声が上がる中、作家で反貧困活動家の雨宮処凛さんが最初に切り出した言葉は、告発された安倍派幹部の一人である世耕弘成前参院幹事長(61)に対する“感慨”だった。
「生活保護費の引き下げ、その旗振り役だったのが世耕さんでした」
第2次安倍政権発足以降の2013年頃から、様々な生活弱者支援活動に取り組んできた雨宮さんが指摘する通り、世耕氏は野党時代から一貫して生活保護に厳しい姿勢だった。例えば、2012年3月の参院予算委。当時、野党議員だった世耕氏はこう発言。
「自民党では生活保護関連のPTをつくって、私が座長になりました。これから抜本的にいろんな提言をしていきます。もう現物給付増やした方がいいんじゃないか。食料費で、お金で渡すんじゃなくて、お弁当をちゃんと役場で炊き出しでもして渡してあげたらいいんじゃないか。家も、貧困ビジネスの根源になっているアパートとかありますから、これ空いている公共住宅とかを貸していけばいいんじゃないか。我々これからそういう提言をしていきたいと思います」
さらに民主党政権が生活保護費の予算を、2010年度の3兆円から12年度に3.7兆円に引き上げた事について、当時の小宮山洋子厚労相に理由を質問。小宮山大臣が「やはり厳しい社会経済情勢の変化と、それから高齢化で自分で働けなくなった方が出てきた、そうしたことからかと思っています」と答弁すると、こう声を荒げて反論した。 「社会のせいにしていますけど、そうじゃありませんよ。私は、これは完全に政権交代でたがが外れて膨脹しているというふうに思います。政権交代直後の2009年12月25日に厚労省の課長通達が出ています。保護の決定に当たっては、申請者の窮状に鑑みて、可能な限り速やかに行うよう努めること。要するに、来た人はすぐ認めろと、生活保護申請来たら若い人でもすぐ認めろというふうにこういう通達を出したからたがが外れたんじゃないですか」
■全国の裁判所で生活保護費の減額処分取り消しを命じる判決が続々
そして自民党が政権復帰すると、世耕氏の思惑通り、生活保護関連の予算はどんどん削減する方向に向かったわけだ。
ただ、この生活保護費の削減をめぐっては今、全国各地で対象住民が憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を侵害しているとして、国や自治体に対して減額処分の取り消しを求める裁判が相次いでいる(いわゆる「いのちの砦裁判」)。
1月24日には富山地裁で、保護費の減額処分の取消しを命じる判決が言い渡されていて、同様の裁判で出た27の判決(うち高裁判決)のうち、地裁では14例目、高裁を含むと15例目の勝訴判決が出ている。
つまり、多くの裁判所が「憲法違反」と判断しているわけだ。
《生活弱者の予算には厳しく切り込む一方、自分はパーティーの裏金でせっせと私腹を肥やす》《秘書のせいにしてるけれど、そうではない》《タガが外れているのは世耕氏ではないのか》 SNS上でも批判の声はやまない。
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世耕氏キックバック「秘書任せ」では終わらない…国会での政治資金めぐる“ド正論”がブーメラン
自身の発言が大ブーメランとなり…(世耕前参院幹事長)/(C)日刊ゲンダイ 拡大する
「秘書に任せきりにしていた。秘書が私に報告しないまま、政治資金収支報告書の簿外で管理していた還付金について、把握することができなかった」
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件で、19日、党本部で開いた会見で、こう釈明したのは最大派閥「安倍派」(清和政策研究会)の世耕弘成前参院幹事長(61)だった。
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世耕氏は、派閥から自身へのキックバックが2018年からの5年間で総額1542万円だったと明らかにしたうえで、「検察の徹底捜査の結果、法と証拠に基づいて起訴されなかった。法的な責任には区切りがついた」と語っていた。
「秘書に任せきりにしていた」と弁明した世耕氏だが、過去に自身のX(旧ツイッター)で、立憲民主党の小沢一郎氏(81)の政治資金を巡る「陸山会事件」に触れた際、《担当秘書にひとつひとつ質問しながらじっくりと確認した上で書類を提出していることが、むなしくなってきます》などと投稿していたことが判明。ネット上では、《秘書にひとつひとつ質問していたのでは》《秘書に責任押し付けか》などと“大ブーメラン”状態となった。
■政治資金問題について「本質を見極めること」が重要と指摘
国会議員に内緒のまま秘書が独断でカネを簿外処理するとは考えにくく、その意味も理由も不明だが、世耕氏のブーメラン発言はこれだけではない。ザル法と呼ばれる政治資金規正法についても、2010年3月19日の参院総務委員会でこう言っていたのだ。
「私はここで申し上げたいのは、今まで事件が起こるたびに政治資金規正法を変えて強化をしてきましたけれども、私はここの規制の強化の仕方が間違ってきたんじゃないかというふうに思っています。起こっている事件の本当の原因、何が原因なのかということをきちっと本質を見極めて、その部分を再発をさせないために適切な規制強化をやるということを今までやってこなかった」
「プラン・ドゥー・チェック・アクションのサイクルが回っていなくて全くお門違いのところで規制をただただ厳しくしていたから、私は本質的にこの政治と金の問題というのは後を絶たないのではないかというふうに思っています」
さらに世耕氏は「餅代」や「氷代」といった名前で配られるカネの在り方についても、持論を展開。
「特定の人に、派閥の事務総長にどんとお渡しをして、そして後は、その人がちゃんと政治活動に、自民党のための活動に使ったんだから問わないという形で政治資金規正法上は整理をされているわけなんです(略)渡し切り経費という形でやるにしても常識の範囲があるわけですから、そういう範囲で上限を認めるのか、あるいは組織活動費として渡したら、その渡した先の細目の報告をやっぱりしっかりと義務付けて、最後の最後まで一体幾らどう使ったのかということをやるというような穴をふさぐ手が必要だと思います」
世耕氏は5年間でキックバックされた1542万円を一体何に使ったのか。「細目の報告」が必要なのは言うまでもない。
■お金が個人のところへ入るのは非常に不透明と言っていたのに…
同委員会ではこう締めくくっていた。
「組織活動費名目で来たお金が個人のところへ入って、自民党も昔もち代はそうやって処理をしていた。個人のところへ入って、それを個人が政治活動に使ったという前提において、税務署は何も言わないという仕組みになっていたわけですけれども、ここも非常に、今政治と金の透明化が求められている中で、非常に不透明なお金の流れだというふうに思う。ここはもうしっかりやめて、個人が受け取るようなことはしない、全部資金管理団体か政党支部でしっかり受け取るという仕組みに変えるべきだと思います」
「お金が個人のところへ入るのは非常に不透明」「個人が受け取るようなことはしない」──。世耕氏は確かにこう明言していたにもかかわらず、今回の裏金事件はまさに個人に不透明なカネがキックバックされていた。やはり世耕氏はこのまま秘書に責任を押し付けることなく、すべてを明らかにするべきだろう。