『ガザとは何か』(巨大な実験場だ)-パレスチナを知るための緊急講義書 岡 真理著
 

 大和書房 四六判 208頁 本体1,400円+税

 

 ジェノサイドは忘却の果てに  書籍紹介 事故情報編集部

岡 真理さん:日本のアラブ文学者、思想学者。

 

 京都大学名誉教授、早稲田大学文学学術院文化構想学部教授。

 本書は、昨年10月7日のハマス主導の戦闘員らの奇襲攻撃に対するイスラエルによるジェノサイド攻撃を受けて、同年10月に岡真理さんを講師に招いて京都大学と早稲田大学で催された二つの緊急講義の内容をまとめ加筆したもの。


 イスラエルの侵攻により犠牲者が指数関数的に増え続ける今、ガザの状況に関する報道に触れない日はない。
 

 しかし、問題の本質、根源を歴中的文脈に基づいて正確に伝えるメディアが一体どれだけあるだろうか。

 ガザとは何か。著者は巨大な実験場だと説く。


 完全封鎖し(2007年)、経済基盤を破壊し、最低限のライフラインで命をつなぐのがやっとという状況にとどめ、何年かに一度大量虐殺を行う。

 

そうすれば人間は、その社会はどうなるか、世界はこれに対してどうするのかというイスラエルの実験場だと。


 このように生を圧殺する占領下に置かれた人々が解放を求めて行ったのが10月7日の攻撃だった。
 

 これを「ハマスによるテロ」と歪める言説に対し、著者は国際法で認められる正当な抵抗権の行使だと正鵠を射る。  (後略)
                   (1月22日「朝鮮新報」より抜粋)