志賀原発 敷地内の水位計で約3メートルの水位上昇を観測

 令和6年能登半島地震

北陸電力は、1日に震度7の揺れを観測した石川県志賀町にある志賀原子力発電所の敷地内に設置された水位計で、およそ3メートルの水位の上昇が観測されていたと発表しました。

志賀原発では、地震の影響で外部から電気を受ける系統が一部使えない状況が続いていて、北陸電力は復旧を急ぎたいとしています。

1日午後4時10分ごろの地震のあと、気象庁は一時、志賀原発がある石川県能登地方に大津波警報を発表し、その後、各地で津波が観測されました。

北陸電力は2日夜、原発内の機器の冷却に使う海水を取り込む取水口付近に設置した水位計を詳しく確認したところ、1日午後5時45分から午後6時までの間におよそ3メートルの水位の上昇を観測していたことがわかったと発表しました。

北陸電力は、2日の午前中に開いた記者会見では、水位計を監視していたものの、有意な変動は確認されなかったと説明していました。

また、敷地内の状況を改めて確認したところ、1号機の海側に設置している高さおよそ4メートルの防潮壁が、数センチ傾いているのが見つかったということです。

志賀原発では、地震の影響で外部から電気を受けるための変圧器で配管が壊れて油が漏れ、一部の系統が使えない状況が続いています。

ほかの系統で電気を受けるなどして安全上重要な機器の電源は確保されているということですが、北陸電力は2日から油の回収作業を始め、復旧を急ぎたいとしています。

 

 

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 令和6年能登半島地震

志賀原発 外部電源一部使えず 安全上重要な機器の電源は確保

 

北陸電力によりますと、1日に震度7の揺れを観測した石川県志賀町にある志賀原子力発電所では、外部から電気を受ける系統が現在も一部使えない状況が続いています。

ほかの系統で電気を受けるなどして安全上重要な機器の電源は確保されているということで、北陸電力が復旧の進め方を検討してます。

配管が壊れて絶縁や冷却のための油が漏れ出す

志賀原発では、1号機と2号機がいずれも長期間運転を停止していますが、2日に記者会見した北陸電力によりますと1日午後4時10分ごろの地震では、1号機の原子炉建屋地下2階で震度5強相当の揺れを観測したと発表しました。

揺れの大きさを示す加速度は水平方向で336.4ガル、鉛直方向で329.9ガルで、それぞれ東京電力福島第一原発の事故の前に想定していた水平方向で最大600ガル、鉛直方向で最大405ガルを下回っていました。

地震による影響で、1号機と2号機で外部から電気を受けるために使われている変圧器あわせて2台で、配管が壊れて絶縁や冷却のための油が漏れ出したということです。

漏れた油の量は1号機側が3600リットル、2号機側で3500リットルに上るということで、これらの変圧器を使う系統では、現在も、電気が受けられない状況が続いています。

1号機、2号機ともにほかの系統を使って外部からの電気を受けているほか、非常用のディーゼル発電機も7日分の燃料が確保されているということで、安全上重要な機器の電源は確保されていて、核燃料を貯蔵している使用済み燃料プールの冷却にも問題はないということです。北陸電力が復旧の進め方を検討してます。

使用済み燃料プール 水が一部床面にあふれ出る

また会見では、1号機と2号機の使用済み燃料プールで放射性物質を含む水が床面にあふれ出たことについて、あふれた量は1号機が95リットル、2号機は326リットルだったと明らかにしました。

いずれも建物内にとどまっていて外部への影響はないということです。

このほか、津波については水位の変化を監視していたものの、有意な変化は確認されなかったということです。

【画像】故障した変圧器の写真公開

 

石川県志賀町にある志賀原子力発電所では、1日の地震の影響で外部からの電気が一部の系統で受けられなくなっていますが、北陸電力はトラブルの原因となった故障した変圧器の写真を公開しました。

このうち、1号機の変圧器を撮影した写真には、絶縁や冷却に使われた油の熱を放出する「放熱器」と呼ばれる設備から、大量の油が漏れて地面に流れ落ちている様子が写されています。

油は変圧器の周りの地面に広がっていて、北陸電力によりますと、1号機の変圧器からは3600リットルが漏れ出たということです。

また、2号機の変圧器本体と放熱器をつなぐ配管のつなぎ目が写っている写真では、油が漏れ出たあとが確認出来るほか、放熱器の全体が見える写真では、地面に漏れた油に設備の姿が反射しているのが確認出来ます。

2号機の変圧器からは3500リットルの油が漏れ出たということです。

  • 注目

電源確保の現状は「発電機の燃料は7日分確保」

原子力発電所では、運転を長期間停止している間も核燃料を貯蔵する使用済み燃料プールの冷却を維持するために電源が必要となります。

北陸電力の志賀原発も、50万ボルトの2回線と、27万5000ボルトの2回線、それに6万6000ボルトの1回線のあわせて3系統5回線の送電線で電気を受けられるようになっています。

送電線から電気を受ける際には、変圧器を通して高い電圧を発電所内で使える電圧に下げる必要があります。

しかし、志賀原発では1日の地震の影響で、27万5000ボルトの送電線から1号機に電気を送るための変圧器と、50万ボルト送電線から2号機に電気を送るための変圧器それぞれ1台が使えなくなっています。

いずれも配管が壊れて絶縁や冷却のための油が漏れ出したことが原因で、それぞれ1号機は6万6000ボルトの送電線から電気を受けているほか、2号機は27万5000ボルトの送電線から電気を受けているということです。

また、1号機、2号機それぞれに非常用のディーゼル発電機が3台ずつ備え付けられていて、このうち2号機では1台が点検中のため使えませんが、外部からの電気が受けられなくなった場合でも、1台が起動すれば安全上重要な機器を動かすのに必要な電源をまかなうことが出来るということです。

北陸電力によりますと、ディーゼル発電機の燃料は7日分確保されているということです。

志賀原発の歴史と核燃料の現状

能登半島の西側に位置する石川県志賀町にある北陸電力の志賀原子力発電所は2基の原子炉があり、1号機が1993年7月に2号機が2006年3月にそれぞれ運転を開始しました。

事故を起こした東京電力福島第一原発と同じ沸騰水型と呼ばれるタイプで、出力は1号機が54万キロワット、2号機が135万8000キロワットとなっています。

いずれも原発事故があった2011年に運転を停止し、その後、新たにつくられた規制基準への対応が求められたことから、現在も停止したままです。

このうち2号機は、2014年に再稼働の前提となる審査を申請しましたが、敷地内の断層が将来動くかどうかの評価に時間がかかったことなどから審査は長期化していました。

原子炉内に核燃料はありませんが、燃料プールには1号機に672体、2号機に200体の使用済み核燃料が貯蔵され、冷却されています。

ただ、運転の停止からは13年近くがたっていることから核燃料の発する熱は大幅に下がっていて、北陸電力によりますと、仮に冷却が停止した場合、プールの水が蒸発する温度に上がるまでには1号機が17日間、2号機は29日間かかると計算されているということです。