立法事実のない市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)日本国憲法と国連憲章違反の日本の特定秘密保護法

 

 

2014年7月15,16日 自由権規約委員会第6回日本政府報告書審査 パレ・デ・ナシオン:スイス・ジュネーブ

 

ロドリー委員長 :Nigel Rodley(United Kingdom)が、日本政府に対して「(特定秘密保護法の)立法事実は何ですか?」質問した。

 

しかし、山中修 (やまなか おさむ)外務省人権人道課長(当時:現在中米 大使・  国際連合日本政府代表部次席常駐代表)は答えませんでした。

 

 

 


立法事実*

立法事実は、法律や条例の必要性や正当性 を根拠付けるものであり、立法法務の重要なポイントです。

法律や条例の目的と手段を基礎付ける社会的な事実(データ、市民 の意識などを含みます)をいいます。

 

 

 

 

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https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/kokusai/humanrights_library/treaty/data/liberty_rep6_pam.pdf

 

秘密保護法について厳しい指摘  特定秘密の保護に関する法律(以下「秘密保護法」と いいます。)については,日弁連だけでなく,日本の多くのNGOがジョイントレポートを提出しました。アムネスティやツワネ原則を起草したオープンソサエティ・ ジャスティスイニシアティブも,詳細なレポートを提出しました。このような動きを受けて,審査の二日目にドイツのアンヤ・ザイバート・フォー委員が表現の自由について質問する中で,秘密保護法について詳細に取り上 げ次のように述べました。 

 

 「情報へのアクセスを拒否する場合は相当な理由が述 べられるべきであり,取決めがなされて拒否された場合の不服申立てが可能でなければならない。

 

規約19条3 項には制約について述べられているが,一般的意見が強調しているのは,締約国による国家の安全保障や公的な秘密の保護は,非常に慎重に3項に基づいた厳しい要件を満たした上で行われなければならないということである。こういう法律は具体的に書かれたものであるべきだが,秘密保護法の翻訳を読む限り適用がどのくらいの範 囲のものであるかということが非常に分かりにくい。何 が秘密として指定できるのか,ということがはっきりし ない。別表を見る限り非常に広いように思われる。防衛, 外交,テロの防止,そしてこれが何を意味するのかわか らないが指定された有害活動ということまで述べられて いる。さらに,特定秘密として分類する基準が明確では ない。これは由々しいことである。また秘密保護法24 条に書かれている,秘密情報を開示した場合の刑が最長 10年ということも懸念する。こういう規定はメディア を非常に委縮させるものである。秘密保護法の22条は ニュースの報道の自由をうたっているが,この規定は具 体的な意味が明白ではない。一般的意見によると,秘密 情報を流布したということで,ジャーナリストや環境活 動家や人権擁護者を起訴するということは規約19条と 整合性がない。日本政府はこの法律が規約19条に即し た形で適用されるように,どのように情報にアクセスす る権利を確保するのか。安全保障と公の秩序の保護のた めに必要な時のみ,相当な範囲でしか起訴が行われない ようにするためのセーフガードはあるのか。研究者や環 境活動家や人権の擁護者が,刑罰に課されないことをど うやって確保するのか。」  またナイジェル・ロドリー議長から「そもそもどうい う問題が起きたから秘密保護法が必要ということになっ たのか。」という立法事実を問う質問がなされました。  これに対して日本政府は,法律全文の英訳を委員会に 提供し,一部の答弁は英語で,今回の立法は欧米並みの ものであり,恣意的な運用はされない,報道目的の情報 取得は処罰されないなどと回答しました。

 

 ■3 秘密保護法は規約19条違反  しかし,委員会は,総括所見23項において,規約19 条にもとづいて,「委員会は,近年国会で採決された秘 密保護法が,秘密指定の対象となり得る事項の定義が曖 昧かつ広汎であること,秘密指定の要件が漠然としてい ること,及びジャーナリストや人権活動家の活動に対し て萎縮効果をもたらしかねない重い刑罰が規定されてい ることに懸念を有する。」とした上で,「締約国は,秘密 保護法とその運用が,自由権規約19条の厳格な要件に 合致することを確保するため,あらゆる必要な措置をと るべきであり,特に次の事項を保障すべきである。 ⒜ 特定秘密に指定されうる情報のカテゴリーが狭く定義されること,かつ,情報を求め,受け及び伝え る権利に対するいかなる制約も,国家安全保障に対 する特定かつ同定可能な脅威を防止するためのもの であって,法定性,比例性及び必要性の原則に合致 するものであること。 ⒝ 何人も,国家安全保障を害することのない正当な 公共の利益にかなう情報を拡散・頒布したことにつ いて罰せられないこと。」を具体的に勧告しました。  秘密指定には厳格な定義が必要であること,制約が必 要最小限度のものでなければならないこと,ジャーナリ ストや人権活動家の公益のための活動が処罰からの除外されるべきことが求められました。 

 

 秘密保護法の運用基準は2014年10月に閣議決定され, 法が同年12月に施行されました。

 

  しかし,運用基準に基づいて作られた独立公文書管理 監は,秘密を指定する官庁からの出向者で構成され,独立性がなく,また秘密を開示させる権限も不十分なもの で,独立した第三者機関とは言えません。法そのものの廃止を含めて抜本的な見直しがなされなければ国際社会からの日本政府に対する言論弾圧の疑念は払拭できない ことでしよう。

 

 

 

ツワネ原則と秘密保護法

 

  「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」(以下「ツワネ原則」という。)は,自由権規約19条等をふまえ, 国家安全保障分野において立法を行う者に対して,国家安全保障への脅威から人々を保護するための合理的な措置を講 じることと,政府の情報への市民によるアクセス権の保障を両立するために,実務的ガイドラインとして作成されたも のであり,本年6月,南アフリカ共和国の首都・ツワネで公表されたものである。 

 

 当連合会では,これまでの提案を踏まえ,ツワネ原則による法案の見直しと撤回を求める。

 

  以下,ツワネ原則に則して特定秘密保護法案の問題点を指摘する。 

 

1 ツワネ原則1,4は国家秘密の存在を前提にしているものの,誰もが公的機関の情報にアクセスする権利を有して おり,その権利を制限する正当性を証明するのは政府の責務であるとしている。しかし,法案にこの原則が明示され ていない。 

 

2 ツワネ原則10は,政府の人権法・人道法違反の事実や大量破壊兵器の保有,環境破壊など,政府が秘密にしては ならない情報が列挙されている。国民の知る権利を保障する観点からこのような規定は必要不可欠である。しかし, 法案には,このような規定がない。

 

 3 ツワネ原則16は,情報は,必要な期間にのみ限定して秘密指定されるべきであり,政府が秘密指定を許される最 長期間を法律で定めるべきであるとしている。

しかし,法案には,最長期間についての定めはなく,30年経過時の チェックにしても行政機関である内閣が判断する手続になっており,第三者によるチェックになっていない。

 

 4 ツワネ原則17は,市民が秘密解除を請求するための手続が明確に定められるべきであるとしている。これは恣意 的な秘密指定を無効にする上で有意義である。しかし,法案にはこのような手続規定がない。 

 

5 ツワネ原則6,31,32,33は,安全保障部門には独立した監視機関が設けられるべきであり,この機関は,実効 的な監視を行うために必要な全ての情報に対してアクセスできるようにすべきであるとしている。しかし,法案には, このような監視機関に関する規定がない。

 

 6 ツワネ原則43,46は,内部告発者は,明らかにされた情報による公益が,秘密保持による公益を上回る場合には, 報復を受けるべきでなく,情報漏えい者に対する訴追は,情報を明らかにしたことの公益と比べ,現実的で確認可能 な重大な損害を引き起こす場合に限って許されるとしている。

 

しかし,法案では,この点に関する利益衡量規定がな く,公益通報者が漏えい罪によって処罰される危険が極めて高い。 

 

7 ツワネ原則47,48は,公務員でない者は,秘密情報の受取,保持若しくは公衆への公開により,又は秘密情報の 探索,アクセスに関する共謀その他の罪により訴追されるべきではないとし,また,情報流出の調査において,秘密 の情報源やその他の非公開情報を明らかにすることを強制されるべきではないとしている。

 

しかし,法案にはこのよ うに規定がないどころか,第23条ないし第26条の規定によって広く処罰できるようにしている。 

(2013年11月15日日弁連「特定秘密保護法案に反対し,ツワネ原則に則して秘密保全法制の在り方を全面的に再検討 することを求める会長声明」より抜粋)

 

 

 

ドメスティック・バイオレン スについて 

 

 ドメスティック・バイオレンスについては,配偶者か らの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(いわ ゆる「DV防止法」)が存在するものの,被害者の保護 が不充分になっており,同性カップルへの保護の拡大, 加害者の処罰の徹底,緊急保護命令,被害に遭っている 移住女性の在留資格を喪失させないことについて勧告が なされました。  総括所見10項は,「締約国は,同姓カップル間も含め て,ドメスティック・バイオレンスのすべての告知につ いて徹底した捜査がなされ,加害者が訴追され,有罪の 場合には適正な制裁で処罰されること,また,緊急保護 命令を与え,かつ,性暴力の被害者である移住女性が在 留資格を失うことを防ぐことなどによって,被害者が十 分な保護を受け得ることを確保する努力をすべきであ る。」としています。

 

 

 

 

登録:2014-07-25 23:05 修正:2014-07-26 00:01ハンギョレ新聞

国連自由権規約委員会「国際社会は日本の慰安婦認識を納得できない」

「審査を進めている間、ロドリー委員長が‘頭が悪いためか(慰安婦問題に対する)日本政府の説明が理解できない’と話しました。」

 

25日午後、日本東京の第2衆議院会館。

 去る15~16日スイス ジュネーブで開かれた国連自由権規約委員会(Human Right Committee)審査現場に参加した渡辺美奈 ‘女たちの戦争と平和資料館’(WAM)事務局長が口を開いた。 この審査は国連自由権規約締結国が規約に定められた義務をきちんと履行しているかを点検する会議であり、日本に対する審査は2008年以来6年ぶりだった。

 

 今回の審査で注目を浴びたのは△河野談話(1993年)に対する検証で関心を集めた慰安婦問題△反韓デモ(ヘイト スピーチ)等の人種憎悪集会△特定秘密保護法△朝鮮学校無償化問題などだった。

 

 このうち国際社会が最も敏感に反応したのは‘戦時中の女性に対する性犯罪’である慰安婦問題であった。

 渡辺事務局長は「今回の審査を通じて明らかになったことは、慰安婦問題に対する日本政府の説明を国際社会は納得できないとしているという点」と指摘した。 今回の委員会に日本政府の立場を説明するために参加した山中修 外務省人権人道課長は「慰安婦を‘性的奴隷’と呼ぶことは適切でない。 女性たちは強制連行されたのでなく(河野談話でも認めたように) ‘全体的に本人の意志に反して’動員されただけ」という趣旨の答弁した。 これに対してロドリー委員長は「頭が悪くて何の話か理解できない」として日本政府の説明の矛盾を指摘した。

 結局、国連自由権規約委員会は24日(現地時間)に公開された‘最終見解’で「強制的に性的奴隷になった女性と(日本政府が主張するように)‘自身の自由意志に反して利用された女性’を区別することを理解できない」として「(日本軍慰安婦人権侵害の)責任に対する日本政府の公式的な認定と公開謝罪がなされなければならない」と勧告した。 また、慰安婦問題など日本軍が犯した人権侵害を調査して「法律違反行為者が確認されれば処罰しなければならない」と明らかにした。

東京/キル・ユンヒョン特派員 charisma@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/648549.html韓国語原文入力:2014/07/25 20:55
訳J.S(1050字)