衆議院議員柿沢未途容疑者(52)
政策秘書 後藤正樹容疑者(51)

公設第一秘書 柚留木成人(64)
私設秘書 後藤周容疑者(38)

森川直樹容疑者(34)
 

 

 

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 事件

柿沢前法務副大臣逮捕 江東区長選めぐる買収など疑い 東京地検

 

ことし4月に行われた東京の江東区長選挙の選挙運動の報酬として区議会議員らにあわせておよそ260万円を提供するなどしたとして、東京地検特捜部は、柿沢未途前法務副大臣と秘書4人を公職選挙法違反の買収などの疑いで逮捕しました。

逮捕されたのは、
前法務副大臣で自民党を離党した

衆議院議員の柿沢未途容疑者(52)と、
政策秘書の伊藤正樹容疑者(51)、
公設第一秘書の柚留木成人容疑者(64)、
それに私設秘書の後藤周容疑者(38)と森川直樹容疑者(34
)です。

東京地検特捜部の調べによりますと、柿沢議員は、秘書に指示するなどして、ことし4月に行われた江東区長選挙の選挙運動の報酬として、区議会議員など10人にあわせておよそ260万円を提供したり提供を申し込んだりしたとして、公職選挙法違反の買収の疑いが持たれています。

柿沢議員は、選挙期間中にこの選挙で初当選した木村弥生前区長への投票を呼びかける有料広告を掲載させた疑いも持たれています。

また、秘書2人はそれぞれ、選挙運動に関する違法な報酬を支払った疑いが持たれています。

柿沢議員は、保守分裂の構図となった区長選挙で、自民党推薦の候補と争った木村前区長を支援していて、東京地検特捜部は、有料広告をめぐる問題が明らかになったあと、柿沢議員の自宅や議員会館と地元の事務所、それに秘書の自宅や現金を受け取った区議会議員らの自宅などを捜索して捜査を進めていました。

関係者によりますと、柿沢議員は、特捜部の任意の事情聴取に対し、「区議会議員らに提供した現金は同じ時期に行われた区議会議員選挙の陣中見舞いで、買収には当たらない」と説明し、有料広告については、「違法だとは思わなかった」と説明していたということです。

柿沢議員は、前区長に有料広告の利用を勧めた責任をとりたいとしてことし10月に法務副大臣を辞任し、議員会館の事務所などが特捜部の捜索を受けた今月14日に自民党を離党していました。

事件の背景と木村氏を支援した経緯は

東京23区の東部にある江東区では、保守系の支持層をめぐって、
区長を4期16年務めことし4月に亡くなった山崎孝明元区長、
木村前区長の父親の木村勉元衆議院議員、
柿沢未途衆議院議員の父親の柿沢弘治元外務大臣が長年勢力争いや駆け引きを繰り広げ、「三国志」などと呼ばれてきました。

地元の政界関係者は、「先代、お父さんの世代が江東区で地盤を作って3つの家が力を持った勢力として今に至っている」と話していて、保守分裂の構図となったことし4月の区長選挙も、この3つの勢力が交錯する形となりました。

「クリーンで開かれた区政」を訴えて初当選した木村弥生氏。

その木村氏と争ったのが、父が区長を16年務めた山崎一輝氏で、動向が注目された柿沢議員は、木村氏を支援しました。

柿沢議員は、みんなの党や希望の党などに所属したあと、おととし10月の衆議院選挙で当選して自民党に追加公認されていて、この時が自民党の国会議員として迎えた初めての区長選挙でした。

柿沢議員は、自民党推薦の山崎氏と争う木村氏への支援を公言することはありませんでしたが、関係者によりますと、陣営には柿沢議員の秘書や後援者らが入り、選挙運動を全面的にバックアップしていたということです。

地元の政界関係者は、木村氏が区長選挙に立候補したのも柿沢議員の後押しがあったからだとしたうえで、「誰もが、みこしを作ったのは柿沢さん、みこしに乗ったのは木村さんと認識していた。江東区の自民党の中で柿沢議員が自分の位置を確認するための選挙だったと思う。自分の代わりとして木村氏を区長にすれば、地元の区議会議員や都議会議員に影響力を持てる。自民党が推している山崎さんがいる中で全面的に応援はできないが、自分が表に出ずとも柿沢ここにありというのを見せていった選挙だった」と話していました。

柿沢議員側から接触があった区議の受け止めは

区長選挙をめぐる買収の意図はあったのか。

柿沢議員側から接触があった区議会議員は、次のように話しています。自民党の星野博区議は11月報道陣の取材に応じた際、区長選挙と区議会議員選挙が告示される前のことし2月下旬から3月上旬に柿沢議員の秘書が事務所を訪れ、「代議士から預かって来ました」と言って現金20万円を渡されたと明かしました。

そのうえで、買収の趣旨については、「言われていないし、そういうのは全然ない。区議会議員選挙の陣中見舞いとして受け取った。何に使ったかは覚えていないが、選挙運動の費用として使ったと思う」と話していました。

また、自民党の佐藤信夫区議は、選挙前に柿沢議員の秘書から渡された現金20万円をいったん返却し、選挙後に再び同じ額を柿沢議員が同席した会食の場で受け取ったとしたうえで、先月取材に応じた際、選挙前に受け取った20万円について、「同じ時期に行われた区議会議員選挙の陣中見舞いだったと認識している。柿沢議員から木村前区長を紹介されたこともない」と話していました。

一方、買収の意図を感じたと証言する議員もいます。

NHKの取材に応じた区議会議員は、選挙の告示の2か月ほど前に柿沢議員の秘書から「あいさつに伺いたい」と連絡があったものの断ったと証言しました。

その上で、柿沢議員が自民党に入ったあと区長選挙の3か月後のことし7月まで地元の支部長に就くことができなかったことに触れ、「自民党に入ったものの、疎外感があったのだろう。自民党の国会議員なのに自民党推薦の区長候補を応援しないで、水面下で木村前区長を応援していて、やっていることと言っていることが全く相反する状況だった」と話しました。

その後も柿沢議員側から複数回連絡があったものの、同僚の区議会議員から「自民党の区議会議員に現金20万円が配られている」という話を聞き、面会を断り続けたということです。

この区議会議員は、「時期や金額の多さからも見て、陣中見舞いと言うのはいささか無理がある。柿沢議員側からの電話は区長選挙と関係があると思い、私は会うのも嫌だった。山崎さんを追い出してしまおうという気持ちがあり、山崎さんの方を向いている議員に少しでも柿沢の方を見てほしいと考えていたのではないか」と話していました。