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安倍派のパー券収入「還流記録」を東京地検が入手 3つのルートで裏金疑惑を本格捜査へ

 自民党の安倍派「清和政策研究会」による裏金疑惑で、同派がパー券販売で得た収入の一部をキックバック(還流)した所属議員の氏名や金額を示す記録を作成し、東京地検特捜部が任意捜査の過程でその記録を入手していたことがわかった。13日の読売新聞が報じた。

 安倍派では議員側にノルマをオーバーしたパー券販売分を現金でキックバックし、収支報告書に記載しないよう要請。派閥の会計担当職員は各議員の秘書らとの間で現金の受け渡しや要請を行い、そのうえで記録を作成していたという。

 特捜部は裏金疑惑を3つのルートで重点的に捜査しているという。13日の産経新聞によると、①パーティー収入のノルマ超過分・還流分の政治資金収支報告書への不記載で安倍派の事務総長経験者を②パーティー収入の還流分の不記載で、特に悪質な安倍派議員を③パーティー収入の一部の不記載で二階派を捜査する3ルート。

 

 

 特捜部は13日の臨時国会閉会後にも、記録などを基に安倍派所属議員から一斉聴取するなど、捜査を本格化させる。

 

 

 

 

 

「キックバック不記載は派閥の指示」 特捜部聴取に議員側が説明

東京地検が入る庁舎=金寿英撮影

 

 自民党派閥の政治資金パーティーを巡る問題で、最大派閥の清和政策研究会(安倍派)に所属する議員の秘書らが東京地検特捜部の事情聴取に対し、「キックバック(還流)を収支報告書に記載しないのは派閥からの指示だった」などと証言していることが判明した。特捜部は、派閥が主導してパーティー収入の一部を組織的に裏金に回していたとの見方を強めている模様だ。

 

  【図解】そもそも…今回の疑惑の構図 

 

 特捜部は全国から応援検事を集め、安倍派の議員の秘書らへの事情聴取を進めている。関係者によると、複数の秘書らが特捜部に同様の趣旨の供述をしている模様だ。特捜部は秘書らの説明を基に、派閥側の事情聴取の必要性を検討しているとみられる。 

 

 安倍派(99人)では、直近5年間で所属議員がノルマを超えて集めた収入と、議員への還流分の支出がいずれも派閥の収支報告書に記載されていなかった疑いが持たれている。また、議員側の収支報告書にも還流資金が収入として記載されず、裏金化していた可能性がある。

 

  こうした議員は数十人規模に上るとみられ、中には数千万円の還流を受けていた議員もいるとされる。裏金の総額は数億円に膨らむという。 

 

 還流資金を受領し、裏金化したとされる安倍派の議員の関係者は毎日新聞の取材に、派閥側から「収支報告書に載せなくて大丈夫と強く言われた」と証言した。還流資金を議員側の報告書に記載しないことは「派閥のルール」と受け止めたといい、問題意識を持つこともなかったとした。ノルマ超過分は事務所の収入になるため「パーティー券の販売を頑張ろうという気持ちになった」とも述べた。  特捜部は、安倍派を含む主要5派閥に対する政治資金規正法違反(不記載、虚偽記載)容疑の告発を受理。臨時国会の会期末(13日)後に、不記載の規模が特に大きい安倍派を集中的に捜査するとともに、他派閥への捜査も継続するとみられる。

【井口慎太郎、酒井志帆、高良駿輔、志村一也】