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日刊ゲンダイ

世田谷区長が新手の選挙妨害を刑事告訴…世論調査装って悪評を流布する「怪電話」は誰の仕業か

保坂展人世田谷区長(C)日刊ゲンダイ

「突然のお電話失礼致します。こちらは世論調査ドットコムです」  その電話は今年3月20~27日の間、東京・世田谷区内の不特定多数の世帯に一斉にかかってきた。4月の区長選直前で選挙の構図は電話の1カ月前に一変。4選確実とみられた現職の保坂展人氏に対し、自民党と日本維新の会が異例の共闘で、元財務官僚の内藤勇耶氏をブツけてきた。

 

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電話は女性の声を録音した自動音声。「保坂区長について意識調査をしております」との前置き後、「公用車で別荘に何度も行き来している」「秘書を区の外郭団体に縁故採用した」と一方的に流れてきた。「すでにご存じだった方は1を。ご存じなかった方は2を押してください」

 

──プッシュすると電話が切れる仕組みとなっていた。

 

  すぐ保坂氏の後援会事務所には「不審な電話があった」と報告があり、その数は約30件。電話を録音し、聞かせる人もいた。着信履歴の番号にかけると、同様の音声が自動で流れた。

 

格安料金で録音内容を自動的に一斉発信できる「オートコールシステム」だ。

 

抗議しようにも「世論調査ドットコム」なる団体・企業の存在は確認できなかった。

自民・維新が異例の共闘

 

全面支援(維新の馬場代表と内藤候補=左)/(C)日刊ゲンダイ

 

 選挙期間中に自民は松野官房長官や萩生田政調会長、維新は馬場代表など、大物が次々と応援に入り、内藤氏を全面支援。29歳の若さを強調し「チェンジ」を訴えたが、結果は3万9000票差で保坂氏が当選した。

 

  保坂氏は謎の電話について今月17日、区長選前に自身に関するウソの情報を区民に広められたとして、公職選挙法違反(虚偽事項の公表)と名誉毀損の疑いで容疑者不詳のまま警視庁に刑事告訴。すでに受理されたという。日刊ゲンダイの取材に保坂氏はこうコメントした。

 

 「世論調査を装って、ネガティブ情報の拡散を目的としたステルス攻撃であり、『怪文書』の時代から引き継いだ『怪電話』だと受け止めています。公平・公正な選挙を歪める新たな手口で、このまま放置すれば悪しき前例として定着する恐れがある。厳正な捜査をお願いしたい」

 

  同時期実施の江東区長選では、自民の柿沢前法務副大臣が支援候補に公選法で禁じられた有料ネット広告の利用を勧めた。維新の選挙違反の事例はキリがないほどだ。選挙は何でもアリの両党だが、怪電話は誰の仕業なのか。捜査の進展が待たれる。