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時事通信
ガザ北部に民間人30万人 住民残留、過去の土地接収が影響 UNRWAの清田局長
清田明宏 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)保健局長(本人提供)
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の清田明宏保健局長(62)=福岡市出身=が6日、時事通信のリモート取材に応じ、イスラエル軍が包囲するパレスチナ自治区ガザ北部に同日時点で「民間人約30万人が残っている」と語った。
ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘が続く中、住民向けの物資が不足する現状を憂慮した。
清田氏は、イスラエルによるガザ北部からの退避勧告後も住民が残っていることについて、過去にイスラエルの呼び掛けに応じて退去した住民の土地が接収された経緯から、「『間違いを二度と繰り返したくない』と考える人が確実にいる」と説明した。また、南部に逃げても「避難所は立すいの余地もない」状況。南部でも空爆が続き、北部に戻った住民も多い。
ガザは何度もイスラエルの大規模攻勢を受けてきたが、今回は水や食料、医薬品といった支援物資が十分に入ってこない状況だ。10月21日の支援再開以降、物資を搬入したトラックの数は衝突開始前の2割に満たない。清田氏によると、「1日1食しか食べていない」と話す住民は珍しくない。「何度も戦争を経験したUNRWA職員が『こんなことは初めてだ』と話している」という。
イスラエルは、支援物資がハマスに渡ることを警戒し、搬入を抑制している。清田氏は「ハマスに物資が渡らないよう、長年きちんとやってきた」と強調。「米国などでテロ組織に認定されているハマスに支援物資が渡れば、欧米諸国が支援を止めてしまう」のは自明だと指摘し、搬入量を衝突前の状態に戻すよう訴えた。
◇清田明宏氏略歴 清田 明宏氏(せいた・あきひろ)国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)保健局長。高知医科大(現高知大医学部)卒。公益財団法人「結核予防会」結核研究所、国際協力機構(JICA)、世界保健機関(WHO)などを経て、10年から現職。62歳。福岡市出身。