貨物船は事故の前にもスマートフォンの電波を受信する目的で陸への接近を繰り返していて、乗組員全体の安全航行への意識が低下していたと指摘

 

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 NHK

モーリシャス沖座礁事故 日本の運輸安全委が最終報告書

3年前、インド洋の島国、モーリシャスの沖合で、日本企業がチャーターした貨物船がスマートフォンの電波を受信しようと島に接近し座礁した事故で、日本の運輸安全委員会は、貨物船は事故の前にも電波を受信する目的で陸への接近を繰り返していて、乗組員全体の安全意識が低下していたなどとする最終報告書をまとめました。

3年前の2020年7月、商船三井がチャーターした貨物船がモーリシャスの沖合で座礁し、およそ1000トンの重油が流出した事故で、事故原因を調査していた日本の運輸安全委員会が最終報告書を公表しました。

 

 

それによりますと、船はモーリシャスに寄港する予定がなく、詳細な海図を持っていないにもかかわらず、乗組員のスマートフォンの電波を受信しようと、島に接近したことで浅瀬に乗り上げたとしています。

そのうえで、貨物船は事故の前にもスマートフォンの電波を受信する目的で陸への接近を繰り返していて、乗組員全体の安全航行への意識が低下していたと指摘しています。

報告書では、モーリシャス政府から入手した船内の音声記録も記載されていて、船長と航海士が「電波は取れたか」とか、「インターネット、まだ全然きてないですよ」などと会話し、スマートフォンに意識が向いていた状況を明らかにしています。

事故直後には船長が「キャリアが吹っ飛んだ」と言い、航海士が「私もです」と返したことも記されています。

また、大量の重油が流出し、沿岸の汚染が拡大したことについては、新型コロナによる防疫措置で他国から来たサルベージ船が作業を開始するまでに時間がかかったことなどが原因だとしています。

そして、再発防止策としては、乗組員は私的な理由で陸に接近するといった安全ではない行動を取らないことなどを挙げています。