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事件・司法 日経新聞

双日元社員を逮捕 転職元の兼松から営業秘密持ち出しか

 

転職元の大手商社「兼松」から営業秘密を不正取得したとして、警視庁は28日までに、大手商社「双日」元社員で職業不詳、真鍋昌奨容疑者(32)=東京都江東区=を不正競争防止法違反(営業秘密侵害)の疑いで逮捕した。持ち出された情報には兼松が管理していた自動車の部品に関するデータや取引先の営業情報が含まれるという。

真鍋容疑者は兼松で自動車部品の取引を扱う部署に勤務。2022年6月に兼松を退社し、翌月に双日に転職した。すでに双日は退社している。

 
 

逮捕容疑は22年7月中旬、不正の利益を得る目的で、兼松の別の従業員のIDやパスワードを使って自宅からパソコンで同社のデータベースにアクセス。営業秘密に当たる自動車部品の取引台帳など3つのファイルをダウンロードし、不正に取得した疑い。

警視庁によると、真鍋容疑者は容疑を否認しているという。

 

 

警視庁は4月、同法違反容疑で東京都千代田区にある双日本社などを家宅捜索した。押収した資料などをもとに、元社員が転職先の双日にデータを持ち込んだ可能性も視野に捜査を進めていた。

双日は元社員の逮捕を受けて「多大な心配とご迷惑をおかけし、心よりお詫び申し上げる。捜査には全面的に協力している」とコメントした。社内調査の結果、元社員に情報の持ち出しを指示するといった組織的な関与はなかったとしている。

兼松の広報担当者は「本件を厳粛に受け止め、引き続き捜査に全面的に協力するとともに、情報管理体制の見直しや情報セキュリティー教育の再徹底に取り組みたい」とコメントした。

不正競争防止法は企業が秘密として管理するなどしている技術上、または営業上の情報を営業秘密と定義し、不正な利益を得る目的で取得する行為などを禁じている。違反した場合、10年以下の懲役か2千万円以下の罰金または両方が科される。

持ち出された情報が営業秘密に該当するかどうかは、①秘密として管理している(秘密管理性)②事業などに有用(有用性)③公に知られていない(非公知性)――の3要件を満たすかで判断される。

 

 

雇用の流動化が進む中、転職などに乗じて営業秘密が持ち出される事件は後を絶たない。警察庁によると、全国の警察が22年に摘発した営業秘密侵害事件は29件で過去最多だった。

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