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政府の新基地建設「平和が脅かされ、意思決定への平等な参加が阻害」
玉城デニー沖縄知事が国連人権理事会で声明【日本語・英語全文】
【ジュネーブ18日=大野亨恭】沖縄県の玉城デニー知事は18日午後(日本時間19日未明)、スイス・ジュネーブの国連欧州本部で開かれた国連人権理事会で声明を発表した。「米軍基地が集中し、平和が脅かされ、意思決定への平等な参加が阻害されている沖縄の状況を世界中から関心を持って見てください」と訴えた。県民が反対の民意を示しているにもかかわらず、日本政府が名護市辺野古の新基地建設を強行していることも強調した。
国連人権理事会で都道府県知事が声明を発表したのは2015年の翁長雄志前知事以来。玉城知事はこの日、「国際秩序」がテーマの会議で発表した。
玉城知事は辺野古新基地に関し「県民投票という民主主義の手続きで明確に反対の民意が示された」と翁長氏が演説した15年以降も沖縄では反対意見が根強いことを指摘した。「日本政府は貴重な海域を埋め立て新基地建設を強行している」と述べ、県民の意思とは異なる政策が進められている現状を報告した。
また、軍事力増強は日本周辺の緊張感を高めていると懸念を示した。その上で、こうした現状は、「県民の平和を希求する思いとは相いれない」と訴え、安定的な国際秩序を維持する重要性に理解を求めた。
さらに「全ての人は、全ての人権が保障され、発展が実現するような平和を享受する権利を有する」と定めた国連の「平和への権利」が沖縄でも実現するよう訴えた。こうした権利の獲得に向け「関係政府による外交努力の強化を要請する」と国際社会へ努力を求めた。
声明に先立ち、知事は有害物質などに関する国連特別報告者のマルコス・オレリャーナ氏と会談した。知事は米軍基地から派生する有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)などの問題を訴えた。
会談は冒頭以外非公開。国連特別報告者は、人権に関する調査や報告、勧告などをするため人権理事会から任命された独立した専門家で、オレリャーナ氏は国際法や人権、環境法を専門としている。
19日は国連内でのイベントで講演し沖縄の歴史や日米地位協定の問題点などを紹介する。22日まで滞在し、ほか2つの会議でも声明を発表する予定で、複数の国連関係者とも面談する。
【玉城知事の国連声明(日本語訳)】
①〈議題:国際秩序に関する独立専門家との相互対話〉
ありがとうございます、議長。ハイサイグスーヨー。
私は、日本国沖縄県の知事、玉城デニーです。米軍基地が集中し、平和が脅かされ、意思決定への平等な参加が阻害されている沖縄の状況を世界中から関心を持って見てください。
令和5年9月6日 玉城デニー知事による国連人権理事会における発言について(知事応答シーン)