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の渡部です。

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昨年度、多くの反対を押し切って強行した

都立高校英語スピーキングテスト。

多くの問題点が明らかになったが、

東京都は今年度もまた強行しようとしています。

 

昨日(9月11日)、参院議員会館で

<ゼロから分かる!都立高校英語スピーキングテストの大問題!!>と題して、武蔵大学教授・「入試改革を考える会」代表の大内裕和さんの講演会がありました。

 

そこでは、改めてスピーキングテストがいかに多くの

問題を含んでいるかについて明らかにされました。

以下、レジュメに沿ってその問題点を箇条書きに紹介します。

(詳細は割愛します)

少し長いので、時間がない方は、最後の方に

簡単なまとめを付けておきましたので、

それをお読みください。

 

(1)公平かつ正確な採点はできるのか?

   東京の公立中学校3年生は全部で約8万人。その音声による解答を

   2022年11月末~23年1月中旬までにフィリピンで採点。

   採点者が一体どんな人たちであるかは、はっきりしない。

 

(2)評価の点数化の問題

   上限100点の得点をA~Fの6ランクに振り分けて配点する。

    80~100点 →A →20点

    65~ 79点 →B →16点

    50~ 64点 →C →12点

    35~ 49点 →D →8点

    1~ 34点 →E →4点

    0点    →F →0点

   80点とった人と100点とった人は20点違っているのに、

   換算後は20点と同点になる。・・1点でも4点となる。

   1点差が合否を分ける入試に向かない。

   受験生や保護者の納得も得られない。

 

(3)「令和4年度中学校英語スピーキングテスト(ESATーJ)

   実施概要(案)」には、

   「事業者が用意するタブレット端末等を用いて、

   解答音声を録音する方式で実施する。また、受験者を

   前半実施組と後半実施組の2組に分け、

   タブレットを移動させる形式で実施する」と書かれている。

   しかし、同一問題の試験を異なる時間に実施すべきではない。・・

   またこれは、タブレット端末を「使い回す」ことを意味する。・・

 

(4)中学校英語スピーキングテスト(ESATーJ)と民間試験GTEC(ベネッセ)は、

   問題構成と問題傾向、採点基準ともに、とても良く似ている。

   両者は「実質的に同じ」と説明する英語教育の専門家もいる。

   この民間試験が・・調査したところ23区・26市(計49)の中で

   実施しているのが9、不実施40。(具体的な自治体名略)

   だから、自治体間の不平等を指摘する声が多数届いている。

 

(5)不受験者の扱い

  不受験者(「仮のESATーJの結果」)は次のように算出される。

  (翌年2月の入試での)英語学力検査の得点で順位を決め、

  不受験者と英語学力検査の得点が同じ者のESAT-J結果を

  「3 評価の点数化について」に基づいてそれぞれ点数化し、

  その平均値により、不受験者の「仮のESATーJの結果」を求める。

  その際、平均値が18点以上はA、14点以上は18点未満はB、

  10点以上14点未満はC、6点以上10点未満はD、2点未満はFとする。

  この不受験者の「仮のESATーJの結果」の算出方法について、

  大きな問題点がある。

  (詳しくは略するが、要するに英語の学力検査が基準になる

  ということで、ならばスピーキングテストの意味はなくなる

  ということである)

 

(6)スピーキングテストの大きすぎる配点「20点」

  学力検査が行われる5教科の調査書点は、

  通知表の5段階評価を4.615倍して換算される。

  英語で「5」を取っると、調査書点は約23点となる。

  さらに、スピーキングのたった約15分のテストに

  20点も配点するのは余りにも大きすぎる。

  たとえば調査書点約23点に20点を加算すると、

  英語の総点数は約43点となる。

  国語、数学、理科、社会の調査書点は最高約23点なのに、

  なぜ英語だけ最高約43点にもなるのか。

 

(7)受験生に通知されるのが「総合得点」と「ESATーJグレード」のみ。

  「A(音読)」「B(Q&A)」「C(描写・説明)」「D(意見・コメント」

  とあるが、「どのパートで何点とれたのか」という採点内容がない。

  これでは自分の習熟度を詳しく知ることもできない。

 

(8)ベネッセへの個人情報の提供と利益誘導・利益相反の疑い

  2021年に実施されたプレテストでは、ウェブ上で生徒の情報を登録する際、

  顔写真をアップロードすることを求められた。

  2022年度からは都立高脂肪予定者全員の名前、顔写真、

  「ESAT-J」の結果、がベネッセに渡ることになる。

  ベネッセでは2014年に顧客情報持ち出し売却事件が起きている(詳しくは後述)。

 

(9)公立中学校の進路説明会におけるスピーキングテストの説明の不十分さ

  大内さんの所に進路説明会に参加した保護者から、

  「説明はなかった」とか、あっても

  「①都立高校受験に必要、②配点は20点、

   ③7月から申し込みが始まるので、各家庭で申し込みをして下さい、

   ④詳細についての質問は、概要の裏面にある窓口に各自でお問い合わせ下さい。」

 というもので、全く業者任せ、家庭任せというものだった。

 

(10)1月中旬の「ESATーJ」の結果返却による進路指導の困難

  結果は1月中旬だから、都立高校の推薦入試に出願時期1月中旬には

  間に合わず、調査書には記載されない。

  さらに、その後の第一次募集・分割前期募集にも多大な影響を与える。

  そもそも受験生と保護者は、12月上旬の三者面談で志願先を決定するので、

  それにも間に合わない。

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さらに大内さんは、<試験当日以降の混乱と問題点>として、

以下のようなことを話してくれた。

2022年11月の試験当日、英語スピーキング議連と

「入試改革を考える会」をはじめとする市民団体によって

「#ESATJ実施状況調査」を実施すると、

「前半実施の受験生の声が、待機している

 後半実施組の受験生に聞こえて、

 問題内容や解答の一部が伝わってしまっている」との回答が多数存在。

 回答は受験生から268件、保護者から155件、

 試験監督や教員からも合わせ、計478件あったが、

 「前半組の解答が聞こえた」との声が46会場92件。

 試験中、周囲の受験生の声が聞こえたとの回答は78会場、166件あった。

 (具体的な声も紹介されましたが割愛します)

 

 これについて、2023年1月30日、「入試を考える会」と

 「都立高校入試へのスピーキングテスト導入の中止を求める会」が、

 「音漏れ」について「実証実験」と「実施状況調査」を要望したが、 

 一度も実施されていない。

 

その後、2月7日、ESATーJについて採点に誤りがあり、

 訂正したケースが8件あったことが判明。しかし、1月12日に結果が出た後に

 「採点やり直し」を行った経緯・理由は不透明である。

 

7月13日、都教委は、今年の中1・中2のスピーキングテスト、

来年以降の中1~中3のスピーキングテストの実施事業者が

「ブリティッシュカウンシル」に決定。

ベネッセは応募しないことが明らかになった。

理由は不明だが、大内さんは、

 ①ESATーJの反対運動が広がったことによって、東京都以外の他府県への

  拡大が困難となり、当初期待していた利益が得られない。

 ②ESATーJの反対運動によって、ESATーJの試験としての問題点が

  伝わったことにより、ベネッセという企業のイメージダウンが広がった。

 ③解答音声の開示や「音漏れ」への対応としての「同一問題同一時間」実施

  など、当初予想していなかった「修正」「改善」を迫られたことにより、

  試験の実施コストが増加した。

 ④共同実施してきた東京都教育委員会の「愚かさ」と「無責任さ」にあきれた。

などの推察を挙げていました。

 

また、<2024年度からの試験形式の大きな変化と住民訴訟>として、

・2024年度(ブリティッシュカウンシル)からは「同一問題同一時間」で実施。

 (しかし、今年はまた「同一問題前半後半」で実行しようとしている。)

・2022年11月にスタートした住民訴訟 

  2023年10月13日(金)「弁論準備手続」期日

 裁判では「入試の公平性・公正性」と「個人情報保護条例違反」

 が問われる。

 

最後に<ESAT-Jの問題点>として、

 ①入試の公平性・公正性・透明性・信頼性を欠いた試験である。

 ②他の道府県でも、アチーブメントテストなどで

  スピーキングテストを実施する動きが広がっている。

  東京都同じ問題が起こる危険性が高い。

 ③ベネッセでは2014年に業務委託先の従業員が約3500万件の

  顧客情報を持ち出し、名簿業者に売却していた事件が発覚した。

  加えて、ESAT-Jで、住民訴訟が行われることになった。

  公教育の入試に私企業の利益拡大につながることになれば

  大きな問題である。そういう疑いを持たれたことだけでも、

  入試や教育行政の信頼性を揺るがすことになる。

 ④2022年度の5億円に続いて、2023年度に東京都ではスピーキングテストに

  35億円の税金が投入される。OECD諸国の中でもGDP比に占める教育予算の

  割合が低い日本において、税金が私企業に使われることは、公教育予算の

  一層の減少を意味する。「教員不足」で公教育の拡充が急務な状況下、

  こうした使い方が果して良いのか。

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長くなりましたが、この間、小池都知事の肝いりで行われた

東京の英語スピーキングテストがいかに問題が多いか

理解されたのではないでしょうか。

監督もアルバイト、「音漏れ」もする、採点も外国で、

2月の入試のために前年の11月にやって、

1月ごろに結果が届く、12月の三者面談での

志望高選択にも、1月の調査書提出にも間に合わない。

またスピーキングテスト不受験者の点数は

2月の入試の英語の点数をもとにつける、

しかも換算する採点基準がいい加減なため、

不受験の方が有利に成ったりする。

それを公立高を受験しないものにも全員に受けさせる。

これでは入試の体(テイ)を全く成していません。

誠にお粗末としか言いようがありません。

単に教育産業を儲けさせるためのものです。

 

いまではスマホやパソコンでも外国語はいくらでも

日本語に翻訳できるし、また日本語を吹き込めば

指定した外国語が出てくる時代です。

学校では基本をしっかりと教えればいいのです。

 

このようなお粗末なスピーキングテストは、

もうやめるべきです、時間と金と労力の無駄です。

まして、全国に波及などさせてはなりません。

 

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