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「『桜を見る会』で安倍元首相夫妻を広告塔に利用」「昭恵夫人が関与した宿泊施設に資金支援」カジノ・IR統合型リゾート汚職事件の被告・淡路明人氏の余罪と検察が「深堀り」しなかった理由

 

政権との「さらなる関係悪化」を避けたかった検察

 

Gettyimage

 

 カジノを含むIR(統合型リゾート)汚職事件を巡り、秋元司元衆院議員と共謀して証人を買収したとして有罪判決を受けた淡路明人氏(57歳)。彼が、8月21日、20代の女性に覚醒剤を使用した疑いで逮捕された。

 

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淡路容疑者は、マルチ商法利用の仮想通貨販売で約200億円を集めたものの、'17年10月に消費者庁から取引停止命令を受けて事業停止に追い込まれ、約3万5000人の会員に損害を与えた人物。

 

それだけに高齢被害者のひとりは、「贅沢三昧の挙げ句、会社を潰して逃げた。許せません!」と怒りを露にする。

 

 

  淡路容疑者が広告塔に使ったのが安倍晋三元首相夫妻だった。「桜を見る会」で一緒の写真を見せられて、「首相人脈のある人だ」と、勧誘に応じた人もいる。 

 

 写真だけでなく、昭恵夫人が関与した下関の宿泊施設に資金支援するなど関係は深かったが、証人買収事件の際、検察が安倍夫妻との関係が表に出ないよう「封印」したという。 

 

 検察関係者は「淡路は秋元だけでなく昭恵夫人との関係も含めすべて白状した。でも秋元以外に捜査の手は伸ばさなかった」という。 

 

 それは当時、検察と政権との関係がギクシャクしており、更なる関係悪化を避けたかったからだとされる。だが、野放しにした“性悪”が更生することはなかった。 

 

 さらに関連記事『秋元司議員ついに逮捕「IR汚職」は「中国版ロッキード事件」か? 』では、逮捕当時の状況について報じています。 

 

 「週刊現代」2023年9月9・16日合併号より

 

週刊現代(講談社)

 

 

 

 

 

 

毎日新聞

大阪IRは事業者に甘い? 3年間延長された「解除権」のリスク

 

実施協定案の決定を受け、報道陣の取材に答える吉村洋文・大阪府知事(右)と横山英幸・大阪市長=府庁で2023年9月5日午後2時26分、戸田紗友莉撮影

 

 国内初のカジノを含む統合型リゾート(IR)の実施協定案がまとまり、2025年大阪・関西万博とともに、大阪府・市が描く「成長戦略」のもう一つの目玉が実現に向けて大きく前進した。しかし、協定案では事業者がIR事業から撤退できる「解除権」が3年間延長され、契約的に「不安定」な状態が続くことが判明。IR用地の土壌問題では新たな公費負担の可能性も浮上した。建設工事が同じ人工島の夢洲(ゆめしま)で開かれる万博の開幕(25年4月)と重なり、脆弱(ぜいじゃく)性が指摘される交通インフラへの懸念も強まるなど、課題は山積している。

 

  【イメージ図】夢洲に誘致を目指すIR

 

 「解除権というと、途中で投げ出して逃げてしまうんじゃないかというリスクが思い浮かぶが、蓋然(がいぜん)性はそこまで高くない」。横山英幸市長は5日、報道陣にそう否定してみせた。吉村洋文知事も「約1兆3000億円という超巨大投資にリスク管理は当然。成功のため事業者とリスクを共有したい」と強調した。

 

  解除権は元々、仮契約に相当する基本協定に盛り込まれていた。国が府市の区域整備計画を認定した30日後の段階で、事業実施が困難と判断した場合は協定を解除して撤退できるというものだ。カジノ事業にかかる法人税などの制度設計▽IR用地の土壌に対する市の適切な措置▽新型コロナウイルス感染症の終息――などを満たさない場合が条件とされ、7月にはこの解除期限を9月30日まで延長していた。 

 

 

 府市によると、事業者側は事業の前提条件が整っておらず、事業実施の可否を「最終判断できる状況にない」と主張、解除権の維持を求めた。府市は事業者側が初期投資額を約1900億円増額したことなども踏まえ、「開業に向けた強い意志がある」と認め、基本協定と同じ条件で解除権を26年9月まで延長することにした。担当者によると、解除権は事業者側が前提条件が整ったと判断した段階で効力を失うが、それまでは「白紙撤回」のリスクがつきまとう。

 

  隣接地で建設準備が進む万博との兼ね合いも課題だ。今回示されたスケジュールでは、実施協定の締結後に土地の液状化対策を行い、24年夏ごろから準備工事に着手。IR施設の建設工事は25年春ごろの予定で、万博の開幕と重なる。吉村知事は万博開催中も工事は続けるが、騒音や振動対策などは適切に行い、円滑に調整する考えを示した。  万博を巡っては、海外パビリオンの建設遅れが深刻化。開幕に間に合わせるため、直前まで工事が集中する恐れが指摘されるほか、期間中は来場者を乗せたシャトルバスなどが行き交い、安全対策も必須だ。島という立地ゆえ、工事車両の主なアクセスは橋やトンネルに限られ、ある市議は「万博とIRの工事を同時に進行できるのか」といぶかしむ。

 

  IR誘致は、吉村知事と横山市長が率いる地域政党・大阪維新の会が公約に掲げるなど、旗振り役となって推進してきた。松井一郎前代表時代に、安倍晋三元首相や菅義偉前首相とのパイプを生かして法整備が進んだ背景もあり、IRの行方は万博と合わせて「維新」のアキレスけんとなりかねない。【東久保逸夫、戸田紗友莉】

 

 

  ◇行政の立場が弱い  元神奈川県逗子市長の富野暉一郎・龍谷大名誉教授(地方自治論)の話 大阪府と大阪市はIR誘致のためにインフラ整備などで多額の公費を投じてきたが、事業者のリスクはなるべく避ける契約内容になっている。事業者が解除権を行使してIR事業から撤退した場合の補償はないうえ、今後さらに公費負担が増える恐れもあり、相対的に行政の立場が弱い印象を受ける。