財務省の“悪だくみ”

ただちに破棄せよ!

インボイスと消費税

 

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10月導入インボイス制度に荻原博子氏「本来は必要ない制度、あえて導入するのは消費税増税への布石」

インボイス導入の旗を振ってきた宮沢洋一・自民党税調会長(左)と鈴木俊一・財務相(時事通信フォト)

 

 マイナ問題の泥沼化で支持率低落が止まらない岸田文雄・首相。それに追い討ちをかけるのが、10月から導入する消費税のインボイス制度だ。

 

 インボイス制度は国税庁に登録した課税事業者だけが消費税の正確な税率や税額を証明するインボイス(適格請求書)という名の領収証を発行できるようにする制度だ。現在、課税売上高が1000万円以下の商店、自営業、農家、フリーランスなど小規模事業者は消費税を納付する義務が免除されているが、登録すれば売り上げ1000万円以下でも消費税を納めなければならなくなる。インボイスを発行できないと取引から排除される可能性があるため、免税業者は登録=課税を選択するか迫られる。

マイナ問題や原発処理水と同様の無責任体質

 政府の試算ではインボイス導入で消費税収が年2480億円増える。民間試算では増収は1兆円とも見積もられている。  岸田首相は国会で、「不安の声は承知している」と答弁しながらも、「増税ではない」と言い張り、「予定通り10月から実施する」との方針を変えようとしない。  そのインボイス導入の旗を振ってきたのが首相の従兄弟で“ミスター増税”と呼ばれる宮沢洋一・自民党税調会長と麻生太郎・自民党副総裁の義弟である鈴木俊一・財務相の、いわば“縁故登用”コンビだ。  自民党では昨年から中小企業・小規模事業者政策調査会にインボイス小委員会を設置して各地の商店街(商工会)が加盟する「全国商工会連合会」など関係団体からヒアリングを行ない、導入延期を求める声が殺到したが、税制を取り仕切る宮沢氏は激変緩和措置をつくっただけで「延期はない」と押し切った。  鈴木財務相も国会で「インボイス制度は複数税率の下で適正な課税を行なうために必要なもの」と繰り返してきた。

 政治ジャーナリストの野上忠興氏は、そのプロセスにはマイナ問題や原発処理水と同根の岸田内閣の無責任体質が現われていると指摘する。 「岸田内閣はマイナ問題でいきなり健康保険証廃止を打ち出して行政の混乱とミスが続出したが、担当の河野デジタル相は『制度に起因した問題ではない』と軽視して事態を悪化させた。  原発政策でも岸田首相は国民に説明なくいきなり原発の新増設へと転換し、処理水について『海洋放出決めたからよろしく』と言うだけで風評被害を止めようとしない。政策の影響を軽視して実施し、問題が起きても甘く考えて対応が後手後手に回り、結果、国民に大混乱をもたらしている。そのくせ撤回したり見直したりする決断はできない。

 

  インボイス導入でもそれと同じ過ちを繰り返そうとしている。首相は『国民の不安は承知している』と言いながら、混乱への備えを全くしていない。10月になって国民の混乱が広がったとき、対応の責任者は鈴木財務相になるが、前任の麻生太郎氏が自分の後任に義弟を押し込んで大臣になっただけで、財政や税制は素人だから混乱を収拾する手腕は期待できそうにない。首相の従兄弟の宮沢税調会長は混乱が起きても責任を取る気はないだろう」

 

現在の制度で何も困ってない

 そもそもこのインボイス制度は全企業や自営業者などの事務処理が膨大になり、税理士会からも「負担が大きい」と反対の声が上がり、全国の税務署の作業も過重になる。事務作業増大による経済的損失を考えると、たとえ1兆円程度の増収があるとしても経済合理性から見て全く割に合わない政策なのだ。

 

 それでも導入する背景には財務省の“悪だくみ”がある。経済ジャーナリストの荻原博子氏は真の狙いをこう指摘する。 「現在の制度でも消費税の複数税率に対応できており、何も困っていない。インボイスは本来必要のない制度です。しかも、企業も役所も事務作業とその人件費が増えて損するばかり。政治家にとっても批判を浴びていいことはないはずです。  なのにあえて導入するのは消費税増税への布石です。税率をいっぺんに上げると言えば批判が強いが、たとえば食品など生活必需品の税率は据え置き、外食は15%、自動車などは20%というように税率を多段階にするやり方なら上げやすい。いまのうちにインボイスを導入しておけば、そうした引き上げがすぐにできるようになるというわけです」  消費増税準備のために国民生活を大混乱させる制度を始めるなら、この政権はもう終わったほうがいい。 ※週刊ポスト2023年9月8日号

 

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共同通信

インボイス反対に署名36万筆超 個人事業主ら、財務省に提出

 

 10月から始まるインボイス(適格請求書)制度に反対する個人事業主らでつくる団体は4日、東京都内で集会を開き、インターネット上で集めた36万筆超の署名を財務省や国税庁、公正取引委員会の担当者に手渡した。これに先立つ記者会見では「税率を変更しない消費税の増税だ」として、制度の中止や延期を訴える提言書を発表した。

 

  団体は「インボイス制度を考えるフリーランスの会」。署名は21年12月に開始した。会見には声優や建設業者など、幅広い業種が参加。ドライバーの労働組合「建交労軽貨物ユニオン」の高橋英晴執行委員長は「人手不足が深刻化する中、大量のドライバーが廃業に追い込まれる」と訴えた。

 

 

 

 

 

インボイス制度は「地獄の選択」 声優業界が大反対!3割が廃業検討で危機

インボイス制度の中止・延期を求める緊急提言記者会見に登壇した甲斐田裕子ら (C)ORICON NewS inc.

 

 10月より始まるインボイス制度の中止・延期を求める著名人や有識者たちが4日、衆議院第一議員会館にて緊急提言記者会見を開催した。

 

  【写真】ひえっ…声優7割が年収300万円以下 公開された声優年収の実態グラフ  

 

インボイス制度開始1ヶ月を切った同日、著名人・有識者100人と一般市民2000人が賛同する緊急提言の申し入れを各政党、関係省庁、財務大臣へ要請。財務省・国税庁・公正取引委員会に30万筆超えの反対著名を提出した。  この日、登壇したのはアニメ『SPY×FAMILY』シルヴィア役などで知られる声優・甲斐田裕子。『S.W.A.T.』シリーズ主人公役の咲野俊介、『機動戦士Zガンダム』エマ・シーン役の岡本麻弥とともに、インボイス制度を反対する有志グループ「VOICTION」の共同代表を務めており、ORICON NEWSの取材に以前、「インボイス制度は、消費税に関する新しい制度です。簡単にいうと民間での税金の押し付け合いです。フリーランスや小規模事業者である消費税免税事業者に仕事を依頼していた企業側が、相手が課税事業者になってくれないと納める消費税額が増えてしまうんです」と説明していた。 

 

 声優業界に与える影響として「そのため、これまで消費税を納めなくてよかった免税事業者たちが、課税事業者になることを迫られる場面が至るところで起こってしまいます。その影響で、声優やエンタメ業界だけでなく農家さんや一人親方、デザイナー、ライター、漫画家、アシスタント、ヨガインストラクター…その他ありとあらゆる分野で廃業するかもしれない人が多数出てしまうのです」と訴えてきた。 

 

 インボイス問題検討・超党派議員連盟の末松義規会長が、財務大臣へ渡した要望書には、インボイス制度はさまざまな問題があるとし「国民経済に大きな混乱を招く懸念がある」と指摘しつつ、「免税事業者が取引から排除され、廃業につながる懸念がある」ことを伝えた。

 

  今回、会見で甲斐田は、「弱い立場にある免税事業者は、課税事業者への転換を迫られ、従った場合は重い納税と事務負担が発生する。免税事業者のままでいた場合、取引からの排除、もしくは値下げを強要される可能性がある。免税事業者にとってはどちらを選んでも“地獄の選択”となるゆえ、『インボイスを機に廃業を考える』と答えた事業者は、アニメ・漫画などのエンタメ業界で2~3割、建設業界では1割にのぼった」と説明した。

 

  また、記者会見ではインボイス制度の中止・延期を求める賛同人も発表し、声優業界からは阿部敦、岩田光央、緒方恵美、小野大輔らの名前が明かされた。