麻生さん、僕には中国と戦う覚悟などない。
   あなた一人で戦ってくれ。


            前川喜平(現代教育行一政研究会代表)

 

 麻生太郎自民党副総裁が8日、台湾で暴言を吐いた。
 

 台湾有事に「戦う覚悟」が必要だとし、防衛力を「いざとなったら使
う」と言った。戦う相手は中国だ。

 

 しかし万一台湾海峡で戦闘が起きたとしても、それは日本にとって
中国の内戦だ。 これに参戦することは明白な憲法違反である。

 

 いたずらに中国を挑発する危険な発言だが、中国から抗議されるま
もなく、こんな憲法違反の暴言は日本国民自身が糾弾し、撤回させなけ
ればならない。

 

 鈴木馨祐自民党政調副会長は、麻生発言が「政府内部を含め調整し
結果だ」と説明したが、もしそうなら岸田 首相の責任も重大だ。

 一方中国政府は10日、 コロナ対策で制限していた日本への団体旅行を
解禁すると発表した。観光業界は大歓迎だ。こっちでは岸田首相も「中
国からのインバウンドの回復が今後さらに進むことを期待する」と言う。

 中国人観光客に最も人気があるのは沖縄だ。沖縄には台湾、韓国、
メリカなどからも観光客が来る。沖縄はそうやって国境を越えて人々が
集う世界の架け橋(万国之津梁)であるべき所だ。

 

 しかしもし日本が中国と戦えば、真っ先に戦場になるのがその沖縄なのだ。
 

 麻生さん、僕には中国と戦う覚悟などない。あなた一人で戦ってくれ。
 

 沖縄を巻き込むな。日本を巻き込むな。僕らを巻き込むな。
 

     (8月13日「東京新聞」朝刊19面「本音のコラム」より)