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NHK 小売業
そごう西武労組 スト権確立 投資ファンドへ売却で雇用維持要求
大手デパートそごう・西武の労働組合は、組合員による投票の結果、賛成率が93%余りにのぼり、ストライキ権が確立されたと発表しました。親会社のセブン&アイ・ホールディングスによる投資ファンドへの売却に対して、組合側が雇用の維持などへの懸念を示し、ストライキ権の行使も視野に経営側と協議を行いたいとしています。
そごう・西武をめぐっては、親会社のセブン&アイ・ホールディングスがアメリカの投資ファンドへの売却を決定したことに対し、そごう・西武の労働組合の執行部が雇用の維持などへの懸念から、全国の組合員を対象にストライキ権の確立に向けた投票を行いました。
この投票結果について労働組合側は25日記者会見を開き、賛成率が93.9%にのぼり、ストライキ権が確立されたと発表しました。
会見でそごう・西武の労働組合の寺岡泰博中央執行委員長は「従業員からみるとセブン&アイ・ホールディングスの対応は不誠実に映っていて、今回の賛成率は全組合員の総意という認識だ。そごう・西武そのものの存続がかかっている。すぐにストライキをするのではなく、交渉力を上げてまずは労使協議の場を持つことだ」と述べ、ストライキ権の行使も視野に経営側と協議を行いたいという方針を明らかにしました。
セブン&アイとしては、雇用の維持などの懸念への意見もくみ取りながら理解を得たい考えで、今後の協議の行方が焦点となります。
セブン&アイはコンビニ事業に経営資源集中
「セブン&アイ・ホールディングス」は、従来の多角化戦略から一転して、現在は、コンビニエンスストア事業に経営資源を集中させることでグループの収益力を高める経営戦略を掲げています。
セブン&アイは、従来進めてきた多角化戦略のもとで、2006年に今のそごう・西武の前身となるミレニアムリテイリングと経営統合しました。
しかし、ネット通販の台頭などによって、デパートやスーパー業界の不振が続くなか十分な相乗効果が得られず、結局、売却を目指す方針に転換しました。
多角化戦略の見直しは、ほかの事業でも行われ、おととし以降、家具や雑貨を販売する「Francfranc」の保有株式の25%余りを投資ファンドに売却したほか、スポーツ用品専門店の「オッシュマンズ・ジャパン」を靴の小売りチェーン店「エービーシー・マート」に売却するなど、事業の選択と集中を進めてきました。
会社は、今後もグループの構造改革を一段と加速させるものと見られます。
そごう・西武 売却めぐる経緯
セブン&アイ・ホールディングスがそごう・西武の売却を決めたのは、主力のコンビニ事業に経営資源を集中することがその理由としています。
そごう・西武は、昨年度まで4年連続の最終赤字となるなど業績の不振が続いていました。
こうした中、セブン&アイは去年11月、アメリカの投資ファンド「フォートレス・インベストメント・グループ」に売却することを取締役会で決定し、ファンド側と契約を結んだことを発表しました。
売却に際しては、ファンドのパートナーとして、家電量販店、ヨドバシカメラの持ち株会社の「ヨドバシホールディングス」が3000億円規模を投資する方針で、旗艦店の西武池袋本店など一部の店舗を取得する計画となっています。
ただ、その後、そごう・西武の労働組合や、西武池袋本店がある地元の豊島区などから売却に対し懸念の声があがりました。
さらに、セブン&アイの一部の株主からは、売却をさせないよう求める訴えが裁判所に起こされています。
契約締結のあと、セブン&アイの経営側は関係者との協議を進めてきましたが、事実上、理解を得られない状態が続き、当初、ことし2月としていた売却の時期を2度にわたって延期する事態となっています。
特に、西武池袋本店へのヨドバシによる家電売り場の出店をめぐって、デパートのイメージが損なわれるのではという懸念の声が高まっています。
これに対し、ヨドバシ側が1階のフロアには家電売り場を置かずに海外の高級ブランドの店舗を引き続き展開するなど地元に配慮したとする計画案を示し、関係者の間で協議が続けられています。
ストライキ実施なら異例の事態に
デパートやスーパーなど流通産業の労働組合も加盟する「UAゼンセン」によりますと、デパートの主要な労働組合によるストライキは、少なくともここ20年余りは実施されていないということです。
そごう・西武の労働組合がストライキの実施に踏み切ることになれば異例の事態となります。
そごう・西武の売却を決めているセブン&アイ・ホールディングスとしては、雇用の維持や出店計画への懸念への意見もくみ取りながら理解を得たい考えで、労働組合や地元自治体などとの今後の協議の行方が焦点となります。