『堤未果のショック・ドクトリン』堤未果著
 | 幻冬舎新書の紹介 (上) (2回の連載)
 | ショック・ドクトリンとは大事件が起きたとき
 | 国や国民の大事な資産を合法的に略奪し、政府とお友達企業群が
 | 大儲けする手法
 | 日本で仕掛けられている3つのショックの1番目「マイナンバー」
 └──── 斎藤なぎさ(たんぽぽ舎)

◎ 国際ジャーナリストの堤未果(敬称略)は、2001年9月11日同時多
発テロの時、ニューヨークの世界貿易センタービルに隣接する米国野村
証券で働いていました。
 その時の恐怖以上に怖かったのは、子供の頃からあこがれていた自
の国があっという間に全体主義国家のようになっていく様子でした
 9.11で感じた違和感の正体に気づかせてくれたのがナオミ・ク
インの『ショック・ドクトリン』でした。

 ショック・ドクトリンとはテロや戦争、クーデターに自然災害、パ
デミックや金融危機、食糧不足に気候変動など、ショッキングな事件が
起きたとき、国民がパニックで思考停止している隙に、通常なら炎上す
るような新自由主義政策を猛スピードでねじ込んで、国や国民の大事な
資産を合法的に略奪し、政府とお友達企業群が大儲けする手法です

◎ 原発事故に見舞われていた日本でもショック・ドクトリンが仕掛け
られていました。
 東北では空港や水道を外資に売り渡す道筋がつけられ、今後20年続く
巧妙な再生エネルギー賦課金制度が導入され、被災地には10年後にやっ
てくるデジタル植民地の基礎となる、スーパーシティーモデル都市が作
られていたのです。
 2011年の東日本大震災、2020年の新型コロナパンデミック、2022年に
始まったウクライナ戦争、その間にずっとある気候変動問題。これらは
どれも根の部分でつながっているのです。

 まずは日本で仕掛けられている3つのショックから見ていきましょう。

 イ.マイナンバー、ロ.新型コロナパンデミック、そして、ハ.脱炭素。

 イ.2020年4月7日。日本政府は、新型コロナウイルスの感染
始まって、7都府県に緊急事態宣言を初めて発令しました。
 実はこれと同じ日に、マイナンバーを基盤とした日本のデジタル化
一気に加速させるショック・ドクトリンが熱心に話し合われていたのです。
 ジャスティン・トルドー首相(カナダ)はワクチン接種を国民に強制し
て、反発した市民がデモをすると参加者の個人情報を基に、彼らの銀行
口座を凍結したのです。
 いざとなったら政府が国民のデーターを使ってどんなことができる
かを世界に示した事件でした。 (下)に続く