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読売新聞
デジタル庁立ち入り検査、行政指導も視野…マイナ「公金受取口座」で940件の誤登録
政府の個人情報保護委員会は19日、マイナンバーと預貯金口座をひも付ける「公金受取口座」の誤登録問題を巡り、デジタル庁に立ち入り検査を実施した。デジ庁による情報管理に問題がなかったかどうかを調べるのが目的で、マイナンバー法などに基づく行政指導も視野に入れている。
同委は6月30日、デジ庁から問題に関する報告書を受け取ったが、詳細な事実関係を把握するには不十分だと判断した。7月5日に公表した資料で、デジ庁について「正確な操作手順の徹底のほか、操作手順に伴うリスク軽減の管理ができていなかった」と指摘し、実態解明のため立ち入り検査に踏み切った。
公金受取口座の誤登録はこれまで計940件確認されている。利用者が自治体の支援窓口の共用端末で手続きを終えた時にログアウトしなかったことが主な原因とされる。デジ庁はこれとは別に、原因の詳細が不明な本人以外の家族名義で登録した可能性が高い事例が約14万件に上るとしている。
河野太郎デジタル相
検査は、マイナンバー制度やITなどに精通する職員がデジ庁を訪れて実施した。同委は詳細な調査内容を明らかにしていないが、関係書類の検査や、共用端末の正確な操作手順、リスク管理について、デジ庁が適切に対応していたのかどうかを調べたとみられる。
中東を訪問中の河野デジタル相は19日、「個人情報保護委員会の求めに応じ、適切に対応していく」とのコメントを発表した。
同委は、口座の誤登録について「マイナンバーやマイナンバーカードを活用したサービスを利用する国民が不安を抱くきっかけになり得る」と懸念しており、今後も必要に応じて検査を続ける方針だ。実務を担当する自治体についても、必要があれば調査を行う。
◆個人情報保護委員会=内閣府の外局として設置され、独立して職務を行う行政委員会。2016年1月に発足した。委員長と8人の委員で構成され、国会の同意を得て首相が任命する。事業者や行政機関などを監督し、立ち入り検査や行政処分などを行う権限を持つ。
マイナ問題、デジ庁への立ち入り検査を開始 個人情報保護委
マイナンバー(個人番号)によるひもづけのミスで、個人情報が漏洩(ろうえい)した一連の問題で、個人情報保護委員会(個情委)は19日、マイナンバー法に基づき、デジタル庁への立ち入り検査を始めた。個情委が発表した。行政指導も視野に、デジタル庁による情報管理に問題がなかったかを調べる方針だ。制度を直接所管する行政機関に対する異例の対応になった。
【解説】マイナンバーカードをめぐる四つのトラブル。コンビニ交付サービス、マイナ保険証、公金受取口座、もう一つは
マイナンバーやマイナンバーカードをめぐっては、政府が普及と利用の拡大を急ぐ一方で、他人の健康保険証や年金情報とひもづけられるなど個人情報の漏洩が相次いでいる。
個情委はとくに、公金受取口座登録制度で他人の預貯金口座が登録された事案で、デジタル庁の責任を重視。7月5日に公表した委員会資料では、「デジタル庁が正確な操作手順の徹底のほか、リスク管理及び対策ができていなかった」と指摘していた。
河野太郎デジタル相は、個情委の立ち入り調査を受け「個人情報保護委員会の求めに応じて適切に対応してまいります」とのコメントを発表した。(鈴木友里子)
朝日新聞社