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マイナンバー
マイナンバーカード 証明書交付システム 再停止へ
マイナンバーカードを使い、コンビニで住民票の写しなどの証明書を交付するシステムでトラブルが相次いだ問題で、28日、別人の証明書が誤って発行されるトラブルが発生したことがわかりました。これを受けて富士通はシステムを再び止めて点検を行うことにしています。
富士通によりますと、福岡県宗像市役所の庁舎内に設置されている証明書の交付システムで、住民がマイナンバーカードを使って住民票の写しを請求したところ誤って別人の証明書が発行されたということです。
富士通によりますと、2019年にも住民票のデータの更新中などにこうした不具合が起きていて、当時、全国の自治体でシステムの修正を行いましたが、宗像市では変更されていなかったということです。
このため、システムを運営する富士通の子会社は全国123の自治体などでシステムを止めて点検を行うことにしています。
このシステムをめぐってはコンビニなどで誤交付が相次いだためシステムを一時停止し6月17日に点検が終了したばかりでした。
富士通は「自治体ならびに住民の皆様に多大なるご迷惑、ご不便をおかけすることを重ねて深くおわび申し上げます」とコメントしています。
経済 | 共同通信 | 2023年6月29日(木) 18:29
大手電力19社に行政指導
個人情報保護委員会は29日、顧客データの不適切な取り扱いがあったとして、大手電力全10グループと送配電子会社など19社と資源エネルギー庁を行政指導した。個人情報保護法に基づく対応で、個人情報の取得や安全管理措置の不備を問題視した。
大手電力を巡っては、小売り部門が送配電子会社らが持つ新電力の顧客データを不正に入手していたことが発覚。また、エネ庁が管理するシステムに接続し、再生可能エネルギーを取り扱う新電力と呼ばれる事業者の情報を不正に閲覧して問題となった。
新電力の顧客データを不正に入手していたのは、東北電力や中部電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力を含む15社。
関西電力 競合他社の顧客情報不正閲覧 企業向けの契約でも
関西電力の社員らが子会社を通じて競合他社の顧客情報を不正に閲覧していた問題で、関西電力は家庭向けだけでなく企業向けの契約でも2000人余りの社員が1万件余りの顧客情報を閲覧していたことを新たに明らかにしました。
電力小売りの自由化に伴って、大手電力会社と送配電を担う子会社との間で、「新電力」と呼ばれる小売事業者の顧客情報を共有することは電気事業法で禁止されています。
しかし、関西電力は社員ら1600人余りが子会社を通じて競合する「新電力」の顧客情報あわせて15万3000件余りを不正に閲覧し、経済産業省が17日、業務改善命令を出しました。
不正な閲覧は家庭向けの契約で明らかになっていましたが、関西電力によりますと、企業向けの契約でも、去年4月からことし1月までに2010人の社員が1万940件の顧客情報を閲覧していたということです。
閲覧していたのは、契約者の名義や電話番号、それに、電圧などで、関西電力は、顧客からの問い合わせを受けて閲覧したもので、営業目的ではなかったと説明しています。
関西電力緊急対策本部の阿川毅 事務局長は、会見で、「引き続き監督官庁の調査に真摯(しんし)に対応し、原因を究明し再発防止にグループ一丸となって力を尽くします」と述べました。
宮川純一
関電など5社に業務改善命令 経産省、新電力の顧客情報不正閲覧で
大手電力の社員らが競合する新電力の顧客情報を不正に見ていた問題で、西村康稔経済産業相は17日、関西、九州両電力など計5社に対し、電気事業法に基づき業務改善命令を出した。
対象は、両社と関西電力送配電、九州電力送配電、中国電力ネットワーク。
不正閲覧は、2016年に実現した電力小売りの全面自由化を「骨抜き」にする行為だ。自由化以降、新規参入した「新電力」が家庭にも電気を販売できるようになった。これを受け、地域ごとに事業を独占する大手10社と新電力との競争環境を維持するため、20年までに大手の送配電部門を子会社として切り離した。
ただ、新電力は電気を届けるのに、大手電力の送配電子会社を使う。新電力と契約した人の氏名、住所、毎月の使用量などの情報は送配電子会社が持っており、大手電力が見てはならない。だが、10社のうち7社が閲覧していた。
■2023年2月5日 12時00分東京新聞
大手電力会社に相次ぐ不正閲覧 新電力の顧客情報盗み見て営業 自由化から7年、公正な競争にはほど遠く…
大手電力各社が、送配電子会社を通じて、ライバルである新電力の顧客情報を盗み見していた問題に揺れている。かつての地域独占体制から競争を促す自由化へと電力制度改革が進められたが、鍵は送配電部門の中立性・公平性にある。その根幹を揺るがす事態だ。全面自由化から4月で7年。大手電力は依然として8割のシェアを握り、競争は道半ばにある。公正な競争環境を整えるため、規制の強化や、大手電力の傘下にある送配電部門の独立性をさらに高めるよう求める声も強まっている。(岸本拓也)
◆違法性を認識していた社員も
「電力自由化の原則である配送電部門の中立性を損なう大きな事態」(日本生活協同組合連合会の二村睦子常務理事)、「(新電力の顧客情報が)見える状態はまずいと小売り部門は分かっているわけで、故意は明らか。相当に深刻」(東京大の松村敏弘教授)
1月30日に開かれた経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会(電取委)の会合。大手電力による不正閲覧を巡って出席委員から厳しい指摘が相次いだ。
不正閲覧は昨年末、関西電力で発覚した。関電の営業担当社員らが、子会社の関西電力送配電のシステムにアクセスし、電力小売りの新規参入事業者(新電力)の顧客情報を盗み見していたと発表した。全面自由化された2016年4月以降、閲覧できる状態にあったといい、少なくとも昨年4月以降、約1000人が4万件超の不正閲覧をしていた。
顧客情報には、契約者の名前や電話番号、電力使用量などが含まれており、社内調査で、不正閲覧した社員の14.4%が「提案活動(営業)のため」と回答。実際に営業活動に利用していたという。一方、不正閲覧した社員の42.7%が「電気事業法上の問題となり得る」と認識していたことも判明した。
問題は関電にとどまらない。電取委が大手電力各社に点検を求めたところ、1月末までに大手10社のうち、関電のほか、東北、九州、四国、中部、中国の5社で、送配電部門の子会社を通じた不正閲覧をしていたことが次々と分かった。
北陸、沖縄の2社でもシステム上、送配電部門が持つ新電力の顧客情報を見られる状態だったといい、不正閲覧がなかったかさらに調査中だ。「問題なし」と回答したのは東京と北海道の2社のみだった。
◆新電力側は「まさかではなくやはり」
子会社の情報を、親会社が見るくらいなら一見問題なさそうに聞こえるが、これは大問題だ。
かつて電力事業は大手10社が各地域で独占していた。しかし、競争が働かず、電気料金が割高になっているのではないかという懸念から、国が大手同士や新電力との競争を促すよう段階的に自由化を進めた。16年の完全自由化によって、家庭向けも含めて自由競争できるようになった。
電力小売りの全面自由化が始まり、多くの新電力が参入した=2016年、愛知県内で
ただ、家庭や企業に電力を届ける送配電網は、もともと大手電力が設備を持っており、新電力もそれを使って顧客に電気を届けている。その際に顧客情報を大手電力の送配電部門に伝えている。
もし大手電力の小売り部門などが、送配電部門が持つ新電力の情報を知ってしまうと公平な競争ができなくなる。そのため、小売りや発電などの部門と、送配電部門を切り離し、中立な立場で送配電網を運用するよう法律で義務付け、情報の閲覧も禁じた。
今回、6社の不正閲覧が明るみに出たことで、経産省は「公正な競争を揺るがしかねない」(西村康稔経産相)と語気を強める。一方で、新電力側の受け止めは「まさかでなく、やはりという思い」。疑念は以前から募っていたためだ。
◆性善説で実態調査してこなかった電取委
ある新電力の幹部は「こちら特報部」の取材に証言する。
「大手電力の顧客に契約乗り換えの提案をしようと、この顧客の了解を得た上で、送配電子会社に電力利用量の詳細データを請求した。するとなぜか、その顧客に対して大手電力から『料金を安くするので契約を続けて』とすぐ提案があった。不正閲覧どころか、送配電部門から自主的に漏らしているのではないかとの疑念すら抱いていた」
新電力は営業活動するとき、顧客がいつどれくらいの電力を使っているかの詳細なデータを基に見積もりを出す。このデータは大手電力の送配電部門が持っており、新電力は顧客から委任状をもらって取り寄せる。この動きが大手電力側に「筒抜け」だったのではないかと、新電力側は以前から疑っていたというのだ。
また、「(不正閲覧で)顧客がどの新電力と契約しているか分かれば、料金水準はある程度想像できる。大手側は効率的に顧客奪還の提案ができる。こんな不公平なことはない」と問題の悪質さを訴える。
今のところ、不正閲覧で得た情報を、営業活動に利用していたと認めているのは関電のみ。ほかの電力各社は「契約切り替え時の顧客対応で使った」などと説明し、営業活動への利用を否定している。
電取委は実態調査を進めているが、新電力幹部は「関電以外のエリアでも、情報漏えいを疑わせるような事例を聞いている。関電だけじゃないはず。電取委に訴えようとしたが、『証拠を出せ』と言われるので、どうしようもなかった。性善説に立ってこれまで実態を調べようとしなかった電取委側にも問題がある」と打ち明ける。
◆まずは規制強化と罰則、送配電網を独立させるべき
大手電力を巡っては、事業者向けの電力販売で顧客獲得を制限するカルテルを結んでいたことも発覚した。昨年12月には、公正取引委員会が独占禁止法違反(不当な取引制限)で中部、中国、九州の3社に過去最高となる総額1000億円超の課徴金納付命令を出す処分案を通知した。関電も関わっていたとされる。
公正な競争から目を背ける大手電力の姿勢が浮き彫りとなり、現在の制度を抜本的に改める必要があるとの指摘が上がる。
住宅地に建つ送電用の鉄塔。送電網は大手電力の傘下にある=東京都八王子市で
環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長は「日本の自由化の課題は、発送電分離がきちんとできていないことだ」と指摘する。
日本は20年4月から、大手電力の送配電部門を別会社にする「法的分離」方式を採ったが、飯田氏は「自由化の本質は公平性や透明性。それを支える準公共財の送配電網が、私企業の傘下にあるということがそもそも中途半端だった。今回のような失態が明るみに出た以上、(送配電網を電力会社から完全に独立させる)所有権分離を進めないと、状況は改善しない」と言う。
電力システムに詳しい都留文科大の高橋洋教授(エネルギー政策)も将来的には所有権分離が望ましいとしつつ、まずは規制の強化と罰則が必要と説く。「現在は情報漏えいがあっても罰則がなく、規制も緩い。同じ法的分離のドイツのように、(親会社と送配電子会社の)建物やシステムを物理的に完全に分けることは最低限やらないといけない。部門間の人事異動の規制強化や、不正が発覚した場合には厳しい罰則を科す仕組みも欠かせない」
送配電会社を毎年監査しながら不正を長年見抜けなかった電取委の立て直しも急務という。「規制機関は今回の件を反省し、電力会社に厳しく接して緊張感のある関係にすべきだ。人員体制や規制権限を強化して監視機能を高めていく必要がある」
◆デスクメモ
情報漏れがあり得るので、小売りなどと送配電の部門の切り離しや、情報の閲覧禁止を法律で義務付けていた―。だとすれば、そんな法律を作った国会の責任も重い。罰則なしと決まるまでに十分議論したのか。規制強化に反対したのは誰なのか。今国会で追及し、穴をふさぐべきだ。(本)
【関連記事】「電力難民」企業が続出 燃料高騰で新電力撤退、大手も契約停止 安全網「最終保障」利用1年で100倍に
経済産業省HP より
小売電気事業者に対し、電気事業法に基づく業務改善命令に係る弁明の機会の付与の通知を行いました
2023年6月20日
本年6月19日(月曜日)付けで、電力の適正な取引の確保を図る観点から、電力・ガス取引監視等委員会から経済産業大臣に対し、関西電力株式会社、中部電力ミライズ株式会社、中国電力株式会社、九州電力株式会社及び九電みらいエナジー株式会社に対して、電気事業法(昭和39年法律第170号)に基づく業務改善命令を行うよう勧告が行われました。
この勧告を受け、当省として電気事業法に基づく業務改善命令を行う必要があると判断し、本日、行政手続法(平成5年法律第88号)第13条第1項第2号の規定に基づき、業務改善命令に係る弁明の機会を付与し、同法第30条の規定に基づき、命令の対象となる各事業者に対し弁明がある場合は6月28日(水曜日)までに弁明書を提出するよう書面で通知を行いました。
1.予定している命令と当該命令の原因となる事実
関西電力株式会社
①予定している命令
電気事業法第2条の17第1項の規定に基づく業務改善命令
②当該命令の原因となる事実
電力・ガス取引監視等委員会(以下「委員会」という。)において、電気事業法第114条第2項の規定により委員会に委任された同法第106条第3項の規定による権限に基づき、令和5年3月30日付けの報告徴収により関西電力株式会社(以下「関西電力」いう。)に対して求めた報告の内容その他任意のヒアリングの実施等委員会としての必要な対応を行うための事案の解明作業により把握した内容によれば以下の事実が認められた。
(電気事業の健全な発達への支障、需要家等の利益の被害の程度)
- 経済産業省は私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。以下「独占禁止法」という。)第3条の規定に違反する行為(以下「カルテル」という。)の成否について何らかの認定を行うものではないが、公正取引委員会からカルテルの違反行為者として認定されたこと自体、電気事業の健全な発達に対する信頼を著しく損なうものと言える。
- 関西電力は、中部電力株式会社(以下「中部電力」という。)、中国電力株式会社(以下「中国電力」という。)及び九州電力株式会社(九電みらいエナジー株式会社(以下「九電みらい」という。)を含む。)の経営層以下との間で相互のエリアにおける販売状況や域外進出の経緯、営業体制その他の小売電気事業の営業上重要な情報等に関するやり取り(一方的に説明を聞く場合も含む。)を長期にわたり頻繁に行い、その中で競争制限の働きかけを継続して行ってきた。これは、小売電気事業に係る適正な競争に対する信頼を著しく害するものであり、電力自由化の趣旨に反し、電気事業の健全な発達に極めて大きな支障を及ぼした。
- 関西電力は、中部電力、中国電力及び九州電力の各エリア(電力の小売全面自由化前の旧一般電気事業者の供給区域をいう。)において、特別高圧及び高圧の需要家に対する提案価格について、原価を下回るほどの水準で続けた後、利益を確保できる水準に引き上げていったことを認めている。自由化部門における適正な料金水準については、事業者が利益を確保できない水準から最低限の利益を確保できる水準に引き上げることは、適切な競争環境の下で、個別事業者としての単独の判断で行われた場合は、通常の営業行為であると考えられる。しかしながら、本件提案価格の改定において、他の旧一般電気事業者と意思疎通した上で行っており、関西電力の一連の行為によって需要家の利益が直接的にどの程度害されたのかを定量的に示すことは困難ではあるが、需要家の利益への被害を生じさせたおそれがあるとの批判は免れない。
- 少なくとも2018年11月16日には九州電力に対し、九電みらいの安値販売に対する懸念を表明し、2018年12月14日には中部電力に対し、同社を含む旧一般電気事業者の安値販売に対する懸念を表明した。また、関西電力が2017年10月に行った経営層が参加する会議に配布された資料において、「小売側においても相互参入の姿を見せることにより、非対称規制の撤廃を勝ち取ることが重要」、「見える形で電力間の需要の持ち合いを演出する」との文言が記載されており、この資料に基づく方針が承認された。関西電力が2017年10月に行った経営層が参加する会議に配布された資料において、「各社が(ベースも含めた)供給力の絞込みを行い、需給構造の適正化、ひいては市場価格の適正化を実現することが重要(これにより、固定費を持たず、インバランスに依存するような新電力を市場から退出させるとともに発電設備を有する我々の収益も一定程度改善することが期待)。」との文言が記載されており、この資料に基づく方針が承認された。このような電力自由化の趣旨に反し、適正な競争を阻害しようとするものであって、電気事業の健全な発達に支障を及ぼすおそれのあるものといえる行為を行った。
(行為の悪質性、故意性や過失の程度、組織性や計画性の有無)
- 関西電力は経営層が参加する会議において意思決定を行った後、経営層以下の各階層において主体的に中部電力、中国電力及び九州電力に働きかけを継続して行ってきたことが確認されており、かかる行為の悪質性や故意性、組織性や計画性が認められる。
(法令等遵守、内部監査、コンプライアンス及びリスク管理に係る社内体制)
- 関西電力において、本件事案発覚前から、役員や職員向けに法令等遵守研修や独占禁止法に関する研修等を実施してきていたところであるが、これらの研修等は効果を上げていなかったと言わざるを得ず、経営層が率先して進めてきた一連の交渉経緯及びそれらの事実に監査部門が気付くことができず、是正できなかった点に鑑みれば、法令等遵守や内部監査、コンプライアンス、リスク管理に係る社内体制が不十分であったものと認められる。関西電力においては、令和2年4月1日に行われた会社分割前の関西電力が令和2年3月29日付けの経済産業大臣からの業務改善命令を受け、同年3月30日付けの業務改善計画に基づき法令等遵守に向けた具体的施策を実施していたところであり、本件は当該命令後に自ら是正したものではなく、外部からの通報により発覚した事案である点で、当時の関西電力における法令等遵守、内部監査、コンプライアンス及びリスク管理に係る社内体制がなお不十分であったことを基礎づけるものと言える。
(経営者の法令等遵守に関する認識)
- 上記のとおり、本事案は、当時の関西電力の経営層が主体的に意思決定を行い、進めてきたものであることからすれば、当時の関西電力における経営層の法令等遵守に関する意識は極めて低かったものと認められる。
中部電力ミライズ株式会社
①予定している命令
電気事業法第2条の17第1項の規定に基づく業務改善命令
②当該命令の原因となる事実
委員会において、電気事業法第114条第2項の規定により委員会に委任された同法第106条第3項の規定による権限に基づき、令和5年3月30日付けの報告徴収により中部電力ミライズ株式会社(以下「中部電力ミライズ」という。)に対して求めた報告の内容その他任意のヒアリングの実施等委員会としての必要な対応を行うための事案の解明作業により把握した内容によれば以下の事実が認められた。
(電気事業の健全な発達への支障、需要家等の利益の被害の程度)
- 経済産業省はカルテルの成否について何らかの認定を行うものではないが、公正取引委員会からカルテルを理由として排除措置命令等を受けたこと自体、電気事業の健全な発達に対する信頼を著しく損なうものと言える。
- 中部電力(2020年4月以降は中部電力ミライズ)は関西電力との間で、経営層を含む者において、意見・情報交換を長期にわたり頻繁に行ってきたものであり、関西電力との間で、相互のエリアにおける販売状況や域外進出の経緯、営業体制その他の小売電気事業の営業上重要な情報等に関するやり取り(関西電力から一方的に説明を聞いたものも含む。以下この②において「本件情報交換等」という。)を行ったことが一定回数以上確認された。かかる行為を行うことは、適正な競争に対する信頼を著しく害するものであり、電力自由化の趣旨に反し、少なくとも電気事業の健全な発達に支障を生ずるおそれがあるものと認められる。
- 中部電力及び中部電力ミライズのかかる行為によって、需要家の利益が直接的にどの程度害されたのかを定量的に示すことは困難ではあるが、需要家の利益への被害を生じさせたおそれがあるとの批判は免れないものである。
(行為の悪質性、故意性や過失の程度、組織性や計画性の有無)
- 当時の中部電力及び中部電力ミライズが関西電力との間で行った意見及び情報交換の少なくとも一部には経営層の関与が認められるほか、関西電力との間の社員同士の懇親会についてその存在を確認しにくくするような不適切な経理処理が行われていたことも確認された。したがって、かかる行為の悪質性や故意性、組織性や計画性も認められる。
(法令等遵守、内部監査、コンプライアンス及びリスク管理に係る社内体制)
- 上述のとおり、当時の中部電力は、関西電力との間において本件情報交換等を一定回数以上含む意見及び情報交換を長期にわたり頻繁に行っており、意見及び情報交換の少なくとも一部には経営層の関与が認められる。また、関西電力との間でかかる意見及び情報交換が継続していた間、社内において、監査や適切な部署への通報等により本件情報交換等が是正されたことは確認できない。したがって、当時の中部電力における法令遵守、内部監査、コンプライアンス及びリスク管理に係る社内体制が不十分であったことは明らかである。
(経営者の法令等遵守に関する認識)
- 上記のとおり、本事案は、当時の中部電力の経営層の一定以上の関与が認められるものであることからすれば、当時の中部電力における経営層の法令等遵守に関する認識は不十分であったと認められる。
中国電力株式会社
①予定している命令
電気事業法第2条の17第1項の規定に基づく業務改善命令
②当該命令の原因となる事実
委員会において、電気事業法第114条第2項の規定により委員会に委任された同法第106条第3項の規定による権限に基づき、令和5年3月30日付けの報告徴収により中国電力に対して求めた報告の内容その他任意のヒアリングの実施等委員会としての必要な対応を行うための事案の解明作業により把握した内容によれば以下の事実が認められた。
(電気事業の健全な発達への支障、需要家等の利益の被害の程度)
- 経済産業省はカルテルの成否について何らかの認定を行うものではないが、公正取引委員会からカルテルを理由として排除措置命令等を受けたこと自体、電気事業の健全な発達に対する信頼を著しく損なうものと言える。
- 中国電力は、関西電力との間で長期にわたり相互のエリアにおける販売状況や域外進出の経緯、営業体制その他の小売電気事業の営業上重要な情報等に関するやり取り(関西電力から一方的に説明を聞いたものも含む。以下この②において「本件情報交換等」という。)を行っていた上、その中で関西電力に対して中国エリアにおける入札参加等への配慮を求めていたことなども確認された。かかる行為を行うことは、適正な競争に対する信頼を著しく害するものであり、電力自由化の趣旨に反し、電気事業の健全な発達への支障が生じたと認められる。
- 需要家の利益の被害については、中国電力は、関西電力が中国エリア内における積極的な提案活動を控えることなどの情報を同社から入手していたことや、関西電力に対して中国エリアにおける入札参加等への配慮を求めていたことなどが認められる。中国電力のかかる行為によって需要家の利益が直接的にどの程度害されたのかを定量的に示すことは困難ではあるが、需要家の利益への被害を生じさせたおそれがあるとの批判は免れないものである。
(行為の悪質性、故意性や過失の程度、組織性や計画性の有無)
- 中国電力が関西電力との間で行った本件情報交換等は、経営層が自ら行ったもののほか、経営層に対してその内容が共有されていたものもあることから、少なくとも一部には経営層の関与も認められる。したがって、かかる行為の悪質性や故意性、組織性や計画性も認められる。
(法令等遵守、内部監査、コンプライアンス及びリスク管理に係る社内体制)
- 上述のとおり、当時の中国電力は、関西電力との間において本件情報交換等を長期にわたり頻繁に行っており、少なくとも一部には経営層の関与が認められる。また、関西電力との間で本件情報交換等が継続していた間、社内において、監査や適切な部署への通報等によりこれが是正されたことは確認できない。
- したがって、当時の中国電力における法令等遵守、内部監査、コンプライアンス及びリスク管理に係る社内体制が不十分であったことは明らかである。
(経営者の法令等遵守に関する認識)
- 上述のとおり、本事案は、当時の中国電力の経営層の一定以上の関与が認められるものであることからすれば、当時の中国電力における経営層の法令等遵守に関する認識は不十分であったと認められる。
九州電力株式会社
①予定している命令
電気事業法第2条の17第1項の規定に基づく業務改善命令
②当該命令の原因となる事実
委員会において、電気事業法第114条第2項の規定により委員会に委任された同法第106条第3項の規定による権限に基づき、令和5年3月30日付けの報告徴収により九州電力に対して求めた報告の内容その他任意のヒアリングの実施等委員会としての必要な対応を行うための事案の解明作業により把握した内容によれば以下の事実が認められた。
(電気事業の健全な発達への支障、需要家等の利益の被害の程度)
- 経済産業省はカルテルの成否について何らかの認定を行うものではないが、公正取引委員会からカルテルを理由として排除措置命令等を受けたこと自体、電気事業の健全な発達に対する信頼を著しく損なうものと認められる。
- 九州電力及び九電みらいは、関西電力との間で長期にわたり頻繁に相互のエリアにおける販売状況や域外進出の経緯、営業体制その他の小売電気事業の営業上重要な情報等に関するやり取り(関西電力から一方的に説明を聞いたものも含む。以下この②において「本件情報交換等」という。)を行っていたことが確認された。かかる行為を行うことは、適正な競争に対する信頼を著しく害するものであり、電力自由化の趣旨に反し、電気事業の健全な発達に支障を生ずるおそれがあるものと認められる。
- 需要家の利益の被害については、九州電力及び九電みらいは、関西電力が九州エリア内における積極的な提案活動を控えることなどの情報を、同社から入手していたことが認められる。
(行為の悪質性、故意性や過失の程度、組織性や計画性の有無)
- 九州電力及び九電みらいが関西電力との間で行った本件情報交換等は、経営層が自ら行ったもののほか、経営層に対してその内容が共有されていたものもあることから、少なくとも一部には経営層の関与が認められる。したがって、かかる行為には悪質性や故意性、組織性や計画性も認められる。
(法令等遵守、内部監査、コンプライアンス及びリスク管理に係る社内体制)
- 上述のとおり、九州電力及び九電みらいは、関西電力との間において本件情報交換等を長期にわたり頻繁に行っており、少なくとも一部には経営層の関与が認められる。また、関西電力との間で本件情報交換等が継続していた間、社内において、監査や適切な部署への通報等によりこれが是正されたことは確認できない。したがって、当時の九州電力における法令等遵守、内部監査、コンプライアンス及びリスク管理に係る社内体制が不十分であったことは明らかである。
(経営者の法令等遵守に対する認識)
- 上記のとおり、本事案は、当時の九州電力及び九電みらいの経営層の一定以上の関与が認められるものであることからすれば、当時の九州電力における経営層の法令等遵守に関する認識は不十分であったと認められる。
九電みらいエナジ―株式会社
①予定している命令
電気事業法第2条の17第1項の規定に基づく業務改善命令
②当該命令の原因となる事実
委員会において、電気事業法第114条第2項の規定により委員会に委任された同法第106条第3項の規定による権限に基づき、令和5年3月30日付けの報告徴収により九電みらいに対して求めた報告の内容その他任意のヒアリングの実施等委員会としての必要な対応を行うための事案の解明作業により把握した内容によれば以下の事実が認められた。
(電気事業の健全な発達への支障、需要家等の利益の被害の程度)
- 経済産業省はカルテルの成否について何らかの認定を行うものではないが、公正取引委員会からカルテルを理由として排除措置命令を受けたこと自体、電気事業の健全な発達に対する信頼を著しく損なうものと認められる。
- 九電みらい及び九州電力は、関西電力との間で長期にわたり頻繁に相互のエリアにおける販売状況や域外進出の経緯、営業体制その他の小売電気事業の営業上重要な情報等に関するやり取り(関西電力から一方的に説明を聞いたものも含む。以下この②において「本件情報交換等」という。)を行っていたことが確認された。かかる行為を行うことは、適正な競争に対する信頼を著しく害するものであり、電力自由化の趣旨に反し、電気事業の健全な発達に支障を生ずるおそれがあるものと認められる。
- 需要家の利益の被害については、九電みらい及び九州電力は、関西電力が九州エリア内における積極的な提案活動を控えることなどの情報を、同社から入手していたことが認められる。九電みらい及び九州電力のかかる行為によって需要家の利益が直接的にどの程度害されたのかを定量的に示すことは困難ではあるが、需要家の利益への被害を生じさせたおそれがあるとの批判は免れないものである。
(行為の悪質性、故意性や過失の程度、組織性や計画性の有無)
- 九電みらい及び九州電力が関西電力との間で行った本件情報交換等は、経営層が自ら行ったもののほか、経営層に対してその内容が共有されていたものもあることから、少なくとも一部には経営層の関与が認められる。したがって、かかる行為には悪質性や故意性、組織性や計画性も認められる。
(法令等遵守、内部監査、コンプライアンス及びリスク管理に係る社内体制)
- 上述のとおり、九電みらい及び九州電力は、関西電力との間において本件情報交換等を長期にわたり頻繁に行っており、少なくとも一部には経営層の関与が認められる。また、関西電力との間で本件情報交換等が継続していた間、社内において、監査や適切な部署への通報等によりこれが是正されたことは確認できない。したがって、当時の九電みらいにおける法令等遵守、内部監査、コンプライアンス及びリスク管理に係る社内体制が不十分であったことは明らかである。
(経営者の法令等遵守に対する認識)
- 上記のとおり、本事案は、当時の九電みらい及び九州電力の経営層の一定以上の関与が認められるものであることからすれば、当時の九電みらいにおける経営層の法令等遵守に関する認識は不十分であったと認められる。
2.関連条文
電気事業法
(業務改善命令)
第二条の十七 経済産業大臣は、小売電気事業の運営が適切でないため、電気の使用者の利益の保護又は電気事業の健全な発達に支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認めるときは、小売電気事業者に対し、電気の使用者の利益又は公共の利益を確保するために必要な限度において、その小売電気事業の運営の改善に必要な措置をとることを命ずることができる。
2・3 (略)
行政手続法
(不利益処分をしようとする場合の手続)
第十三条 行政庁は、不利益処分をしようとする場合には、次の各号の区分に従い、この章の定めるところにより、当該不利益処分の名あて人となるべき者について、当該各号に定める意見陳述のための手続を執らなければならない。
一 次のいずれかに該当するとき 聴聞
イ 許認可等を取り消す不利益処分をしようとするとき。
ロ イに規定するもののほか、名あて人の資格又は地位を直接にはく奪する不 利益処分をしようとするとき。
ハ 名あて人が法人である場合におけるその役員の解任を命ずる不利益処分、名あて人の業務に従事する者の解任を命ずる不利益処分又は名あて人の会員である者の除名を命ずる不利益処分をしようとするとき。
ニ イからハまでに掲げる場合以外の場合であって行政庁が相当と認めるとき。
二 前号イからニまでのいずれにも該当しないとき 弁明の機会の付与
2 (略)
(弁明の機会の付与の通知の方式)
第三十条 行政庁は、弁明書の提出期限(口頭による弁明の機会の付与を行う場合には、その日時)までに相当な期間をおいて、不利益処分の名あて人となるべき者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。
一 予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項
二 不利益処分の原因となる事実
三 弁明書の提出先及び提出期限(口頭による弁明の機会の付与を行う場合には、その旨並びに出頭すべき日時及び場所)
担当
- 資源エネルギー庁電力・ガス事業部電力産業・市場室長 吉瀬
担当者: 赤松、郷原
電話:03-3501-1511(内線 4741) - 資源エネルギー庁電力・ガス事業部政策課長 河野
担当者: 三浦、西田、安武、飯尾
電話:03-3501-1511(内線 4731)
メール:bzl-koho-dengabu-seisakuka★meti.go.jp
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