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パワハラ訴え取り下げ促す 北海道・北見市の担当課長 申し立てた職員に 「防止法」抵触の可能性

北見市役所

 

 【北見】北見市職員がパワーハラスメント(パワハラ)被害を市に申し立てた際、窓口の担当課長が取り下げを促していたことが分かった。パワハラ防止措置や相談体制の整備などを義務づけた改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)に抵触する可能性がある。専門家は「声を上げた職員への対応として不適切であり問題だ」としている。

 

 申し立ては2022年1月、職員5人が連名で市職員課を通じて行った。申立書によると、5人は13年から22年にかけて役職と年次が上の男性職員(現部次長職)から「威圧的な態度で怒鳴られた」「頭をたたかれた」など約30件のパワハラを受けたという。4人は同じ部署の部下として、残る1人は男性職員が関係する業務に他部署で携わった際に、それぞれパワハラを受けたと主張した。

 

  市は22年4月、職員監や職員課長らでつくるハラスメント処理委員会を立ち上げ調査を開始。9月、申立人1人の訴えを一部認め、職場や飲み会で頭をたたくなどした行為1件をパワハラと認定した。市は男性職員に処分や注意を行ったかを明らかにしていない。

 

  申立人の証言やメモなどによると、委員会に先立ち同年2月、当時の職員課長が申し立て内容を聴取した際、5人のうち1人に「申し立てをやめないか」と発言。ほかにも同課職員が複数の申立人に「本人(男性職員)に伝わっても大丈夫か」などと言ったという。同法は相談への適切な対応やプライバシー保護などを事業主に義務づけている。

 

  市職員課は取材に、取り下げを促した事実関係や理由について「個別の事案は答えられない。パワハラの相談を受けた際は適切に対応している」とコメントした。男性職員は「取材には応じられない」と述べた。 

 

 パワハラ問題に詳しい須田布美子弁護士(札幌)は「北見市は法が定める事業主の責任を尽くしていない。身体的暴力を受けた事案が懲戒処分に当たらないとしたらそれも疑問だ」と話している。