拉致被害者救出のために 強制失踪条約第 31 条を内閣受諾宣言し国連人権理事会への働きかけを! | 今 言論・表現の自由があぶない! プロジェクトピース9 日本国憲法9条を守りぬき9条を世界の憲法にして地球の平和を築くプロジェクト

    強制失踪条約における「強制失踪」の定義と その国内犯罪化義務

    8月30日 国際失踪者デー

     

    内閣府・拉致問題担当事務局の国家公務員たちは、強制失踪条約を全く知らない!

     

    内閣府・拉致問題担当大臣も内閣総理大臣および拉致問題担当事務局の国家公務員たちも全員、憲法第98条と第99条違反です。

     

    今年1月31日、国連人権理事会作業部会(国連欧州本部 パレ・デ・ナシオン:ジュネーブ・スイス) 第4回UPR審査日本政府審査で、強制失踪条約選択議定書の批准を!と、日本政府は勧告され、7月10日、第53会期人権理事会で日本は回答しなければなりません。

     

    直ちに閣議決定せよ!

     

     

    強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約 条約本文

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    拉致被害者家族 北朝鮮向けラジオで呼びかけ「必ず助け出す」

     

    北朝鮮に拉致された被害者の家族が、韓国に逃れた脱北者が北朝鮮に向けて放送している短波ラジオの収録に臨み、拉致によって引き裂かれたそれぞれの肉親に向かって「必ず助け出すので絶対に諦めないでほしい」と呼びかけました。

    収録は、北朝鮮から韓国に逃れた脱北者が運営し北朝鮮に向けて毎日放送されている短波ラジオ「自由北朝鮮放送」の代表が来日したのにあわせて、都内で行われました。
    このうち、1977年、中学1年生の時に拉致された横田めぐみさんの弟で、拉致被害者の家族会代表の横田拓也さんは「めぐみちゃん、体を壊さず元気に暮らしていますか。とても長い間、北朝鮮で自由のない時間を強いてしまい申し訳ありません。私たちは、めぐみちゃんやほかの拉致被害者を全員取り戻すまで絶対に諦めません」と呼びかけました。
    また、双子の弟の哲也さんは両親のことに触れ、「おやじは3年前に天国に召されたけど、毎日、めぐみちゃんを救出することを考えていました。母は87歳になり転ぶことが増えてきたけど元気にしています。必ず助け出すので、母と再会することを諦めずとにかく健康でいて下さい」と語りかけました。
    拉致問題を巡っては、被害者の帰国を待つ家族の高齢化が進んでいて、岸田総理大臣は先月、日朝首脳会談を早期に実現させるため、自らが直轄するハイレベル協議を始めたいという考えを示しています。
    収録のあと横田拓也さんは「政府は被害者全員を取り戻すまでしっかりした外交を行い、日朝首脳会談を実現させてほしい。キム・ジョンウン総書記がすべての被害者を帰す決断をすることを願っています」と話しました。

     

     

     

     

    強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約  条約本文

    採択 2006年12月20日
    発効 2010年12月23日
    訳者 日本政府

    前文

    この条約の締約国は、諸国が国際連合憲章に基づき人権及び基本的自由の普遍的な尊重及び遵守を助長すべき義務を負っていることを考慮し、世界人権宣言に留意し、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、市民的及び政治的権利に関する国際規約並びに人権、人道法及び国際的な刑事法の分野における他の関連する国際文書を想起し、また、国際連合総会が千九百九十二年十二月十八日の国際連合総会決議第百三十三号(第四十七回会期)において採択した強制失踪からのすべての者の保護に関する宣言を想起し、強制失踪が極度の重大性を有するものであって、それが犯罪を構成し、及び国際法に定める特定の場合には人道に対する犯罪を構成することを認識し、強制失踪を防止すること及び強制失踪犯罪について処罰を免れることがないように取り組むことを決意し、すべての者が強制失踪の対象とされない権利を有すること並びに被害者が司法手続及び賠償についての権利を有することを考慮し、被害者が強制失踪の状況及び失踪者の消息についての真実を知る権利を有すること並びにこのために情報を求め、受け、及び伝える自由についての権利を有することを確認して、次のとおり協定した。
     

    第一部

    第一条

    1. いずれの者も、強制失踪の対象とされない。

       

    2. 戦争状態、戦争の脅威、内政の不安定その他公の緊急事態あるか否かにかかわらず、いかなる例外的な事態も強制失踪を正当化する根拠として援用することはできない。

    第二条

    この条約の適用上、「強制失踪」とは、国の機関又は国の許可、支援若しくは黙認を得て行動する個人若しくは集団が、逮捕、拘禁、拉致その他のあらゆる形態の自由のはく奪を行う行為であって、その自由のはく奪を認めず、又はそれによる失踪者の消息若しくは所在を隠蔽することを伴い、かつ、当該失踪者を法律の保護の外に置くものをいう。

     

    第三条

    締約国は、国の許可、支援又は黙認を得ることなく行動する個人又は集団が行った前条に規定する行為を調査し、かつ、それらについて責任を有する者を裁判に付するために適当な措置をとる。

     

    第四条

    締約国は、強制失踪が自国の刑事法上の犯罪を構成することを確保するために必要な措置をとる。

     

    第五条

    強制失踪の広範又は組織的な実行は、適用可能な国際法に定める人道に対する犯罪を構成し、及び当該適用可能な国際法の定めるところにより決せられた結論を引き受けなければならない。

     

    第六条

    1. 締約国は、少なくとも次の(a)及び(b)に掲げる者に刑事上の責任を負わせるために必要な措置をとる。
      • (a)強制失踪を実行した者、強制失踪の実行を命じ、教唆し、勧誘し、若しくは試みた者又は強制失踪に加担し、若しくは参加した者
      • (b) 上官であって次のすべての条件を満たすもの
        • (i)自己の実質的な権限及び管理の下にある部下が強制失踪犯罪を行っており、若しくは行おうとしていることを知っており、又はこれらのことを明らかに示す情報を意識的に無視したこと。
        • (ii)強制失踪犯罪に関係する活動について実質的な責任を有し、及び管理を行ったこと。
        • (iii)強制失踪の実行を防止し、若しくは抑止し、又は捜査及び訴追のために事案を権限のある当局に付託するため、自己の権限の範囲内ですべての必要かつ合理的な措置をとることをしなかったこと。
      • (c) (b)の規定は、軍の指揮官又は実質的に軍の指揮官として行動する者に対して関連する国際法の下で適用される責任の一層高い基準の適用を妨げるものではない。
    2. 公的機関、文民、軍人その他の者によるいかなる命令又は指示も、強制失踪犯罪を正当化する根拠として援用することはできない。

     

    第七条

    1. 締約国は、強制失踪犯罪について、その極度の重大性を考慮した適当な刑罰を科することができるようにする。

       

    2. 締約国は、
      • (a) 刑を減軽する情状を定めることができるものとし、特に、強制失踪の実行に関係した者が、失踪者の生還に効果的に貢献し、又は強制失踪に係る事件を明らかにすること若しくは強制失踪の加害者を特定することを可能とした場合には、これを刑を減軽する情状とすることができる。
      • (b) 他の刑事手続に影響を及ぼすことなく刑を加重する情状を定めることができるものとし、特に、失踪者が死亡した場合又は妊婦、未成年者、障害者その他の特に弱い立場にある者を対象として強制失踪を実行した場合には、これを刑を加重する情状とすることができる。

     

    第八条

    1. 強制失踪について出訴期限を適用する締約国は、第五条の規定の適用を妨げることなく、刑事手続の時効期間に関して次のことを確保するために必要な措置をとる。
      • (a)長期間にわたるものであり、かつ、この犯罪の極度の重大性と均衡のとれたものであること。
      • (b)強制失踪犯罪の継続的な性質を考慮しつつ、その犯罪行為が終わった時から起算すること。
    2. 締約国は、第五条の規定の適用を妨げることなく、強制失踪の被害者が時効期間内において効果的な救済措置についての権利を有することを保障する。

     

    第九条

    1. 締約国は、次の場合において強制失踪犯罪についての裁判権を行使する自国の権限を設定するために必要な措置をとる。
      • (a) 当該犯罪が自国の管轄の下にある領域内又は自国において登録された船舶内若しくは航空機内で行われる場合
      • (b) 容疑者が自国の国民である場合
      • (c) 失踪者が自国の国民であり、かつ、自国が適当と認める場合
    2. 締約国は、容疑者が自国の管轄の下にある領域内に所在する場合において、他の国に対して自国の国際的な義務に基づく当該容疑者についての犯罪人引渡しを行わず、かつ、自国が管轄権を認めている国際刑事法廷に対して当該容疑者の引渡しを行わないときは、1の規定と同様に、強制失踪犯罪についての裁判権を行使する自国の権限を設定するために必要な措置をとる。

       

    3. この条約は、国内法に従って行使される追加的な刑事裁判権を排除するものではない。

     

    第十条

    1. 強制失踪犯罪の容疑者が領域内に所在する締約国は、自国が入手することのできる情報を検討した後、状況によって正当であると認める場合には、当該容疑者の所在を確実にするために必要な抑留その他の法的措置をとる。これらの措置は、当該締約国の法令に定めるところによるものとし、刑事訴訟手続又は犯罪人引渡し若しくは引渡しの手続において当該容疑者の所在を確実にしておくことが必要な期間に限って維持することができる。

       

    2. 1に規定する措置をとった締約国は、事実を認定するために予備調査又は捜査を直ちに行う。当該締約国は、前条1に規定する締約国に対し、1の規定に基づいてとった措置(容疑者の抑留及びその抑留が正当とされる状況を含む。)及び予備調査又は捜査の結果を通報するものとし、また、自国が裁判権を行使する意図の有無を明らかにする。

       

    3. 1の規定に基づいて抑留された者は、その国籍国の最寄りの適当な代表と又は当該者が無国籍者である場合には当該者が通常居住している国の代表と直ちに連絡を取ることができる。

     

    第十一条

    1. 強制失踪犯罪の容疑者が自国の管轄の下にある領域内で発見された締約国は、他の国に対して自国の国際的な義務に基づく当該容疑者についての犯罪人引渡しを行わず、かつ、自国が管轄権を認めている国際刑事法廷に対して当該容疑者の引渡しを行わない場合には、訴追のため自国の権限のある当局に事件を付託する。

       

    2. 1に規定する当局は、自国の法令の下での通常の重大な性質を有する犯罪の場合と同様の方法により決定を行う。第九条2に規定する場合における訴追及び有罪判決に必要な証拠の基準は、同条1に規定する場合において適用される基準よりも緩やかなものであってはならない。

       

    3. 自己に対して強制失踪犯罪に関する訴訟手続がとられている者は、当該訴訟手続のすべての段階において公正な取扱いを保障される。強制失踪犯罪について裁判を受ける者は、法律で設置された、権限のある、独立の、かつ、公平な裁判所において公正な裁判を受ける。

     

    第十二条

    1. 締約国は、ある者が強制失踪の対象とされたと訴える個人がその事実を権限のある当局に報告する権利を有することを確保する。当該当局は、申立てを迅速かつ公平に検討し、及び必要な場合には十分かつ公平な調査を遅滞なく行う。必要な場合には、申立てを行った者、証人、失踪者の親族及びその弁護人並びに調査に参加する者を当該申立て又は証拠の提供の結果生ずるすべての不当な取扱い又は脅迫から保護することを確保するために適当な措置をとる。

       

    2. ある者が強制失踪の対象とされたと信ずるに足りる合理的な理由がある場合には、1に規定する当局は、正式な申立てがなされていないときであっても、調査を行う。 
       
    3. 締約国は、1に規定する当局について次のことを確保する。
      • (a) 調査を実効的に行うために必要な権限及び財源(調査に関連する文書その他の情報を入手する機会を有するためのものを含む。)を有していること。
      • (b) 拘禁されている場所その他失踪者が所在していると信ずるに足りる合理的な理由のある場所への立入りが認められていること。司法当局の事前の許可が必要とされる場合には、当該司法当局は、速やかにその事案についての決定を行う。        
    4. 締約国は、調査の実施を妨げる行為を防止し、及びこれについて制裁を科するために必要な措置をとる。締約国は、特に、強制失踪犯罪の容疑者が、申立てを行った者、証人、失踪者の親族若しくはその弁護人又は調査に参加する者に対する圧力又は脅迫行為若しくは復仇行為という手段によって調査の進展に影響を及ぼすことがないことを確保する。 

    第十三条

    1. 強制失踪犯罪は、締約国間における犯罪人引渡しに関しては、政治犯罪、政治犯罪に関連する犯罪又は政治的な動機による犯罪とみなしてはならない。このため、政治犯罪、政治犯罪に関連する犯罪又は政治的な動機による犯罪に関係することのみを理由として犯罪人引渡しの請求を拒否することはできない。

       

    2. 強制失踪犯罪は、この条約が効力を生ずる前に締約国間に存在するすべての犯罪人引渡条約において引渡犯罪とみなす。

       

    3. 締約国は、締約国間で後に締結する犯罪人引渡条約において強制失踪犯罪を引渡犯罪として含めることを約束する。

       

    4. 条約の存在を犯罪人引渡しの条件とする締約国は、自国との間に犯罪人引渡条約を締結していない他の締約国から犯罪人引渡しの請求を受けた場合には、この条約を強制失踪犯罪についての犯罪人引渡しに必要な法的根拠とみなすことができる。

       

    5. 条約の存在を犯罪人引渡しの条件としない締約国は、相互間で強制失踪犯罪を引渡犯罪と認める。

       

    6. 犯罪人引渡しは、すべての場合において、請求を受けた締約国の法令に定める条件又は適用可能な犯罪人引渡条約に定める条件に従う。これらの条件には、特に、犯罪人引渡しのために最低限度必要とされる刑罰に関する要件及び請求を受けた締約国が犯罪人引渡しを拒否することができ、又は一定の条件に従って行うことができる理由に関する条件を含む。

       

    7. この条約のいかなる規定も、犯罪人引渡しの請求を受けた締約国が、当該請求が性別、人種、宗教、国籍、民族的出身、政治的意見若しくは特定の社会的集団の構成員であることを理由として当該請求の対象となる者を訴追し、若しくは処罰するために行われたと信じ、又は当該請求に応ずることにより当該者がこれらの理由によって害されると信ずるに足りる実質的な根拠がある場合には、引渡しを行う義務を課するものと解してはならない。

     

    第十四条

    1. 締約国は、強制失踪犯罪についてとられる刑事訴訟手続に関し、最大限の法律上の援助(当該刑事訴訟手続に必要であり、かつ、自国が提供することのできるすべての証拠の提供を含む。)を相互に与える。

       

    2. 1に規定する法律上の相互援助は、請求を受けた締約国の国内法令に定める条件又は法律上の相互援助に関する適用可能な条約に定める条件に従う。これらの条件には、特に、請求を受けた締約国が法律上の相互援助の供与を拒否することができ、又は条件に従って行うことができる理由に関する条件を含む。

     

    第十五条

    締約国は、強制失踪の被害者を援助するため、失踪者を捜索し、発見し、及び解放し、並びに失踪者が死亡した場合には、その遺体を発掘し、特定し、及び返還するに当たり、相互に協力し、かつ、最大限の援助を与える。

     

    第十六条

    1. 締約国は、ある者が強制失踪の対象とされるおそれがあると信ずるに足りる実質的な理由がある他の国へ当該者を追放し、若しくは送還し、又は当該者について犯罪人引渡しを行ってはならない。

       

    2. 権限のある当局は、1に規定する理由の有無を決定するに当たり、すべての関連する事情(該当する場合には、重大、明らか若しくは大規模な人権侵害又は国際人道法の著しい違反についての一貫した傾向が関係する国において存在することを含む。)を考慮する。

     

    第十七条

    1. いずれの者も、秘密拘禁の状態に置かれない。

       

    2. 締約国は、自由のはく奪に関して自国が負う他の国際的な義務に影響を及ぼすことなく、自国の法令において次のことを行う。
      • (a) 自由のはく奪を命ずるための条件を定めること。
      • (b) 自由のはく奪を命ずることが認められた当局を明示すること。
      • (c) 自由をはく奪された者が、公認され、及び監督された拘禁施設においてのみ拘禁されることを保障すること。
      • (d) 自由をはく奪された者が、法令に定める条件にのみ従うことを条件として、家族、弁護人その他の自己が選択した者と連絡を取り、及びその訪問を受け、又は当該自由をはく奪された者が外国人である場合には、適用可能な国際法に従い、当該自由をはく奪された者の国の領事当局と連絡を取ることが認められることを保障すること。
      • (e) 権限のある、かつ、法律上認められた当局及び機関が、必要な場合には司法当局による事前の許可を得て、自由をはく奪された者が拘禁されている施設に立ち入ることができることを保障すること。
      • (f) 裁判所が自由のはく奪の合法性について遅滞なく決定し、当該自由のはく奪が合法的でない場合には解放を命ずることができるようにするため、自由をはく奪された者又は強制失踪の疑いがある場合には自由をはく奪された者がその権利を行使することができないので正当な利益を有する者(例えば、自由をはく奪された者の親族又はその代理人若しくは弁護人)が、あらゆる事態において、裁判所において手続をとる権利を有することを保障すること。
    3. 締約国は、自由をはく奪された者に関する一又は二以上の最新の公的な登録簿又は記録を取りまとめ、及び保管することを確保する。当該登録簿又は記録については、当該締約国の法令又は当該締約国が当事国である関連する国際的な法的文書により認められた司法当局その他の権限のある当局又は機関が、それらの要請により、速やかに利用することができるようにする。当該登録簿又は記録に含まれる情報には、少なくとも次に掲げる事項を含める。
      • (a)自由をはく奪された者を特定する事項
      • (b)その者が自由をはく奪された日時及び場所並びにその者の自由をはく奪した当局を特定する事項
      • (c)自由のはく奪を命じた当局及び自由のはく奪を命じた理由
      • (d)自由のはく奪を監督することについて責任を有する当局
      • (e)拘禁施設の場所、拘禁施設へ収容した日時及び当該拘禁施設について責任を有する当局
      • (f)自由をはく奪された者の健康状態に関する事項
      • (g)自由をはく奪されている間に死亡した場合には、その状況及び死因並びに遺体の搬送先
      • (h)解放した日時又は他の拘禁施設へ移送した日時、その移送先及びその移送について責任を有する当局

     

    第十八条

    1. 締約国は、次条及び第二十条の規定に従うことを条件として、正当な利益を有する者(例えば、自由をはく奪された者の親族又はその代理人若しくは弁護人)に対して少なくとも次に掲げる情報を入手する機会を保障する。
      • (a)自由のはく奪を命じた当局
      • (b)その者が自由をはく奪された日時及び場所並びに拘禁施設へ収容された日時及び当該拘禁施設の場所
      • (c)自由のはく奪を監督することについて責任を有する当局
      • (d)自由をはく奪された者の所在(他の拘禁施設へ移送された場合には、その移送先及びその移送について責任を有する当局を含む。)
      • (e)解放した日時及び場所
      • (f)自由をはく奪された者の健康状態に関する事項
      • (g)自由をはく奪されている間に死亡した場合には、その状況及び死因並びに遺体の搬送先
    2. 1に規定する者及び調査に参加する者については、必要な場合には、自由をはく奪された者に関する情報を求めた結果として生ずる不当な取扱い、脅迫又は制裁から保護するために適当な措置がとられなければならない。

     

    第十九条

    1. 失踪者の捜索の枠組みにおいて収集され、又は伝達された個人情報(医療上及び遺伝上の情報を含む。)については、当該失踪者の捜索以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。このことは、強制失踪犯罪に関する刑事手続における当該情報の利用又は賠償を受ける権利の行使を妨げるものではない。
       
    2. 個人情報(医療上及び遺伝上の情報を含む。)の収集、処理、利用及び保管は、個人の人権若しくは基本的自由又は人間の尊厳を侵害してはならず、又は侵害する効果を有してはならない。

     

    第二十条

    1. 自由をはく奪された者が法律の保護の下に置かれ、かつ、当該者についての自由のはく奪が司法による監督を受けている場合に限り、適用可能な国際法及びこの条約の目的に適合する範囲において、例外的に、第十八条に規定する情報についての権利を制限することができる。ただし、当該権利の制限が、真に必要であり、かつ、法令によって規定されている場合であって、当該情報の伝達が当該者のプライバシー若しくは安全に悪影響を及ぼし、若しくは刑事捜査の妨げとなり、又は法令に基づく他の同等の理由があるときに限る。いかなる場合にも、同条に規定する情報についての権利の制限が第二条に定める行為を構成し、又は第十七条1の規定に違反し得るときは、当該制限を行ってはならない。
       
    2. 締約国は、個人の自由のはく奪の合法性についての考慮を妨げることなく、第十八条1に規定する者に対し、同条1に規定する情報を遅滞なく入手するための手段として、迅速かつ効果的な司法上の救済措置についての権利を保障する。この救済措置についての権利は、いかなる事態においても、停止され、又は制限されてはならない。

     

    第二十一条

    締約国は、自由をはく奪された者について、当該者が実際に解放されたことが確実に確認し得る方法によって解放されることを確保するために必要な措置をとる。また、締約国は、国内法令に基づいてそれらの者が課され得るいかなる義務にも影響を及ぼすことなく、当該者の身体が健全であること及び解放された時に自己の権利を十分に行使する能力があることを保障するために必要な措置をとる。

     

    第二十二条

    締約国は、第六条の規定の適用を妨げることなく、次の行為を防止し、及びこれについて制裁を科するために必要な措置をとる。

    • (a) 第十七条2(f)及び第二十条2に規定する救済措置を遅延させ、又は妨害すること。
    • (b) いずれかの者についての自由のはく奪を記録しないこと又は公的な登録簿について責任を有する職員が不正確であると知っていた若しくは知っているべきであった情報を記録すること。
    • (c) いずれかの者についての自由のはく奪に関する情報を提供するための法的要件を満たしているにもかかわらず、当該情報の提供を拒否すること又は不正確な情報を提供すること。

     

    第二十三条

    1. 締約国は、次の目的のため、この条約の関連する規定に関して必要な教育及び情報が、自由をはく奪された者の身体の拘束又は取扱いに関与する法執行の職員(文民であるか軍人であるかを問わない。)、医療職員、公務員その他の者に対する訓練に取り入れられることを確保する。
      • (a) これらの職員の強制失踪への関与を防止すること。
      • (b) 強制失踪に関して防止及び調査の重要性を強調すること。
      • (c) 強制失踪に係る事件を解決する緊急の必要性が認識されていることを確保すること。
    2. 締約国は、命令又は指示であって、強制失踪を命じ、許可し、又は奨励するものが禁止されていることを確保する。締約国は、そのような命令に従うことを拒否した者が処罰されないことを保障する。
       
    3. 締約国は、1に規定する者であって、強制失踪が実行された又は計画されていると信ずるに足りる理由を有するものが、その上官及び必要な場合には検討又は救済措置に関する権限を与えられた適当な当局又は機関に対し、その事案を報告することを確保するために必要な措置をとる。

     

    第二十四条

    1. この条約の適用上、「被害者」とは、失踪者及び強制失踪の直接の結果として被害を受けた個人をいう。
       
    2. 被害者は、強制失踪の状況に関する真実、調査の進展及び結果並びに失踪者の消息を知る権利を有する。締約国は、この点に関して適当な措置をとる。
       
    3. 締約国は、失踪者を捜索し、発見し、及び解放し、並びに失踪者が死亡した場合には、その遺体を発見し、尊重し、及び返還するため、すべての適当な措置をとる。
       
    4. 締約国は、強制失踪の被害者が被害回復を受ける権利及び迅速、公正かつ適正な賠償を受ける権利を有することを自国の法制において確保する。
       
    5. 4に規定する被害回復を受ける権利は、物的及び精神的な損害を対象とし、適当な場合にはその他の形態の被害回復(例えば次に掲げるもの)について適用する。
      • (a) 原状回復
      • (b) リハビリテーションの提供
      • (c) 救済(尊厳及び信用の回復を含む。)
      • (d) 再発防止の保証
    6. 締約国は、失踪者の消息が明らかになるまでの間調査を継続する義務に影響を及ぼすことなく、消息が明らかでない失踪者及びその親族の社会保障、財政事項、親族法、財産権等の分野における法的地位に関し、適当な措置をとる。
       
    7. 締約国は、強制失踪の状況及び失踪者の消息を確認し、並びに強制失踪の被害者を援助することを目的とする組織及び団体を設立し、並びにこれに自由に参加する権利を保障する。

     

    第二十五条

    1. 締約国は、次のことを防止し、及び自国の刑事法に基づいて処罰するために必要な措置をとる。
      • (a) 強制失踪の対象とされた児童、父母若しくは法定保護者が強制失踪の対象とされた児童又は強制失踪の対象とされた母が拘禁されている間に生まれた児童を不当に移動させること。
      • (b) (a)に規定する児童の真正な身元関係事項を証明する文書を偽造し、隠匿し、又は廃棄すること。
    2. 締約国は、法的手続及び適用可能な国際協定に従い、1(a)に規定する児童を捜索し、及び特定し、並びにそれらの児童を本来の家族に戻すために必要な措置をとる。
       
    3. 締約国は、1(a)に規定する児童を捜索し、特定し、及び発見するに当たり、相互に援助する。
       
    4. 1(a)に規定する児童の最善の利益を保護する必要性並びに当該児童が法令によって認められた国籍、氏名及び家族関係を含むその身元関係事項を保持し、又は回復する権利を保護する必要性を考慮し、児童の養子縁組の制度その他児童の委託の制度を認める締約国は、養子縁組又は委託の手続を再検討するための、及び適当な場合には、強制失踪に起因する児童の養子縁組又は委託を無効とするための法的手続を有するものとする。
       
    5. すべての場合において、特にこの条に関連する事項については、児童の最善の利益が主として考慮されるものとし、自己の意見を形成する能力のある児童は、自由に自己の意見を表明する権利を有する。この場合において、児童の意見は、当該児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。

     

     

     

    第 28 条

    1 委員会は、この条約により与えられた権限の枠組みにおいて、国際連合のすべての関連する内部機関、事務所、専門機関及び基金、国際文書により設立された条約体、国際連合の特別手続、関連する地域的な政府間機関又は団体並びに強制失踪からすべての者を保護するために活動するすべての関連する国家機関又は国の団体若しくは事務所と協力する。

    2 委員会は、その任務を遂行するに当たり、人権についての関連する国際文書によって設立された他の条約体、特に市民的及び政治的権利に関する国際規約によって設立された人権委員会との間で、それぞれの見解及び勧告の整合性を確保するために協議する。

     

    第 29 条

    1 締約国は、自国がこの条約に基づく義務を履行するためにとった措置に関する報告を、この条約が自国について効力を生じた後二年以内に国際連合事務総長を通じて委員会に提出する。

    2 国際連合事務総長は、1に規定する報告をすべての締約国が入手することができるようにする。

    3 委員会は、1に規定する報告を検討するものとし、適当と認める意見、見解又は勧告を提示する。これらの意見、見解又は勧告は、関係締約国に送付されるものとし、関係締約国は、自己の発意により又は委員会の要請により、当該意見、見解又は勧告に応ずることができる。

    4 委員会は、締約国に対し、この条約の実施に関する追加的な情報の提供を要請することができる。

     

    第 30 条

    1 失踪者を捜索し、及び発見すべきであるとの要請については、緊急に処理を要する事項として、失踪者の親族、その法律上の代理人若しくは弁護人又はそれらの者により認められた者及び正当な利益を有するその他の者が委員会に提出することができる。

    2 委員会は、1の規定に基づいて提出された緊急の措置の要請が次のことを満たしていると認める場合には、関係締約国に対し、捜索の対象となる者の状況に関する情報を委員会が定める期限内に提供するよう要請する。

    (a) 明白に根拠を欠いているものではないこと。

    (b) そのような要請を提出する権利の濫用とならないこと。

    (c) 関係締約国の権限のある機関(例えば、捜査が行われる可能性がある場合においては、捜査を行うことが認められている機関)に既に正当に提出されていること。

    (d) この条約の規定と両立しないものでないこと。

    (e) 同一の事案が同様の性質を有する他の国際的な調査又は解決の手続によって検討されていないこと。

    3 委員会は、2の規定に従って関係締約国から提供された情報に照らし、当該関係締約国 に対する勧告(当該関係締約国がこの条約に従ってその者を発見し、及び保護するために並びに事態の緊急性を考慮に入れてとった措置を特定の期間内に委員会に報告するために必要なすべての措置(暫定的な措置を含む。)をとるべきであることを求める要請を含む。)を送付することができる。委員会は、緊急の措置の要請を提出した者に対し、勧告及び当該関係締約国により提供された情報を、それを入手することのできた際に通知する。

    4 委員会は、捜索の対象となる者の消息が判明しない限り、関係締約国と共に活動する努 力を継続する。要請を提出した者は、引き続き情報を知らされる。

     

    第 31 条

    1 締約国は、自国の管轄の下にある個人であって、自国によるこの条約の規定に対する違反の被害者であると主張するものにより又はその者のために行われる通報を、委員会が受理し、及び検討する権限を有することを認める宣言をこの条約の批准の時又はその後いつでも行うことができる。委員会は、宣言を行っていない締約国についての通報を受理してはならない。

    2 委員会は、次の場合には、通報を受理することができないものとする。

    (a) 当該通報が匿名の場合

    (b) 当該通報がそのような通報を行う権利の濫用であるか又はこの条約の規定と両立 しない場合

    (c) 同一の事案が同様の性質を有する他の国際的な調査又は解決の手続によって現在検討されている場合

    (d) 効果的で、かつ、利用し得るすべての国内的な救済措置が尽くされていない場合。 ただし、救済措置の実施が不当に遅延するときは、この限りでない。

    3 委員会は、通報が2に規定する要件を満たすと認める場合には、当該通報を関係締約国に送付し、当該関係締約国に対して委員会が定める期限内に見解及び意見を提出するよう求める。

    4 委員会は、通報を受領してから本案についての決定を行うまでの間はいつでも、当該通報に係る違反の被害者が回復不能な損害を受ける可能性を回避するため、関係締約国が必要な暫定措置をとるよう求める要請を当該関係締約国による緊急の検討のために送付することができる。委員会がこのような裁量権を行使することは、受理許容性の決定又は通報に関する本案の決定を意味するものではない。

    5 委員会は、この条の規定に基づいて通報を検討する場合には、非公開の会合を開催する。委員会は、通報を行った者に対し、関係締約国が提出した回答を通知する。委員会は、手続の終了を決定した場合には、その見解を当該締約国及び当該通報を行った者に送付する。