刑事訴訟法:告発については、
刑事訴訟法第239条第2項により、
「官吏または公吏は、そ の職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならな い」
と定められている。
かんり【官吏】 旧制度下での役人。特に、国務にたずさわり国家に対して忠実・無定量の勤務をする公法上の義務を負う者。
: 国家公務員のこと。役人。
こうり【公吏】 地方公共団体の職員の旧称。地方公務員。
公務員の告発義務
公務員は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければなりません(刑事訴訟法239条2項)。
公務員が告発を行うべきか否かは、
①犯罪の重大性
②犯罪があると思料することの相当性
③今後の行政運営に与える影響
等の諸点を総合的かつ慎重に検討して判断するものとされています。
②犯罪があると思料することの相当性:
犯罪があると思料することの相当性の調査が不十分であると、国家賠償法上違法と判断される可能性があります(岐阜地裁平成24年2月1日判タ1375号106頁参照)。
そのため、後々問題にならないようにするためには、客観証拠に基づき、犯罪があるかどうかを十分に調査する必要があります。
告発が義務である以上、裁量により告発しなくても良いということにはなりません。
告発しないことが許容される場合?
『告発をしなくても良いとする見解
①行政目的の適正・円滑な達成のために設けられている行政的な取締罰則に基づいて告発をしたためにかえって当該行政目的の達成が阻害されるような場合 ②告発を行うことが、当該公務員の属する行政機関にとって、行政目的の達成(又は行政運営)に極めて重大な支障を生じ、そのためにもたらされる不利益が告発をしないで当該犯罪が訴追されないことによって生じる不利益より大であると認められるような場合 ③告発により地方公共団体の重大な利益を害する場合 』