岸田首相のサミット前訪韓は米国の指示
 

米・韓・日3角軍事同盟は東アジアの脅威
米国の指令で対中国侵略戦争体制への暴走

 

朝日新聞は

「再び戦争の惨禍」に加担
 

 「メディア改革」連載第126回
 浅野健一(アカデミックジャーナリスト)


◎ 日本の報道各社は「覇権主義的な動きを強める中国や弾道ミサイル
の発射を繰り返す北朝鮮」(10日のNHK午前7時のニュース)という
フレーズで、中朝の「脅威」を強調するが、東アジアにおける最大の脅
威は、世界の軍事費の39%を使い、最大の「核とミサイル」を保有し、
世界各地で侵略戦争を繰り返してきた米国ではないか。

 米国は、事実上、ウクライナ戦争の継続と、対中戦争、第二次朝鮮
争を狙った「拡大抑止戦略」を進めている。
 米国は4月に尹錫悦大統領を国賓として招き、韓国への「核の傘」
提供を軸とする「核協議グループ」設置で合意した「ワシントン宣言」
を発表した。

◎ 5月19日から21日まで開催される先進7カ国首脳会議(G7広
サミット)を前に、アフリカ4カ国歴訪を終えたばかりの岸田氏は韓国
を訪問した。キシャクラブメディアの報道は訪韓の成果を讃えた。

 <首相は7日に就任後初めて訪韓。3月の尹大統領の来日に続き、
脳同士の相互訪問「シャトル外交」を本格的に再開した。サミットを控
え、冷え込みが続いた日韓関係の改善を国際社会にアピールした>
              (8日の共同通信、田尻良太記者)
 ソウル入りの5日前に発表された突然の訪韓は、米政権の要請(命
令)があったからだろう。韓国は建国そのものが米国の工作だった
日本も、米国が朝鮮戦争を起こすために岸信介らA級戦犯被疑者を釈放
して、日本の再武装を進めて反共の砦としてきた国だ。日韓は軍事・外
交分野では米国の統制下にあり、事実上の植民地になっている。

 岸田、ユン両氏は7日、首脳会談後に共同記者会見した。岸田氏は
見で、「北朝鮮の挑発行為が続き、力による一方的な現状変更の試みも
みられる中、日米同盟、韓米同盟、日韓そして日韓米の安全保障協力に
より抑止力と対処力を強化することで改めて一致した」と述べた。

◎ 日本は40年にわたる韓国に対する侵略・強制占領を真摯に反省・個人補償もせず、朝鮮には何も過去清算をしていない。米国に命じられて米韓日軍事同盟に突き進む両首脳はアジアの敵になった。
 岸田氏は強制動員問題で、「私自身、当時の厳しい環境の下で多数
方々が大変苦しい、悲しい思いをされたことに心が痛む思いだ」と
語った。尹氏は「歴史問題が完全に整理できなければ未来の協力へ一歩
も進めないという認識から脱却しなければいけない」と表明した。

 私的な心情の吐露は真摯な謝罪と反省の表明ではない。安倍晋三氏
2015年12月、日韓が元日本軍慰安婦問題の「最終的解決」で合意した
際、当時の朴槿恵大統領との電話会談で「元慰安婦の方々の筆舌に尽く
し難い苦しみを思うと心が痛む」と述べたのを踏襲しただけだ。

◎ 朝日新聞は8日の社説で今回の訪韓を「賢明な判断」と断じ、岸田
氏の「心が痛む」発言を「(強制動員被害者の)原告らをねぎらった」
とし、「首相自らの言葉で思いを伝えたことは評価できる」と論じた。
 日経新聞も社説で、「様々な協力を積み重ねながら相互不信を解消
きれば望ましい」と述べた。

 ソウルでの共同記者会見は7日午後6時から31分行われたが、NHK
を含めテレビ各局の中継はなかった。ネットの「日テレNEWS LI
VE」で中継しただけだった。NHKは午後7時のニュースで報じただ
けだった。官邸のHPに動画がアップされているが、両首脳の冒頭発言
だけで、会見の文字記録も質疑応答部分はない。

◎ 同志社大学の元留学生でソウル在住の李其珍氏(漫画制作会社総括
理事)は「日韓首脳会談の記事は読む気もしない。尹氏が大統領に当選
してから韓国の政治にもう絶望している。尹政権の強制徴用解決法には
びっくりした。もうここまでやるのか、と言う言葉しか出なかった
哲学のない、知性に欠けた政権だ。韓国は今、人民を見下して自分の権
力に酔った検事権力に囚われている」と話した。

 NHKは9日午前7時のニュースで、G7広島サミットが10日後に開
幕するとして、政府は核軍縮などを主要な議題として扱うと報道した。
メディアは衰退する米欧日7カ国が世界をリードしているという幻想、
錯覚をまきちらすだろう

◎ 私はサミット2日目の20日午後6時半から広島弁護士会館で、元
志社大学ゼミ生の小山美砂・元毎日新聞記者と共に、緊急学習会「
ミット報道の大問題」を開催する。<G7サミット“大本営発表”報道
の犯罪―戦争を止める権力監視のジャーナリズム >がテーマだ。

http://blog.livedoor.jp/asano_kenichi/archives/32244876.html
広島近郊のみなさんに、ぜひ参加してほしい。