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2023-05-05 04:20 修正:2023-05-05 08:08

尹大統領に票を集中させた30代が離反…「公正さ見えない」75%

 

 昨年の大統領選挙で「60~70代」と共に尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に高い支持を集中させた「20~30代」が、尹大統領の就任からわずか1年で大きく離反していることが分かった。

 文在寅(ムン・ジェイン)政権後半の進歩・改革勢力に対する失望から尹大統領を支持した青年層が、期待した議題設定能力が尹錫悦政権初期に見出せないことから、早々に支持をやめたと分析される。

 ハンギョレが世論調査専門機関「グローバルリサーチ」に依頼し、4月29~30日にかけて全国の成人男女1011人に対して調査を実施したところ、尹大統領の国政運営を「支持しない」とした人の割合は、野党「共に民主党」の中心支持層である40代(74.7%)に次いで30代(70.6%)が最も高かった。

 30代は昨年3月の大統領選挙で、地上波3社共同の出口調査で尹大統領に48.1%の票を集中させ、60~70代の高齢層を除くすべての年齢層の中で最も高い支持を示した世代だ。50代以下で尹大統領に対する支持が民主党のイ・ジェミョン代表(46.3%)より高かった唯一の世代でもある。

 

 

各年齢層の尹大統領の支持率。左は大統領選挙の出口調査。右は今回の調査の「支持する」、「どちらかと言えば支持する」//ハンギョレ新聞社

 

 無党派層の割合が最も高い世帯も30代だった。全体では無党派層の割合は25.8%だが、30代では39.7%にのぼる。今年1月のハンギョレの世論調査で27.4%だった30代の無党派層の割合が、12.3ポイントも上昇したのだ。1月の調査と比較すると、30代における与党「国民の力」の支持層(32.2%)は5.3ポイント下落の26.9%、民主党支持層(32.2%)は6.9ポイント下落の25.3%だった。

 

 30代は、文在寅政権前半期の2019年までは40代より文前大統領に対する支持率が高かったが、不動産が大きな問題となった2020年下半期から本格的に離反がはじまった。民主主義など政治問題に敏感な40~50代とは異なり、比較的経済問題に敏感な世代であると評価されている。

 

 とりわけ今回の調査では、30代は尹錫悦政権の公正さについて、すべての年代の中で最も否定的に評価した。全体での否定的評価が61.8%であるのに対し、30代の否定的評価は75.1%にのぼる。中央大学社会学科のシン・ジヌク教授は「2021年の再・補欠選挙から大統領選挙までの1年あまりの時期に不動産問題で民主党に失望して保守に投票した人々が、民主党に対する信頼を回復できないまま尹錫悦政権に対する支持も早々に取り下げたと考えられる」とし、「特に国民の力のクァク・サンド前議員の『息子の50億ウォンの退職金』での無罪判決など、経済的公正問題に敏感に反応した可能性が高い」と指摘した。

 

 前回の大統領選挙で、高齢層を除けば30代の次に尹大統領に多くの支持(45.5%、放送局の出口調査による)を寄せた20代が、現在の尹大統領の国政運営に対する評価が最も否定的なことも目につく。尹大統領の国政運営に対する肯定評価は、回答者全体では36.1%だったのに比べ、20代では20.2%のみ。20~30代の全般的な離反がみられる。

 

 建国大学常虚教養学部のイ・グァンフ教授は、「20~30代は公正問題に敏感だが、現政権の成立後は政策的に『公正』が執行されてはおらず、むしろ尹大統領の発言をみれば公正ではなく60~70代の言語である『自由』が話題になっている」とし、「そのような部分で青年層の離反があったものとみられる」と語った。

オム・ジウォン、ソ・ヨンジ記者

 

 

 

韓国国民の6割「韓国の民主主義、1年間で退歩」

登録:2023-05-05 06:23 修正:2023-05-05 07:39

[創刊企画]尹錫悦政権の1年 
(1)民主主義の退行

 

尹錫悦大統領が2日午後、ソウル龍山大統領室庁舎前の野外庭園である「ファイングラス」でキム・ギヒョン代表とユン・ジェオク院内代表など与党幹部たちとの夕食会の前に会話を交わしている/聯合ニュース

 

 韓国国民の10人のうち6人は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が発足してからこの1年間で韓国社会の民主主義が「良くない方向に向かっている」と認識していることが分かった。尹大統領が野党や市民社会など批判勢力と十分意思疎通を図らず、独断的に国政運営をしているという意見が反映された結果といえる。

 

 ハンギョレが世論調査専門機関のグローバルリサーチに依頼し、先月29日から2日間、全国の成人1011人を対象に電話面接方式で調査した結果(信頼水準95%、標本誤差±3.1ポイント)、「この1年間の韓国社会の民主主義についてどう評価するか」という質問に対し、回答者の60.2%は「良くない方向に向かっている」と答えた。「良い方向に向かっている」という回答は38.5%だった。

 

 「民主主義に関する評価」の数値自体は、ハンギョレが1月に行った新年世論調査(否定的な意見58.3%、肯定的な意見 39.7%)、朴槿恵(パク・クネ)政権時代の2014年12月の世論調査(否定的な意見60.5%、肯定的な意見35.8%)とほぼ同じ水準だ。

 

 だが、調査結果を詳しく見てみると、否定的な見方がより強まったことが分かる。今回の調査で、民主主義が「非常に良くない方向に向かっている」という回答は32.4%、「あまり良くない方向に向かっている」は27.8%だった。「非常に良くない方向に向かっている」という回答は、4カ月前の調査(26.7%)より5.7ポイント、9年前の調査(14.0%)より18.4ポイント高い。

 

 朝鮮大学政治外交学科のチ・ビョングン教授は3日、ハンギョレに「例えば『週69時間』に代表される労働時間柔軟化政策、対日外交政策、対北朝鮮政策など、国政全般が国民の意見を反映しない『押し付け』方式で決まった。尹大統領のこのような一方主義、独断的国政運営が民主主義に対する認識に影響を及ぼしたものとみられる」と分析した。

 

 世代別に見ると、この1年間の韓国の民主主義を最も悲観的に捉えた集団は40代(74.1%)と50代(72.5%)だ。30代(63.8%)と20代(62.7%)も好意的ではない。一方、60代(54.7%)と70代以上(62.6%)の年齢層では肯定的な意見が否定的な意見(44.8%、36.3%)より多かった。支持政党別にも意見がくっきり分かれており、最大野党「共に民主党」の支持者のほとんど(89.9%)は民主主義が良くない方向に向かっていると答えた一方、与党「国民の力」の支持者の大多数(77.4%)は良い方向に向かっていると回答した。無党派層では否定的な意見が70.4%で、肯定的な意見(25.7%)をはるかに上回った。

 韓国社会の民主主義が退歩したという認識は「この1年間、反対勢力と話し合い包容しようとする尹政権の取り組み」に対する評価にも表れている。話し合いと包容に向けた取り組みが「うまくいっていなかった」という回答が69.4%に達した一方、「うまくいった」という回答は28.1%に止まった。民主党支持層では否定的な意見が93.6%で絶対多数であり、国民の力支持層でも33.9%が「うまくいっていなかった」と回答した。グローバルリサーチ関係者は「民主主義に対する評価は国政支持率のように陣営別に判断する傾向が強い一方、政治文化に対しては同じ陣営内でも統合に向けた取り組みの必要性が提起された」と解釈した。

 今回の調査の詳細については、中央選挙世論調査審議委員会ホームページを参照。