電源開発の設置許可変更申請書はデタラメだらけ
 データ入力を誤ったのに審査書を作成して提出
 大間原発の建設は断念すべき

 └──── 山崎 久隆zaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaazaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaazaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa(たんぽぽ舎共同代表)

 週刊金曜日の記事を紹介します。
 オリジナル記事は
https://news.yahoo.co.jp/articles/5284a73cabe896aad46b00d93617e21586e3b4ff?page=1
です。

 大間原発は青森県大間町に建設中のABWR(改良型沸騰水型軽水炉)で、
出力は138万キロワットです。現在日本で唯一、函館市が自治体として
大間原発の建設差し止め訴訟を起こして闘っています。
 この原発、震災前から建設中ですが、今も規制委の新規制基準適合
審査が終わっていません。原因の一つに、電源開発の設置許可申請書が
デタラメだらけで、まともに審査に耐える代物ではないことが指摘され
てきました。
 これについて新たな記事を週刊金曜日が4月2日に掲載しています
 その記事の要約を紹介します。
 詳しくは是非、原文の記事をご覧になってください。

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 大間の審査書でデータ入力を誤って審査書を作成し提出した電源開

 大飯原発は現在電源開発により建設中だが、土木工事は65%まで終え
た。建屋の建設や主要機器の設置・配管は4割弱にとどまっている
 原発そのものの建設・運転が初めてとなる電源開発は2014年12月、運転
に必要な「原子炉設置変更許可申請書」などを提出。
 電源開発の説明によると、建設中である大間原発の北にあるF-14断層の
上端の深さを3000メートルとすべきところを3メートルで計算していた。
 原因は、入力データシートの単位がキロメートルだったのに、計算
プログラムの単位がメートルになっていて、データを手入力する際
間違えたからという。
 電源開発は、地震動解析業務をA社に委託している。A社は、内陸地殻
内地震の解析業務をB社にさらに委託。そのB社が、「F-14断層による
地震」の解析などをC社に委託し、C社が入力を間違った。
 入力ミスの防止や発見をする機会は電源開発や各委託会社で計14
あったが、チェック機能は働かなかった。

「事実確認」は1年前

 22年2月7日のヒアリングで規制庁審査官から地震波形の不自然さに
ついて「事実確認」があったが、電源開発は「この程度のレベルならあり
得るだろうと思って結果の確認をしなかった」という。
 22年12月8日のヒアリングで同庁から再度、「事実確認」があったの
が、入力ミスが判明した発端だった。
 電源開発は今年1月6日、また別のD社に解析を依頼。
 1月13日にD社から「C社の計算結果とは差異が認められる」と報告
があり、1月16日になってようやく電源開発が入力ミスを見つけたという。
 「(規制庁の)コメントがありながら、自分たちでミスを見つけら
なかったのは極めて遺憾。(昨年の)2月7日に言われたのになぜ自分
たちでチェックしなかったのか」。
 今後、電源開発は地震動解析データ等について3月中旬までをめど
全数のチェックを進めるとしている。

電源開発の申請書はミスだらけ

 実は、同庁の審査で電源開発が犯してきたミスが判明したケースは多い。
14年に国と電源開発を訴えた大間原発建設差止等訴訟の原告函館市代理人
の只野靖弁護士によると、過去に次のミスがあったという。
1.18年10月26日判明。一部地層などの厚さを転記する際に写し間違えた。
2.19年4月5日判明。シーム(比較的厚い層にはさまれている異質の
 薄い層)の走行を示すときに90度ずれた図を示した。
3.21年6月11日判明。「地震」記載に対し、(1)根拠資料の参照箇所の
誤り、(2)根拠資料の元データの確認漏れ、(3)根拠資料との照合不足、
(4)数値の丸めに伴う表記ミスがあった。
4.22年4月22日判明。一部新しく削孔したボーリングの位置に関して図に
誤りがあった。
 只野弁護士らは3月1日に東京地裁であった同差止訴訟の口頭弁論で、
今回の入力ミスや過去のミスをふまえて準備書面を出した。
 繰り返される「過ち」により安全審査は遅れに遅れている。
 電源開発は原発から手を引くべきではないか。

 以上、週刊金曜日4月2日号
 『特報!電源開発、大間原発の地震動計算で断層の深さを誤入力
  原子力規制庁「極めて重大な事案」』より


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┗■2.2023 157J アピール 汚染水の海洋放出を強行してはならない
 | 「安全性優先原則(予防原則)」に照らせば環境に放出してはならない
 └──── 2023年4月6日 世界平和アピール七人委員会
           大石芳野 小沼通二 池内了 池辺晋一郎
           高村薫 島薗進 酒井啓子

◎ 東京電力福島第一原子力発電所(以下原発)の炉心崩壊事故によっ
核燃料が剥き出しとなり、今でも、そして今後も長期間にわたり絶えず
供給しなければならない冷却水に加えて、大量に地下水および雨水が原子
炉建屋に流入し続けている。その結果多量の放射能を含んだ汚染水が絶え
ず原発の敷地から発生し、現在までに約130万トン分が1000基以上のタンク
に回収されている。

◎ 東京電力は敷地内に保存するのは限界と訴え、それを受けて政府は
今年の春か夏にも沖合1kmの海洋に海底トンネルを通じて放出を開始
する計画を1月13日に正式に閣議決定した。
 政府と東京電力は2015年に「関係者の理解なしには、(汚染水の)いか
なる処分もしない」と文書で約束(註1)していて、いまだ理解は得られて
いないことは、無視されている。
 このような状況の下で現在海洋放出の工事が急ピッチで進められている。
この計画は、科学的・社会的なさまざまな問題を抱え、国際政治に
悪影響を及ぼすと懸念されている。

◎ 科学的見地から言えば、セシウムやストロンチウムなど62種類の放射
性物質をアルプス(註2)で基準以下になるまで取り除くとしているが、
これらがなくなるわけでなく、化学的に通常の水素と区別できないトリ
チウム(三重水素)は、放射性元素でありながら除去できない。

 そのためトリチウムを含んだ水を海水で薄めて海洋に投棄するという。
トリチウムは通常の原発の運転時にも環境に放出されていて、トリチウム
から放出される放射能(ベータ線)はエネルギーが低いから環境に放出
されても安全であり、水や食料にも含まれていて日常的に接していても
問題が起こっていない、と言われる。
 しかし、事故炉の?き出しの核燃料に触れた処理水と通常運転時の
排水を、同様に考えることはできない。
 そして水とともに体内に入ったトリチウムからのベータ線はDNA
破損させる以上のエネルギーを持っているので、内部被ばくの被害を引
き起こす可能性がある。

◎ 原発周辺地域で子どもの白血病の発生率が高いとの疫学調査結果
 もある(註3)。
 要するに、トリチウムのみならず低線量の放射線被ばく問題には科学的
決着がついていない。
 これは、明確な回答を与えきれない現在の科学の限界を示している
 このような場合に私たちが採るべき方策は、科学以外の判断原則に準拠
して当面の行動を決めることである。

◎ ここで私たちが主張したいのは「安全性優先原則(予防原則)」である。
 これは生じる問題について危険性が否定できなければ、安全のため
措置を最優先に講ずる、という原則である。
 この原則に照らせば、トリチウムについて危険性があるとの指摘がある
のだから、安易に環境に放出してはならないことになる。

◎ さらに汚染水の海洋放出は、本格操業への希望をつないできた福島
をはじめ広範囲の漁業者たちに今後長年に及ぶ打撃を与える可能性が高い
だけでなく、国際的な信義の問題をも引き起こす。

 既に、韓国や中国など近隣諸国からの反対の意思表示がなされている。
 海の汚染は局地に留まることなく、拡散して漁場に悪影響を及ぼす可能
性があり、海流に沿った海域を生活の場とし長く核汚染に抗ってきた太平
洋諸島の人びとも、全当事者が安全だと確認するまでは放出しないことを
求めている。

◎ 以上のように科学的・社会的・国際的にさまざまな問題点を孕む汚
水の海洋への放出計画を強行してはならない。
 トリチウムの半減期は12.32年だから、保管を続ければ、タンクの放射能
は時間と共に確実に低下する。必要ならさらに場所を確保すればよい。
 その間に、汚染水の発生量を出来るだけ減少させ、その一方で固化させ
るなどの研究開発を一層強化することも考慮に入れるべきである。放射能
とのやむを得ない取り組みは、拙速を避け時間をかける以外ない。

註1:政府と東京電力による、関係者の理解なしでは汚染水のいかなる
処理は行わないとの文書による約束
(1) 2015年8月24日 経済産業大臣臨時代理国務大臣高市早苗から福島
県漁業協同組合連合会野崎哲代表理事会長あて文書「東京電力(株)福島
第一原子力発電所のサブドレン水等排出に関する要望書について」の説明
 高市早苗のコラム(2021年4月14日)
 https://www.sanae.gr.jp/column_detail1307.html
(2) 2015年8月28日 東京電力株式会社代表執行役社長広瀬直己から
全国漁業協同組合連合会(全漁連)代表理事会長岸宏あて文書「東京電力
福島第一原子力発電所のサブドレン及び地下水ドレンの運用等に関する
申入れに対する回答について」
東京電力福島第一原子力発電所のサブドレン及び地下水ドレンの運用等
に関する申し入れに対する回答について (tepco.co.jp)
(3)2022年4月5日 JF全漁連はALPS処理水の取り扱いについ
て、岸田首相、萩生田経産大臣の求めに応じて面談(萩生田大臣がJF
全漁連を訪ねて文書回答を手渡し、岸会長は、回答は精査が必要と述べ、
その後萩生田大臣と共に首相官邸へ)
https://www.zengyoren.or.jp/news/press_20220405_02/
(4) 2023年3月13日 福島県内堀雅雄知事 記者会見
知事記者会見 令和5年3月13日(月)福島県ホームページ (fukushima.lg.jp)

註2:アルプスは、多核種除去設備の英語名であるAdvanced Liquid
 Processing System を縮めた名称ALPS。放射能を含む汚染水がこの
設備を通ると、放射性物質の種類に応じて、化学的変化を起こして沈殿
したり、吸着剤によってろ過されたりして、放射能が減少する。ただし
トリチウムや炭素14などは、この装置では除去できない。

註3:疫学調査(えきがくちょうさ):集団を対象にして、健康障害の
頻度、障害の状態、影響する因子などを統計的に調査する学問。


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┗■3.新聞より4つ
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 ◆ドイツ「脱原発」15日完了 再生エネ普及推進、60年超の歴史に幕

  ドイツで稼働中の最後の原子力発電所3基が15日に停止する。ロシア
によるウクライナ侵攻の影響で一時的に延期された「脱原発」が完了し、
60年以上続いたドイツの原発の歴史に幕が下りる。

 ドイツではメルケル前政権が2011年、東京電力福島第1原発事故を受け
て22年末までの「脱原発」を決めた。その後、当時17基あった原発の稼働
を順次、止めてきた。並行して気候変動対策として「脱石炭火力」も進め、
発電量に占める原発と化石燃料の割合がそれぞれ10年の23%と60%から、
20年は11%と44%に低下。代わりに風力を中心とする再生可能エネルギー
が17%から45%に増えた。

 一方、再生エネが普及するまでのつなぎ役として頼った天然ガスは
パイプラインによるロシア産が一時、総輸入量の5割以上を占めていた。
だが、ロシアによる22年2月のウクライナ侵攻で、主要7カ国(G7)が
エネルギー分野での経済制裁を強めると、ロシアは主要パイプライ
「ノルド・ストリーム」経由の供給を削減し、同年8月末からは停止した。

 ドイツ政府は侵攻直後から、ロシア産エネルギーを段階的に他国産
液化天然ガス(LNG)などへと切り替える方針を決めた。だが、LNG受け
入れ基地の準備が追いつかず、政府は稼働を停止した石炭火力発電所も
使えるように法を整備。最後に残った3基の原子炉について、今年4月ま
での稼働延長を決めていた。【ベルリン念佛明奈】
          毎日新聞 4月14日 17:05(最終更新 4/14 19:38)配信
    https://mainichi.jp/articles/20230414/k00/00m/030/177000c

◆原子炉容器土台の全周で内壁が損傷、鉄筋むき出し
 東電がパノラマ画像を公開 福島第一原発1号機

  東京電力は14日、福島第一原発(大熊町、双葉町)1号機の原子炉圧力
容器を支える土台内部のパノラマ画像を公開した。鉄筋コンクリートの
円筒形の土台(厚さ1.2メートル)は、全周にわたって損傷し、内部の
鉄筋が露出していた。東電は耐震性を評価する。

 事故収束作業について議論する原子力規制委員会の会合で東電が報告。
3月28~31日に実施した調査で、水中ロボットが撮影した映像をつなぎ
合わせた。
 土台内部の半周弱は、ロボットのケーブルが引っかかるなどして接
できなかったが、遠距離から撮影した映像を解析。調査済みの場所と同様
に、床から高さ約1メートルほどまでコンクリートがなくなり、鉄筋が
むき出しになっていた。事故時に溶け落ちた核燃料(デブリ)の熱で、
コンクリートが溶けた可能性が高い。
 どれほどの厚さまで損傷しているかは現時点では不明だが、一部で
壁の中心にある部材が見えていた。
 土台内部は直径約5メートル。画像には、棒状の構造物やがれきのよう
なものが散乱している様子が写っていた。これらの堆積物は、高さ40~50
センチほど積もっているという。
 東電は、土台の円周の6分の1が内部の鉄筋も含めてすべてなくなり、
残りは壁が半分までなくなったとの想定で、耐震性を評価する。
          (4月14日東京新聞 21時29分配信 )
            https://www.tokyo-np.co.jp/article/244178?rct=national