運賃は一斉に値上げ

 

 需要あっても細る地域交通

 

 自公政府は完全に機能不全

 

 

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西日本新聞

バスが2時間に1本「つらかよ」 需要あっても細る地域交通

佐世保市内では地域の足であるバス路線の再編が進み、高齢者から「不便になった」との声が

 1時間に1本のバスが、2時間に1本に減った。「高齢者にはつらかよ」と長崎県佐世保市の女性はぼやく。 

【写真】佐世保ー福岡「艦これ」ラッピングバス(2019年) 

 2019年3月に市営バスが廃止され、西肥自動車が運行する西肥バスに路線が委譲された同市。昨年3月に行われたダイヤ改正で減便となり、車を運転することが難しい高齢者の中には買い物や通院に支障が出ている人もいる。 

 危機感を抱いた「させぼのバスを考える市民の会」は2月、ダイヤ改正前の運行規模に戻すよう市に要望した。代表の中村孝一さん(76)は「もはや公共交通としての役割を果たせているとは言えない」と手厳しい。市側は、深刻な運転手不足が続いているため減便への理解を求めた。

  西肥自動車は人手不足を理由に4月のダイヤ改正でも、市内で運行する路線バスの本数を前年度より8・2%減らした。「需要が減っているわけではないので本当は減らしたくないが、やむを得ない」(自動車部)と語る。  

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佐世保市以外でも、公共交通機関の縮小や再編は止まらない。

  長崎市の東部エリアでは昨年4月、長崎バス(長崎自動車)の路線を廃止し、県営バスに一元化。10月からは利用者が少ない時間帯を中心に、運行を「ハブ&スポーク型」に移行した。設定した乗り換え拠点で1台に乗り合わせることで、乗車人数の少ないバスが重複走行しないよう効率化するのが狙いだ。  「いつまでも昔のままバスの便数が続くわけじゃなかろうけんね」。乗り換え拠点となっているバス停をよく利用する近くの女性(56)は、運行形態の見直しを時代の流れとして受け入れているが「もっと年を取って乗り換えるのがきつくなったら嫌ね」。将来にわたり利便性が確保されることを願っている。 

 

 島原市や新上五島町では、撤退したバス路線を引き継ぐ形で「デマンド型」バスが運行されている。利用者の予約に応じてワゴン型のバスを走らせる方法を採用し、時刻や停留所を指定して送迎する。交通政策白書(2022年版)によると、全国573市町村で導入されている。 

 

 県内では鉄道や旅客船などの事業者も厳しい状況に立たされており、公共交通網はますます細る可能性がある。「地域住民の足として、福祉の観点で持続させるべきだ。行政にしかできない責任を果たしてほしい」。させぼのバスを考える市民の会の中村代表は、訴える。 (布谷真基)

 

 

 

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