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クレディ・スイス UBS買収交渉大詰めか 当局に補償要求報道も
経営に対する懸念が高まっている「クレディ・スイス」をスイス最大手の金融グループ「UBS」が買収する交渉は、大詰めを迎えているものとみられます。UBSは買収に伴う損失や訴訟のリスクをスイスの当局が補償するよう求めていると、海外メディアは伝えています。
業績が低迷している大手金融グループ、クレディ・スイスは、株価が急落し、今月16日にスイスの中央銀行から日本円でおよそ7兆1000億円を調達する用意があると発表しましたが、その後も経営に対する不安を払拭(ふっしょく)できないままとなっています。
こうした中、イギリスの経済紙フィナンシャル・タイムズや、アメリカのブルームバーグなど、欧米の複数のメディアによりますと、スイス最大手の金融グループUBSがクレディ・スイスのすべてか一部の事業を買収することで交渉を進めているということです。
またUBSは、取り引きの損失や不祥事が相次いだ投資銀行部門の買収には慎重な姿勢で、買収に伴う損失や訴訟のリスクをスイスの当局が補償するよう求めているとも伝えています。
この交渉については、スイスの中央銀行「スイス国立銀行」も、金融システムの安定を図るため、週明け、金融市場の取引が始まるまでに明確な方向性を示すよう求めているとしています。
スイスを代表する金融機関の苦境に衝撃広がる
スイスの金融業は国の産業の柱の一つで、多くの人が従事しているだけに、国を代表する大手金融機関の苦境に衝撃が広がっています。
クレディ・スイスを長年利用しているという男性は、「この銀行は他の銀行と同じように悪いことをたくさんしてきた。問題は、スイスだけでなく世界経済への影響を考えると、大きすぎて潰せないことだ」と話していました。
さらに別の男性も「経営者がしっかりしていないと、こういうことになる。過度に積極的だった姿勢がいまの事態を招いたのではないか」と述べ、利益を優先し、数々の不祥事を招いたリスク管理態勢の甘さを批判していました。
また、インフレを抑えるために世界の中央銀行が利上げを進めていることが背景にあるとして、「アメリカでも相次いで銀行が破綻しており、世界的に問題が広がる兆候ではないか」と懸念する声もありました。
その一方、クレディ・スイスで働いているという女性は、「ヨーロッパでの金融規制はアメリカと比べてずっと厳しいので、スイスの銀行システムは安全だと思う」と話していました。
また、「銀行には十分な資金があり、必要とあればいつでも引き出せるのだから、心配はしていない」と話す男性もいました。
クレディ・スイスをスイス最大手の金融グループUBSが買収か
スイス最大手の金融グループUBSが、経営難に陥っている「クレディ・スイス」を買収することで交渉が進んでいるとイギリスの経済紙が伝えました。
イギリスの経済紙フィナンシャル・タイムズは、17日、関係者の話として、UBSとクレディ・スイスが今週末、それぞれ取締役会を開き、買収について検討すると伝えています。
スイスの中央銀行「スイス国立銀行」も金融システムの安定を図るためこの交渉を後押ししていて、週明け、金融市場の取引が始まるまでに明確な方向性を示すよう求めているとしています。
クレディ・スイスは株価の急落や顧客離れを受けて、スイスの中央銀行から日本円でおよそ7兆1000億円を調達すると発表したあとも、株価の下落や資金の流出に歯止めがかからず、経営再建には抜本的な対策が必要だとみられていました。
チューリヒに本拠を置くUBSは50か国以上でビジネスを展開する世界有数の金融機関で、投資銀行業務や資産運用でクレディ・スイスと競い合ってきたライバル同士です。
イギリス紙によりますと、UBSがクレディ・スイスの全ての事業か一部の事業を買収することで調整が進んでいるとしています。