断念・頓挫…行き詰まる原発輸出政策 トルコは「失望」

 

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たんぽぽ舎です。【TMM:No4716】2023年3月11日(土)地震と原発事故情報 より

 

トルコの地震と原発
  
安倍政権と三菱重工がトルコに売り込んだシノップ原発(2018年に計画断念)は今年稼働予定だった・・・
 

 今井孝司(地震がよくわかる会)

◎初めに

 2023年2月6日午前4時(現地時間)すぎ、トルコ東部のシリア国境近くでマグチュード7.8の地震がありました。トルコ・シリア両国の死者は5万2000人(2023年3月6日時点)を超え、東日本大震災の死者数を大きく上回る大災害となりました。
 
トルコでは東日本大震災以降にも、安倍内閣と三菱重工が原発の売り込みをおこなっていました。黒海側のシノップ原発です。結局は計画断念となりましたが、計画通りであれば、今年に稼働予定となっていました。
心の底から、
計画断念となってよかっと思います。

 一方、
ロシアは地中海側のアックユに原発を建設中で、核燃料はまだ装荷していないとのことです。今回の地震で被害が無かったのは、ただ運がよかったにすぎないと思います。
 
原発で大事故を経験したはずの二つの国が、地震が頻繁に起きると分かっているトルコに原発を作ろうとする。もしも、事故により黒海、地中海が汚染されたなら、未来永劫、日本、ロシアは非難されることでしょう。
 そして、
日本政府(自・公政権)は、自らの国の事故により、原発の価格が高騰したことで、原発の海外展開が難しい状況になり、今度は、国内にということで、60年超運転、原発建て替え、次世代原発検討等を打ち出して来ました

 今回の地震と、トルコで過去に起きた地震、トルコの原発等々の記事を当会のHP( 
http://jishinga.com/ )にアップしました。
トルコの地震と原発について、理解が深まれば幸いです。
URLは以下の通りです。

http://jishinga.com/tokushuu/TOR_JIS_GENPATSU/main.html

以下はアップした記事の抜粋です。

◎トルコの地震と原発関連記事の抜粋

(13)CNIC 2014/1/31 トルコの原発事情 シノップに原子力発電所はいらない
 トルコ共和国では現在2つの原子力発電所建設計画が進行中だ。一つは地中海沿岸のアックユで、ロスアトム社(露)が4基のVVER-1200原子炉を建設する予定。
 もうひとつは黒海沿岸のシノップに、日本企業が主導する国際コンソーシアムが4基のATMEA-1原子炉(出力110万kW級の加圧水型原子炉、三菱重工とアレバ(仏)の合弁企業が開発)を建設する予定となっている。
 1月7日には、来日中のエルドアン・トルコ首相と安倍首相が会談し、原子力発電所輸出の前提となる原子力協定(調印済み・国会未承認)を速やかに締結することで合意している。

(17)東奥日報 2017/1/8 揺れ小さく評価 トルコで日仏合併 建設コスト対策か
 日仏合弁会社がトルコ北部で建設を目指しているシノップ原発を巡り、原発を襲う地震の揺れ想定は最大加速度400ガル程度と、日本側が小さめに評価していたことが7日、原発立地の調査関係者への取材で分かった。
 日本の原発よりも小さく見積もられ、国内なら原発規制基準を満たさない可能性が高い。専門家は、予定地周辺の地質や地形を考えると「日本の基準に照らせば、少なくとも500ガル程度は必要だ」としている。耐震化工事などで建設コストが高くなるため、小さくしたのではないかとの見方もある。

(24)東京新聞 2018/5/3 トルコ原発「費用倍困難に」 事業費4兆円超
 三菱重工は調査を続けているが、安全対策費用がかさみ、目標とする2023年の稼働開始は見通せない状況だ。

(30)東京新聞 2018/12/4 トルコ原発輸出 断念へ 三菱重工 巨額建設費
 政府と三菱重工業が、共同で進めてきたトルコへの原発輸出を断念する方向で検討に入ったことが4日わかった。関係筋が明らかにした。建設費が5兆円と当初想定の2倍にのぼる見込みとなり、安価な建設を求めるトルコ側との交渉が難航しているためだ。

(58)JAMSTEC 2023/02/08 トルコ南東部で発生した地震 山本揚二朗
 
日本の内陸地震は、日本列島周囲のプレート運動が内陸部に及ぼす力に対する内陸地殻の反応として発生しますが、北・東アナトリア断層はプレート境界に位置するため、2つのプレート間にかかる力の影響を直接受けるという違いがあります。
活断層に比べて1桁以上大きい値になっているのは、この違いによります。
このため、
トルコでは日本の内陸地震よりも短い再来間隔で、多くの大地震が発生しやすい環境になっています

(68)静岡新聞 2023/2/14 活断層250キロ90秒で破壊 連動型
 トルコ政府機関によれば揺れの強さを示す加速度は最大で約1788ガル、同じく速度は最大で毎秒約213センチだった。阪神大震災は同じく約818ガルで毎秒約97センチ。「揺れは阪神大震災の2倍くらい」(三宅弘恵さん:東京大准教授・強震動地震学)。断層沿い150キロの範囲が強烈な揺れに襲われた。

(73)共同通信 2023/2/25 トルコで断層9m超ずれ 内陸地震で世界最大級か
 マグニチュード7.8~7.5だったトルコ・シリア大地震では活断層によって地表が最大約9.1メートルずれたことが、産業技術総合研究所(茨城県)による25日までの分析で判明した。地震後に撮影した航空写真を分析した。
 日本の観測史上最大の内陸地震で、1891年に岐阜県などを襲った濃尾地震(M8.0)の約8メートルを超える。近藤久雄主任研究員(古地震学)は「内陸の地震で水平方向のずれとしては世界最大級だろう」としている。