《 たんぽぽ舎です。【TMM:No4704】地震と原発事故情報 から 転載させていただきました。 》 

 

市東さんの農地、作業小屋、

三里塚反対同盟のヤグラへの

強制執行を許さない!
 

氷点下での12時間にわたる

阻止行動が闘われる

 

中井はるみ

(忘れまい3・11!反戦・反原発の会/ 千葉)

2月15日夜、成田市天神峰にある市東孝雄さんの農地と作業小屋などの建物や重機、決戦本部のおかれた「はなれ」、反対同盟のヤグラなど、敷地外の住居をのぞく一切を奪い破壊する強制執行が機動隊の暴力をもって強行されました。

◎「15日にも強制執行がある」との情報で、14日深夜から支援の人々かけつけ始め昼には100名近くになりましたが、何もないまま日没が近づき、帰る人は帰り(私もその一人)、残れる人も交代でいったん休もうと態勢を解いて移動しかかったその時、7時のニュースで「今夜執行」と流れ、道路封鎖が始まりました。まさか夜陰に乗じて仕掛けてくるとは・・・。でも、やらないとみせかけ手薄になった時を狙うというのは三里塚の攻撃の常とう手段です。以下は、反対同盟のツイッターや現場で闘った会の仲間から聞いた経過です。

8時過ぎ、執行官ではなく300人の機動隊が、団結街道の入り口で市東さんを中心にスクラムで固めた阻止戦に突撃してきて押しまくりつきとばしてくずし、ジャバラで閉鎖しながら敷地内から支援を排除していきました。

本来なら執行官が来て執行を告げるのに、いきなり機動隊が来て自分も二回押し倒された「国策を暴力でやるっていうのは許せない」と市東さんは怒りをたたきつけています。

 減ったとはいえ執行を阻止しようとする50名近くの支援の仲間が体を張って機動隊にぶつかり押し返す激しい攻防が続きます。
ヤグラや離れの屋根の上にのぼった仲間たちは、旗をひるがえし抗議のシュプレヒコールを続けています。敷地内、ヤグラの周りから支援を排除すると、高所作業車を近づけ、まずヤグラで闘う仲間を、最後にはなれの屋根の上で闘っていた仲間を作業車のゴンドラに拘束し排除。それはなんと朝の8時過ぎでした。この間、屋根やヤグラでも、下のジャバ
ラ越しでも、絶えることのない抗議のコールが続けられました。実に12時間も、しかも氷点下にもなる寒さの中で夜を徹して闘いが続きました。3名が不当にも逮捕されました。

◎「裁判で仮執行付きの明け渡しの判決が出ている」と報道されていますが、この裁判たるや、ウソとペテンだらけのとんでもない裁判です。
この農地は市東さんの祖父の代から100年以上にわたって耕し続けてきた土地で、戦後の農地解放で所有できたはずが、孝雄さんの父東市さんが戦争で捕虜になり復員が遅れたために、名義上他の人が地主になってし
まったものです。
 突然この地に空港を作るから出ていけという国の一方的決定に「土地は絶対売らない」と東市さんは闘ってきました。
ところが地主は耕作者である東市さんに一言もなく
公団に土地を売り渡してしまいました。そしてその事実を地主も公団も隠し続け、東市さんの死後、その遺志を継いで孝雄さんがもどって農業を続けて以降も15年にわたって地代を受け取り続けていたのです。
 そして突然「土地は空港のものだから明け渡せ」と裁判を起こしてきたのです。その裁判も、対象の土地が違っていたり、東市さんの署名を偽造したり、本来なら訴えが無効になるようなでたらめなものですが、空港側は市東さんや反対同盟の弁護団の鋭い追及にもほとんど反論せず、裁判長を味方に楽々勝訴し続けているのです。

 

 まさに国策裁判です。

ちなみに、千葉地裁で初めに農地明け渡しを命じる判決を出した多見谷裁判長は、その後沖縄那覇支部に異動し、翁長前知事が訴えた辺野古の埋め立て差し止めを却下する判決を出しました。

 明け渡しが最高裁で決定した後、異議審で再度不当を訴えましたが、千葉地裁でそれを却下し多見谷判決を追認した高瀬裁判長は、千葉の避難者が国と東電を訴えた第二陣の裁判で、国の責任を認めない判決を出しました。
三里塚と辺野古と原発―どれも住民の反対を踏みにじって強行する国策であり、裁判所はそれに加担しています。

◎空港会社は札束を積んで明け渡しを迫りましたが、市東さんは「数億の金よりも自分が作る一本100円の大根のほうが大事」と無農薬有機農業を続けています。その農地の強奪、営農破壊は全く不当であり、成田空港建設を推し進めた国や空港会社に一片の道義もありません。三里塚闘争は57年間、一貫してこれと闘ってきました。

 

 市東さんは強制執行が確実と言われた15日の昼も、淡々と切り干し大根を干す作業を続け、その場所がフェンスで封鎖され破壊された16日朝には、出荷する野菜を入れたコンテナを取り戻し住居のわきの狭い場所で農作業を続けています。
 「今日の闘いは第一歩」と市東さんは話しています。

 

もう一つの南台の畑は千葉地裁で係争中であり、三里塚闘争はこれからも続きます。「三里塚闘争が続いているなんて知らなかった」とよく言われます。メディアもほとんど報道しません。しかしイギリスやインド(?)など外国のメディ
アは取材に来て特別番組を作っています。

◎今回の強制執行は、戦争のための空港拡張―いわば徴用であり、敵基地攻撃能力保有や沖縄―琉球弧のミサイル要塞化、原発政策の大転換など、岸田政権が強行しようとする戦争突撃と一体です。
反対同盟はいつも沖縄、福島と結びついて闘うと宣言しています。「東海第二動かさないで!」の一斉行動にも参加しています。
 反原発のテーマとは違いますが、同じ国策との闘いであり、三里塚闘争の現在を反原発を闘う方たちにぜひ知ってほしくて、長々と報告させていただきました。

 

 ぜひ一度天神峰に行ってみてください。
 

コミュニティバス京成成田駅の裏から出ています