歪みをもたらす外国補助金に関する新規則

 

EU域外国がEU内で経済活動を行う企業に提供された資金を調査し、必要に応じてそれによって生じた歪みを是正する権限を欧州委員会に与えるもの

 

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12.01.2023  

EU市場の公平性と開放性を確保するための外国補助金規則、本日発効

ブリュッセル

 駐日欧州連合(EU)代表部プレスチーム

EU News 002/2023

<日本語仮抄訳>

欧州連合(EU)の外国補助金規則(FSR)が本日発効した。外国の補助金による歪みに対処するためのこの新ルールにより、EUは貿易や投資に対して開放的であり続ける一方で、単一市場で活動する全ての企業に対して公平な競争条件を確保することができるようになる。同規則は、2021年5月に欧州委員会が提案し、2022年6月に記録的な速さで欧州議会とEU理事会で了承を得た。

 

歪みをもたらす外国補助金に関する新規則

 

FSRは、EU域内の全ての経済活動に適用される。合併・買収(M&A)などの企業結合、公共調達手続きおよびその他全ての市場状況を対象とする。新規則は、EU域外国がEU内で経済活動を行う企業に提供された資金を調査し、必要に応じてそれによって生じた歪みを是正する権限を欧州委員会に与えるものである。

同規則は欧州委員会が施行する以下の3つの手段から構成されている。

  • EU域外国の政府による資金提供を伴う企業結合投資 (i) 被買収企業、合併当事者のいずれかもしくは合弁企業のいずれかEU域内で5億ユーロ以上の売上高を有し、かつ (ii) 外国からの資金提供が5,000万ユーロ以上の場合関係企業の欧州委員会への通知義務
  • 公共調達手続きにおいて、(i) 契約予定額が2億5,000万ユーロ以上で、(ii) EU域外国1カ国毎の資金提供が400万ユーロ以上の場合、関係企業の欧州委員会への参加通知義務欧州委員会は、市場を歪める補助金の恩恵を受けている企業が当該手続きで契約を獲得することを禁止することができる
  • 上記以外の全ての市場状況に対して欧州委員会は、歪みを生じるような外国補助金が関与している疑いがある場合、自らの判断で(職権で)調査を開始することができる。これには、公共調達手続きや小規模な企業結合に関する臨時の届け出を要求する可能性も含まれる。